推理将棋第172回解答(3)
[2024年4月25日最終更新]
推理将棋第172回出題の172-3の解答、第172回出題の当選者(テイエムガンバさん)を発表します。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。
関連情報: 推理将棋第172回出題 推理将棋第172回解答(1) (2) (3)
推理将棋(おもちゃ箱) 推理将棋(隣の将棋) どんな将棋だったの? - 推理将棋入門
172-3 上級 小林看空 作 ぶらぶら歩き 13手
「51へ戻らず、王だけ動かしていたら、大駒に13手で詰められてしまったよ」
「へぇっ」
「相手からは、途中で王手はかけられなかったし、成駒も発生しなかったよ」
さて、どんな手順だったのでしょうか。
(条件)
- 13手目の初王手(大駒)で詰み
- 後手は玉のみを51以外へ着手
- 成駒は出来なかった
出題のことば(担当 Pontamon)
後手玉はぶらぶらとひとりで何処へ行ったのでしょう?
作者ヒント
最終手は飛車打ち(小林看空)
締め切り前ヒント
後手着手が2回あったのはの5筋と7筋で、7筋へ連続着手した玉が詰みます。72以外にも玉が移動できるようにするには?
余詰修正
会話
会話の「王だけ動かして」を「51へ戻らず、王だけ動かして」に修正
「13手で詰められ」を「大駒に13手で詰められ」に修正
条件
「初王手で詰み」を「初王手(大駒)で詰み」に修正
「後手は玉のみの着手」を「後手は玉のみを51以外へ着手」に修正
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推理将棋172-3 解答 ▲76歩、△52玉、▲55角、△42玉、▲73角不成 、△52玉、 (条件) |
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本作は、後手着手が玉の手だけという珍しい条件です。斧間徳子さんの過去作「86-2 平成27年の指し初めの一局」では後手着手が玉だけとは明かされていませんが後手着手が玉だけの作品でした。その手順は▲76歩、△42玉、▲33角不成、△同玉、▲78飛、△24玉、▲77飛、△25玉、▲26歩、△同玉、▲78飛、△27玉、▲28飛 で王手は3回でした。▲77飛の手を指さずに手順をいじると▲26歩、△同玉の王手を減らすことはできますが、玉が中段へ出て行く際の△42玉、▲33角不成、△同玉の最初の王手は外せません。後手玉が中段へ出て行くためにはどこかの筋の歩を取る先手の協力が必要で、▲33角不成の他には▲53角不成や▲73角不成があります。▲76歩、△62玉、▲44角、△52玉、▲53角不成、△同玉の手順や、▲76歩、△62玉、▲55角、△72玉、▲73角不成、△同玉の手順なら王手が掛からずに後手玉は中段へ出て行くことができます。しかし、どちらも先手の角を取る手順なので先手は自陣の駒を使って詰めることになります。△73同玉の後、▲78金、△84玉、▲77金、△74玉、▲86金、△84玉、▲77桂、△94玉、▲85金で詰めると手数オーバーの15手になってしまいます。後手玉は後手陣内の移動だけで考えたのが参考図の手順です。この手順では、3手目の▲33角不成が王手にならないような工夫をして、9手詰の両王手の手筋を利用して22の後手玉を詰ましたのですが、残念ながらこちらも手数オーバーの15手で失敗でした。
参考図:▲76歩、△62玉、▲33角不成、△52玉、▲22角不成、△42玉、▲64角、△32玉、▲73角不成、△22玉、▲82角不成、△12玉、▲92飛、△22玉、▲55角不成 まで15手
参考図の手順では、取った飛を使った両王手での詰みで最終手は角の手でした。飛を打ったあとに角の手で両王手しましたが、飛を打つ手は13手目だったので、後手は玉の手だけなので△74歩のように先手が後手の飛を取り易いように協力することはできませんが、13手もあると先手は後手の飛を取って打つことができることが分かりました。角と飛で詰める形と言うと、53地点へ角を利かせて▲53飛成で詰ませる形を思い出しますが、本問では駒成ができないのでこの形ではありません。△52玉を玉尻の▲51角と玉から一間離れた54地点での▲54飛で詰ます、飛角サンドイッチの形がありそうです。先手の手を順に考えてみると、▲76歩、▲55角、▲73角不成、▲82角不成、▲73角、▲71角、▲54飛の順だと丁度13手でで行けそうですが53地点の後手の歩が居座っているので飛角サンドイッチを実現できません。▲76歩、▲44角、▲53角不成の順で先手が53地点の歩を取る手順にすると、その後は▲71角不成、▲82角不成の9手目に飛を取ることができますが、▲73角不成、▲51角不成が13手目になるため▲54飛が間に合いません。51地点の先手駒は角以外に銀でも良いので11手目に▲51銀として13手目の▲54飛が間に合うようです。しかし、後手の玉移動が上手く行きません。5手目が▲53角不成なので、4手目が△42玉や△62玉だと▲53角不成が王手になってしまいます。2手目を△42玉として4手目を△32玉とすれば5手目の▲53角不成は王手になりませんが、6手目の後手の玉の手は角の利きへ玉を移動する△42玉しかないので反則になってしまいます。王手が掛からないように玉移動するには△51玉を指す必要がありますが、条件によって△51玉は禁じられているので指せません。
飛角サンドイッチ(飛銀サンドイッチ)は無理なのでしょうか。本問では5筋の飛角サンドイッチは無理でしたが、飛を取る手順中に▲71角不成がありました。先の手順では▲71角不成の後に▲82角不成で飛を取りましたが、飛を先に取ってから▲71角不成とすれば51地点ほ向かうための角移動の手が不要なので7筋で飛角サンドイッチの形を実現できるかもしれないことに気が付くでしょう。先手は▲76歩、▲55角、▲73角不成、▲82角不成、▲71角不成、▲84飛 の順を目指すことになりますが、後手の4手目は△62玉や△72玉は指せません。5手目の▲73角不成が王手になったり、6手目に△62玉しか行き場が無くなることになるからです。2手目が△52玉だと4手目に△62玉とはできないので自然と△42玉になりますが、その流れで6手目に△32玉とすると7筋での飛角サンドイッチを目指しているのに7筋へ後手玉が戻ってくるのは14手目になってしまいます。つまり、2手目が△52玉なら△42玉、△52玉、△62玉と進み10手目に7筋へ玉を進めることができます。2手目が△42玉で△32玉、△42玉、△52玉、△62玉の順や△42玉、△52玉、△42玉、△52玉、△62玉の順なら12手目に7筋へ玉を進めることができます。しかし、よくよく考えると先手の▲71角不成の手があるのでその前後に△62玉を指すことはできないので、12手目に玉を7筋に進める手順では無いことになり、2手目は△52玉が確定します。初手から、▲76歩、△52玉、▲55角、△42玉、▲73角不成、△52玉、▲82角不成で飛を取り、8手目は△62玉になります。次の先手番は△72玉ですが、8手目に62地点へ玉が移動しているので9手目に▲71角不成は王手になるので指せません。先手は何か無駄手を指すことになるのでしょうか?ここで目指している7筋での飛角サンドイッチの形を思い浮かべると、△72玉に▲71角不成と▲74飛の飛角サンドイッチなのですが、5筋とは違い7筋だと△73桂の合い駒ができてしまうので、合い駒ができないような対処が必要でした。後手の飛を取りに行く途中で81の桂を取ることはできないので、△73桂を指せないようにするには後手の駒で73地点を埋めるしかありません。と言っても後手が動かせるのは玉だけなので10手目に△72玉として12手目は△73玉と指すのがピッタリです。飛角サンドイッチは玉から一間離れて飛を打てば良い形でしたので玉が73地点なら飛は▲75飛と打てば良さそうに思えたのですが、それだと74地点の合い駒する駒を後手は持っていませんが、△64玉や△84玉の逃げ場があります。玉と接触してしまいますが、▲74飛だと王手するとともに4段目の逃げ場を抑えることができるので最終手は▲74飛を指したいのですがこの74の飛を支える駒が無いと△74同玉で逃げられてしまいます。8手目まで指し進めたところでしたが盤上を見ると角が出るために初手で突いた▲76歩がありました。この歩を突いて▲75歩とすれば最終手の▲74飛の支えになります。9手目から▲75歩、△72玉、▲71角不成、△73飛、▲74飛 の13手で詰みとなりました。
余詰手順の紹介
斧間徳子さん、ミニベロさん、NAOさん指摘(最終手▲54飛~▲56飛)
▲76歩、△52玉、▲44角、△51玉、▲53角不成、△52玉、▲71角不成、△42玉、▲82角不成、△53玉、▲51銀、△52玉、▲54飛 まで13手
NAOさん、ミニベロさん指摘(最終手▲75金)
▲76歩、△62玉/42玉、▲44角、△52玉、▲53角不成、△同玉、▲78金、△54玉、▲77金、△64玉、▲86金、△74玉、▲75金 まで13手
NAOさん、けいたんさん、ほっとさん、はなさかしろうさん指摘(最終手▲53銀不成)
▲76歩、△62玉、▲33角不成、△72玉、▲22角不成、△62玉、▲31角不成、△72玉、▲33角、△62玉、▲42銀、△52玉、▲53銀不成 まで13手
▲76歩、△62玉、▲33角不成、△72玉、▲22角不成、△62玉、▲31角不成、△52玉、▲54銀、△62玉、▲42角打、△52玉、▲53銀不成 まで13手
NAOさん指摘(最終手▲25金/▲63金/▲65金)
▲26歩、△42玉、▲76歩、△32玉、▲33角不成、△同玉、▲38金、△34玉、▲27金、△24玉、▲36金、△14玉、▲25金 まで13手
▲76歩、△62玉、▲33角不成、△52玉、▲22角不成、△62玉、▲32角、△51玉、▲41角不成、△62玉、▲64金、△72玉、▲63金 まで13手
▲76歩、△42玉、▲78金、△32玉、▲33角不成、△同玉、▲77金、△44玉、▲66金、△54玉、▲77桂、△64玉、▲65金 まで13手
▲76歩、△42玉、▲78金、△32玉、▲33角不成、△同玉、▲66歩、△44玉、▲67金、△54玉、▲56金、△64玉、▲65金 まで13手
ほっとさん指摘(最終手▲63銀不成)
▲76歩、△62玉、▲33角不成、△52玉、▲22角不成、△62玉、▲31角不成、△72玉、▲52角、△62玉、▲54銀、△72玉、▲63銀不成 まで13手
それではみなさんの短評をどうぞ。
(短評)
斧間徳子さん(余詰解)「この手順は、後手玉の着手位置や最終手の飛のうち場所が非限定のため余詰と思われます。」
■出題文が公開されて数時間以内の超特急解答だったようです。粗検、申し訳ありませんでした。
NAOさん(双方解)「角を取る手順は大駒初王手条件がキツく詰形が築けない。2手目52玉と9手目75歩で歩調を合わせる。」
■多数の余詰連絡、ありがとうございました。
けいたんさん(双方解)「途中王手を避ける玉の動きが難しかった」
■作意だと王手を避けるために△51玉はできなかったのですが、余詰手順ては△51玉が多く出て来ました。
ミニベロさん(双方解)「9手目の75歩が絶妙。ぶらぶら歩いているようで、実は計算された軌道。
短編の名手が推理将棋を作ってくれるとは嬉しいですね。」
■ぶらぶら散歩をしている玉は家(51地点)へは戻って来ないはずでした。
諏訪冬葉さん「銀で飛車を支えると思ったらまさかの歩!」
■82で取った飛と71で取った銀とで詰ましたくなります。
占魚亭さん「アホな勘違いをしていたため大苦戦(苦笑)。9手目がポイントですね。」
■▲74飛を△同玉とされないように▲75歩で支えます。
原岡望さん「後手の手が限られているので解きやすい。75歩が妙手ですね。」
■多少手順が長くても、駒の動きに制限がある条件だと解き易くなりますね。
piyoさん「172-3は玉の動きを非限定にする意味で8手目62玉まではすぐひらめいたのですが、75歩がなかなか浮かばず苦戦しました。」
■後手玉の動きを限定するには、王手や王手放置の反則をしないタイミングが重要になります。
るかなんさん「手数と条件からは中段玉で固めたくなるが、後手の協力が一切無いとうまく形にならない。まさかこの条件で自陣から出ないとは。」
■後手玉が中段へ出てくれば、詰ます手段はいろいろありそうなのですが...。
飯山修さん「75歩のタイミングですか」
■▲71角不成を先に指すと62の玉に王手が掛かってしまいます。
ほっとさん(双方解)「75歩のタイミングが絶妙。」
■先手の角が後手の飛を取って82に居る時しか▲75歩を指せません。▲55角や▲73角不成や▲71角不成の時に▲75歩を指すと後手玉の移動ができなくなるという絶妙なタイミングでした。
はなさかしろうさん(双方解)「第一感でちょっと手数が足りないかな…と思った両王手はやはり15手だったのでヒント待ちしてしまいました。ピュアメイトというのでしょうか、美しい詰み形ですね。」
■両王手だと、参考図の15手の手順ですよね。両王手を検討された方が居たのは嬉しいです。「解けなくて困った時は両王手や空き王手を疑え」ですね。
RINTAROさん「82飛を角で取りに行くのは必須だし、後手は玉のみの着手だしで手は限られていますが、解に辿り着くまでに時間がかかり、楽しめました。7筋の連続着手が大ヒントでした。」
■7筋の玉着手を2連続で指すには、先手に71の銀か73の歩を取って貰う必要があるので、ヒントによって詰み形も含めて考え易くなったはずです。
正解:14名
斧間徳子さん NAOさん けいたんさん ミニベロさん
諏訪冬葉さん 占魚亭さん 原岡望さん piyoさん
テイエムガンバさん るかなんさん 飯山修さん ほっとさん
はなさかしろうさん RINTAROさん
(総評)
NAOさん「フェアリー界の大御所の登場に驚きました。看空氏が詰パラ担当の頃、何作か投稿したがほぼ余詰でボツになったのが懐かしい。氏の推理将棋作品に余詰指摘する時代が来るとはね。」
■詰将棋も推理将棋以外のフェアリーとも縁のない担当は存じ上げていませんでした。推理将棋が詰パラに掲載された後のバックナンバーを買い揃えてましたが、各号とも見たのは推理将棋の4ページだけ。ミニベロさんの短評に短編の名手と記載されていたので、詰将棋学校の中学校や高等学校の担当をされていたのかな。
TETSU注)小林さんはフェアリーランドを担当されていました。
諏訪冬葉さん「一応171-2のコメント欄の作意も書いておきます」
▲26歩、△24歩、▲25歩、△34歩、▲24歩、△33角、
▲16歩、△24角、▲25歩、△42玉、▲24歩、△33玉、
▲26角、△24玉、▲15角、△14玉、▲24飛 まで17手
先手2回目の歩は直接25に打てるので1手浮いた分を▲16歩に回します。
15手目の角の場所を確定させるために追加条件が必要でした(▲35角だと最終手▲15歩でも詰む)。」
■▲35角の手順の方は、条件を満たせず正解手順にはならないけど最終手で別の詰みがあるのは余詰ではなくてもダメってことなのか。なるほど!
占魚亭さん「いやー、久々に全部解けました。嬉しい。」
■詰ましているのに惜しかったです。
原岡望さん「パラの問題が短手数なのに解けず、気分転換に手をつけました。助走になればいいのですが。」
■正解が2つになる手順前後があった10手は解き易かったはず。
るかなんさん「172-1と172-2で全く別の条件から序4手同一は予想外。」
■序が同じ作品を3作は揃えることは難しいですが、2作なら何とかなります。
飯山修さん「突然降臨という表現がよく登場するが今月は私も体験。脳内でパチンコのFEVERするような時があるのかな。」
■ゾーンに入ったと同じやつですね。神憑りとも言うのかな。
ほっとさん「今回は割と早目に解けました。」
■長手数の年賀推理から通常問題になったおかげでしょう。
RINTAROさん「優しいヒントのおかげで、最終日30分で解くことができました。」
■30分とは驚きの速さ。というかヒントの出し過ぎかな?
推理将棋第172回出題全解答者: 15名
斧間徳子さん NAOさん けいたんさん ミニベロさん
諏訪冬葉さん 占魚亭さん 中村丈志さん 原岡望さん
piyoさん テイエムガンバさん るかなんさん 飯山修さん
ほっとさん はなさかしろうさん RINTAROさん
当選: テイエムガンバさん
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