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推理将棋第175回解答(2)

[2024年7月25日最終更新]
推理将棋第175回出題の175-2の解答です。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。

関連情報: 推理将棋第175回出題  推理将棋第175回解答(1) (2) (3)
  推理将棋おもちゃ箱)  推理将棋(隣の将棋)  どんな将棋だったの? - 推理将棋入門


175-2 中級 けいたん 作 玉に接しない王手        11手

「11手で詰みか」
「不成があるな」
「3回あった王手は全て玉に接しない王手だったね」
「取った駒は歩1枚だけだな」

さて、どんな手順だったのでしょうか。

(条件)

  • 11手で詰み
  • 不成あり
  • 3回あった王手は全て玉に接しない王手
  • 取った駒は歩1枚だけ

出題のことば(担当 Pontamon)

 離れた王手に、逃げることも、駒を取ることも、合い駒もできない詰み形とは?

作者ヒント

 端の手あり(けいたん)

締め切り前ヒント

 3回の王手は全てゾロ目地点の着手で、筋は1筋側から9筋側への順。


推理将棋175-2 解答 担当 Pontamon

▲76歩、△74歩、▲33角不成、△62玉、▲96歩、△73玉、
▲95歩、△84玉、▲66角成、△85玉、▲77桂 まで11手

(条件)
・11手で詰み
・不成あり(3手目▲33角不成)
・3回あった王手は全て玉に接しない王手(3手目▲33角不成、9手目▲66角成、11手目▲77桂)
・取った駒は歩1枚だけ(3手目▲33角不成)

Suiri1752

Suiri1752a玉に接しない王手と言われると、はてるま手筋や角単騎詰、飛角サンドイッチのような合い利かずの形が思い浮かびます。いわゆる透かし詰めです。推理将棋では無駄合いができるので、持ち駒が無いか歩しか持っていなくて二歩の反則になって合駒ができない時に透かし詰めになります。参考図の手順は二枚角で詰めた形です。取った歩は1枚だけになっていますが、条件は「歩を1枚だけ取った」ではなく「取った駒は」となっているので、歩以外の駒の角を取ることは許されていなくて失敗でした。

参考図:▲76歩、△62金、▲33角不成、△52玉、▲22角成、△44歩、▲56角、△51玉、▲33馬、△52玉、▲34角 まで9手

歩1枚しか取ることが許されていないのであれば、参考図のような角を取っての二枚角の手順だけでなく、後手の桂を取って桂打ちまでの詰み手順も失敗になります。桂の王手は元々合駒が出来なく、玉が逃げるか王手した桂を取るしかないないので玉に接しない王手という条件にピッタリの駒なので桂を取れないのは残念です。飛角サンドイッチの形では後手の飛か香を取って最終手で飛か香を打つことになるのでこれも失敗になります。となると、角単騎での詰みなのでしょうか?角単騎詰は最短で11手、馬単騎詰で10手なのですが,角単騎は後手が先手の角を取り、玉腹へ打って退路を塞ぐ必要があるし、△12玉を詰める馬単騎では玉に接しない王手は最終手しかないので失敗です。龍単騎は8手が最短なので▲78飛、△74歩、▲76歩、△52金右、▲75歩、△同歩、▲同飛、△42金上、▲71飛成の9手でも可能ですが、歩を取る手が2回と最終手が銀取りになるのでいけません。もちろん、王手回数の条件も満たしていません。

玉に接しない王手で最短なのは▲76歩、△54歩、▲33角不成の王手で、△62玉と逃げれば▲44角成が2回目の玉に接しない王手になりますが、その後が続きませんし、角や馬単騎で詰ますことができないとなると最後の頼みは桂しかありません。しかし、桂を取ることはできないので盤上の桂を活用するしか無さそうです。▲77桂で詰めるか桂の二段跳ねの▲65桂か▲85桂で詰ますことを前提にすると、後手玉は△65玉や△85玉なのか少なくとも73地点へ行く必要があるのでそれを考慮すると初手から、▲76歩、△74歩、▲33角不成、△62玉までの4手は決まりのようです。もし△73玉が詰むのであれば2回目の王手は△73玉のあとでの▲55角不成か▲55角成に対して△64歩の合駒に▲65桂での詰みがありそうです。玉の退路になる62、63、72、84の4地点を塞ぐ必要があるので無理なようです。△65玉を詰ます場合、玉に接しない2回目の王手の手段が無さそうです。△73玉に▲55角成などでは後手玉が△64玉経由で65地点へ向かうことができません。▲24歩まで歩を突いてから▲25飛での王手か、▲44角成の後に▲43馬とする王手が考えられますが、飛の王手は手数が全く足りませんし、馬での王手だと歩を2枚取ることになるので失敗です。となると後手玉は85地点で詰むことになるはずです。△85玉に▲77桂の王手の玉の退路としては75、84、94、95の4地点がありそうです。9筋の退路を先手が抑えるなら▲95歩とすれば91の香があるので85の玉は94、95、96へ逃げることができません。5手目からは▲96歩、△73玉、▲95歩、△84玉と進み、9手目の玉に接しない王手に対して△85玉とかわして▲77桂で詰ますには、9手目は▲66角成が76地点の歩も守っているのでビッタリで、△85玉と逃げた後▲77桂の王手に84地点へ戻ることができないので詰みとなります。

それではみなさんの短評をどうぞ。

(短評)

NAOさん「1回目の王手は玉位置が1段目、2回目は4段目と離れているので見えにくい手順。」

■条件クリアを急ぐと、▲44角成で62の玉に王手を掛けたくなりますね。

RINTAROさん「最終手が77桂に気付いてからは、詰め上がり図の予測が立ち、早かったです。」

■端の歩を2回突く手も見え難いはずなのに、このハードルは楽々越えられたようです。

るかなんさん「ゾロ目のヒントで一気に桂馬が視界に飛び込んできました。」

■ゾロ目地点へ角や馬を引いても単騎詰は無いので桂に目が行くようなヒントでした。

諏訪冬葉さん「最終手▲77桂は△76玉の可能性があって刺しづらいけど、今回は▲66角成がぴったりだった。(9手や10手の両王手の手順に1手混ぜれば行けるかと思ったら歩以外を取ってた)」

■駒取りが1回の縛りが結構きつかったですね。

ほっとさん「透かし詰を想定して大苦戦。これで間に合うとは。」

■玉に接しない王手と言われると透かし詰が浮かんでしまいます。元々合い駒ができない桂がとどめでした。

ミニベロさん「解図意欲の湧く良問だと思う。このわずかな条件で綺麗に限定されています。」

■第176回は作者の個展になっていますが、今年になってからの投稿数は既に約40作。良問が出題される可能性が高いです。

原岡望さん「のんびりした端歩突き。ヒントのぞろ目から桂に気づいて解決」

■最終手が▲97桂だと、2手を掛けて折角突いた歩を△95玉で取られてしまいます。

飯山修さん「何とパラ411と同じ詰上りですか。全く気がつかなかった。」

■詰パラ#411は不成があって最終手が桂移動という条件なので5段目へ桂を控えて打ってからの桂不成の吊るし桂では手数オーバーになる作品でした。詰み上がりが同じでも王手回数も違うので気付き難かったかも。

piyoさん「3回とも角or馬での王手という線で考え始めてはまってしまい、最終日になってようやく他の駒を使うことに思い至りました。」

■桂が見えないと、角か馬で追うことになってしまいますね。

はなさかしろうさん「桂をどこまで跳ねるのか…ですが、この形は思いつきませんでした。詰形が先にあったかと思いますが、王手条件がぴったりはまっていて脱帽です。」

■同じ詰み形が詰パラ#411にありました。


正解:10名

  NAOさん  RINTAROさん  るかなんさん  諏訪冬葉さん
  ほっとさん  ミニベロさん  原岡望さん  飯山修さん
  piyoさん  はなさかしろうさん

(当選者は全題の解答発表後に発表)

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