推理将棋第175回解答(3)
[2024年7月30日最終更新]
推理将棋第175回出題の175-3の解答、第175回出題の当選者(飯山修さん)を発表します。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。
関連情報: 推理将棋第175回出題 推理将棋第175回解答(1) (2) (3)
推理将棋(おもちゃ箱) 推理将棋(隣の将棋) どんな将棋だったの? - 推理将棋入門
175-3 上級 上谷直希 作 禁欲な駒取り 14手
「ハンデをもらったのに14手で負けてしまった。かなり悔しいよ」
「どんなハンデをもらったの?」
「相手には禁欲ルールで指してもらったんだ。それなのに駒取りの手で詰まされてしまったよ。」※
「それは完敗だね。どんな手順だったの?」
「1手目も2手目もそれぞれの最下段の駒を動かす手だったけど、そこで動かした駒は後の手順では動かなかったな
さて、どんな手順だったのでしょうか。
(条件)
- 14手目の駒取りの手で詰み
- 後手は禁欲ルールを課せられていた※
- 1手目、2手目は最下段から駒を動かす手であり、そこで動かした駒は後の手順で不動であった
※【禁欲】駒を取らない手を優先して着手を選ぶ。
すなわち、駒を取る手しか選べない場面のみ駒を取ることができる。
出題のことば(担当 Pontamon)
禁欲ルールの後手が駒を取る手しかないという状況を推理しましょう。
作者ヒント
最終手で取られた駒は小駒(上谷直希)
締め切り前ヒント
13手目は玉頭へ歩を叩き、玉の逃げ場がなく同飛と取って先手玉の詰みになります。
余詰修正
会話の最後の文の「そこからは展開が変わったなあ」を「そこで動かした駒は後の手順では動かなかったな」に修正。
条件の「動かす手だった」を「動かす手であり、そこで動かした駒は後の手順で不動であった」に修正。
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推理将棋175-3 解答 担当 Pontamon ▲58玉、△42銀、▲56歩、△14歩、▲55歩、△13角、 (条件) |
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後手が禁欲ルールなのに最終手では駒取りで詰めるという矛盾がありそうな条件に驚かされます。以前、合法手が1通りの条件がありましたが、その時は王手の応手が1通りしかない局面でした。本作の禁欲ルールでも王手されていて玉が逃げることができない場合には王手した駒を取るしかないので禁欲ルール化での正当な着手となります。すなわち、本作は逆王手で詰むことになります。
逆王手だと例えば双方の玉が中段で対峙(▲56玉と△54玉)していて、▲55金の王手に△同金の逆王手で詰む形がありそうです。しかしこの場合は、玉も金も中段へ上げなければいけないので14手では手数が足らなさそうです。そこで金の代わりに▲55馬で王手して△同角の逆王手をする手順、▲68玉、△62玉、▲76歩、△74歩、▲33角成、△73玉、▲77玉、△64玉、▲66玉、△54玉、▲55馬、△同角を考えてみると12手の早詰みかと思うと▲56玉の退路がありました。▲55馬に△同馬なら詰みなのが惜しいところ。ということで、玉の退路が少なくなると思われる端の▲15馬に△同馬の逆王手で詰ましてみたのが参考図の手順になります。残念ながら手数オーバーの16手になってしまったので失敗です。
参考図:▲48玉、△42玉、▲36歩、△34歩、▲37玉、△77角成、▲26玉、△33玉、▲16玉、△24玉、▲96歩、△59馬、▲33角成、△14玉、▲15馬、△同馬 まで16手
双方の玉が接近していれば逆王手を簡単に出来そうでしたがうまく行きません。となると離れた地点からの王手や逆王手を考える必要があるようです。過去の逆王手の作品としては詰パラ#355や左右反転の作品がmixiにあったようで、手数は逆王手の最短11手です。おもちゃ箱には先行作がありませんので簡単に説明すると、11手で後手の△52玉を詰めた形は、44か64に先手角があり、同じ筋の2段目に後手の飛が配置されている状態で後手が△58歩を叩いて王手した歩を先手が▲同飛で取って詰める形です。10手目に他の手を指した場合、11手目に▲58飛で王手しても持ち駒の歩で合いが可能なので持ち駒消去を兼ねて10手目に玉頭を歩で叩くという寸法です。とりあえずこの詰み形を目指してみます。本問の場合は14手詰なので13手目は▲52歩での王手になりますが、禁欲ルールの後手は△42玉や△62玉と逃げることができるため、退路を封鎖しておかないと△52同飛の手を指せません。そこで、初手の▲58玉に対して△42銀と最下段の駒を互いに上げる手で対局を始めます。先手は13手目に▲52歩と叩けるようにするために、歩の入手と初形57地点の歩を消去する必要があります。後手は基本的に駒取りができないので、▲76歩で角道を開けたあと、▲56歩、△54歩、▲55歩、△同歩、▲同角とすることができないので、先手は5筋の歩をひたすら突いて行って、▲53歩成でと金にしてから▲52歩を狙ってみます。初手から▲58玉、△42銀、▲56歩、△14歩と1筋の歩を突いて△13角から△46角を指す準備をします。初手で▲58玉と上がっているので▲68飛を指せないので△34歩から△66角の2手で済むところを△14歩、△13角、△46角の3手が必要になってしまいます。5手目からは▲55歩、△13角、▲54歩、△46角、▲53歩成、△何か、▲48飛と指し、13手目の▲52歩に△同飛としても53地点に先手のと金が残っているため詰みにはなりません。53のと金が邪魔だからと言って13手目の▲52とに△同飛だと先手は歩の持ち駒があるので5筋の合駒ができるのでうまくありません。9手目に▲53歩成で出来たと金なので、11手目のと金の手を後手に同の手で取らせれば13手目に▲52歩の王手ができて△同飛とできますが、それだと玉の退路ほ塞ぐ▲48飛ができないので他の詰み形を考えることになります。最終手が△52飛で▲58玉を詰ます形として飛角サンドイッチの詰み形がありました。5手目からやり直すと、▲55歩、△13角、▲54歩、△68角不成、▲53歩成、△59角不成と進みます。と金を消すための11手目は禁欲ルールの後手が同の手でと金を取るしかないように王手の手を指しますが▲52と、△同飛、▲53歩、△同飛だと禁欲ルールの後手は14手目に53地点の合駒の歩を△同飛と取ることができません。したがって、11手目は王手でと金を捨てる▲62とが正解で、12手目の△同飛に▲52歩で王手をして△同飛で詰みとなります。
余詰について
原岡さん指摘、ほっとさん解答の余詰手順は下記です。
▲68玉、△62玉、▲76歩、△74歩、▲33角成、△64歩、▲77玉、△63玉、▲66玉、△54玉、▲77桂、△45玉、▲44馬、△同角 まで14手
NAOさん指摘の余詰手順は下記です。
▲68玉、△62玉、▲76歩、△72玉、▲77玉、△62金、▲86玉、△34歩、▲66角、△74歩、▲93角成、△14歩、▲83馬、△同飛 まで14手
初手と2手目の最下段から動いた駒はその後不動であるという余詰修正により、最初に動いた先手と後手の玉は動けないので余詰を回避できています。なお、NAOさん指摘の手順では2手目を△62金にすると4手目の△62玉は72地点へ動かすことができませすが、先手の初手の▲68玉が動けないので詰みにはなりません。
それではみなさんの短評をどうぞ。
(短評)
NAOさん(双方解)「収束連続の駒取り強要がお見事です。」
■禁欲ルールの後手がまさかの連続駒取りで詰みへ持って行くのが意外でした。
RINTAROさん「最終ヒント見て、52歩同飛迄に照準を絞ったため、すぐ解けたが、12手目も駒取りでした。」
■11手目を▲52ととすると、無駄合いが可能な推理将棋だから歩の合いを同飛でとれば詰みになると早合点するのが危ないところところ。
るかなんさん「11手目は打歩詰打開が必要と勘違いして放った勝負手、というサイドストーリーが浮かびました。」
■11手目▲52歩は53のと金を支えにした打ち歩詰っぽいですね。
諏訪冬葉さん「先手が歩を打つためには歩を成る必要がある。残ったとをどうするかと思ったらこれも取らせるとは。」
■条件では禁欲ルールなのに最終手は駒を取る手となっているので、後手の駒取りは最終手だけだとミスディレクションしてしまいそう。
ほっとさん(双方解)「双方の玉が中段に出ていく手順をいろいろ模索してしまった。」
■△74歩と△64歩を突いて、△63玉経由で△45玉とする余詰手順が担当には見えていませんでした。
ミニベロさん「禁欲強欲条件は、その昔MIXI時代に流行った条件。
「33角成、同角」までの順が絶好の紛れ。
この「玉頭歩・同飛」までの詰め上がりは、逆王手詰みの作品でよく現れる順。
本作は、簡素な条件で見事に14手を限定しています。」
■▲58金右、△42玉、▲76歩、△54歩、▲68玉、△55歩、▲同角、△52飛、▲77玉、△74歩、▲66玉、△73桂、▲33角成、△同角 の手順で解けたと思わせておいて、11手目の▲33角成の王手に対して△53玉と逃げる禁欲手が優先なので失敗という紛れですね。
原岡望さん(双方解)「一見役に立たないヒントに見え動揺
59角の筋と後手駒取2回と気づいて解決
66角ができないのも巧妙
上谷氏らしいすっきりした手順」
■余詰指摘、ありがとうございました。
piyoさん「最初に詰み形が浮かび、玉の移動がほぼなくて他に手数をかけられるので比較的すぐ解決しました。」
■詰み形が目に浮かぶのが一番の解図方法ですね。
はなさかしろうさん「攻方禁欲ということで玉方の5筋突きは本命ですが、▲59歩-▲52とだと攻方の手が余っているのに48地点が塞げない。▲62と-▲52歩が絶妙でした。」
■持ち駒消去の▲59歩を11手目に指して、13手目が▲52とという紛れもありましたね。
正解:9名
NAOさん RINTAROさん るかなんさん 諏訪冬葉さん
ほっとさん ミニベロさん 原岡望さん piyoさん
はなさかしろうさん
(総評)
RINTAROさん「少し早めに推理将棋を考えることができました。」
■他の詰将棋の解図などとの兼ね合いでしょうか。
るかなんさん「ノーヒントで詰みまで読めたのは初級だけ。易しい長手数作、他にも出てくるといいですね。」
■易しい長手数作...なかなか出て来ませんねぇ。
諏訪冬葉さん「2,3がなぜ解けたかわかりません」
■きっと閃きがあったのでしょう。
ほっとさん「全体に難しかったです。」
■解答者数が少し減った原因は難問だったからなのかも。
ミニベロさん「ニューカマーに期待しています。」
■担当も今後の投稿をお持ちしています。
原岡望さん「前日25時前に解決して一安心」
■前日25時だと締め切り日当日(笑)寝るまでが前日ですね。
飯山修さん「175-1に消耗し3番に手が回らず」
■初級に引っ掛かってしまったのは意外。175-3は逆王手だと分かっても、過去作の例は少ないですね。
推理将棋第175回出題全解答者: 10名
NAOさん RINTAROさん るかなんさん 諏訪冬葉さん
ほっとさん ミニベロさん 原岡望さん 飯山修さん
piyoさん はなさかしろうさん
当選: 飯山修さん
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