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推理将棋第177回解答(3)

[2024年9月29日最終更新]
推理将棋第177回出題の177-3の解答、第177回出題の当選者(原岡望さん)を発表します。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。

関連情報: 推理将棋第177回出題  推理将棋第177回解答(1) (2) (3)
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177-3 上級  小林看空 作 飛車とられ両王手       12手

「最初に76歩と突いてみた」
「普通だな」
「12手で角成の両王手で詰められたんだが、直前に動かした飛車を即取られたのは痛かったなぁ」
「それはお気の毒さま」
「あ、一回だけ相手玉に王手をかけたかな。それに一回だけこちらの王を動かしたな」

さて、どんな手順だったのでしょうか。

(条件)

  • 12手で詰み
  • 初手は76歩
  • 11手目は飛の手で12手目は角成でその飛を取る両王手
  • 先手は一回だけ王手した
  • 先手は玉を一回だけ動かした

出題のことば(担当 Pontamon)

 両王手の最短は9手なので12手だと両王手は相当の数のはず。両王手の形を特定してください。

作者ヒント

 すれ違い角(小林看空)

締め切り前ヒント

 両王手の一方の駒は52地点の飛。先手の飛を空き王手で動いた角で取って成ります。


推理将棋177-3 解答 担当 Pontamon

76歩、△14歩、▲44角、△13角、▲53角成、△57角不成、
52馬、△同飛、▲58玉、△59角、▲48飛、△同角上成 まで12手

(条件)
・12手で詰み
・初手は76歩(初手▲76歩)
・11手目は飛の手で12手目は角成でその飛を取る両王手(11手目▲48飛、12手目△48同角上成)
・先手は一回だけ王手した(7手目▲52馬)
・先手は玉を一回だけ動かした(9手目▲58玉)

Suiri1773

Suiri1773a11手目に動いた飛を駒成で取る両王手で詰める手順には、▲76歩、△34歩、▲78飛、△88角成、▲58金右、△95角、▲77飛、△89馬、▲68玉、△86桂、▲78飛、△同桂成 がありますがこの手順では先手が王手する手が入っていません。両王手で詰まされる先手が王手できるとすれば3手目の▲33角不成でしょうか?その可能性がありそうなので、その方針で進めてみたのが参考図の手順になります。初手は▲76歩で先手の玉の手も1手あるし、11手目に動かした飛を△同飛成で取っての両王手で詰んでいるのですが、最終手は同角成で飛を取る手が指定されているので失敗手順でした。

参考図:▲76歩、△32飛、▲33角不成、△同飛、▲68玉、△36飛、▲46歩、△24角、▲56歩、△46飛、▲48飛、△同飛成 まで12手

4手目に取られてしまう王手の手の3手目は▲33角不成ではなく▲33角成でも良く、駒成や不成の手の回数が条件で指定されていないので3手目は非限定になってしまうので解の手順にはなりません。このように指示された条件と着手に矛盾が生じる着手を排除していくのを裏読みと言います。先手の王手の手に対する後手の応手がひとつしかない場合とか、後手の応手自体が詰み手順に関係してくる手であれば、先手の王手の手は無駄手ではありませんし限定手順になります。最近の作品だと「175-3 上級 禁欲な駒取り」で玉頭に歩を叩く▲52歩の王手を△同飛で取って飛角サンドイッチの形で詰める手順がありました。52へ振った飛が両王手の王手をするひとつの駒になる形で、▲52歩、△同飛の手筋を使ってみると、▲56歩、△54歩、▲68銀、△55歩、▲同歩、△34歩、▲38飛、△55角、▲52歩、△同飛、▲36歩、△12香、▲37飛、△同角成の手順の両王手が可能でしたが、手数オーバーの14手になってしまいます。そこで飛を同角成で取る地点を37からずらしてみると、角成が出来る地点としては48しかないのですが、空き王手で角が48へ行くためには57地点からになるので、序の部分で互いに5筋の歩を突き進める手順では角の配置が上手くいきません。そこで、先手は▲53角成で5筋の歩を取り、▲52馬の王手に△同飛の手順にし、後手は△57角不成から△48角成での両王手をする手順にしてみたのが、▲76歩、△14歩、▲44角、△13角、▲53角成、△57角不成、▲52馬、△同飛、▲68銀、△84角打、▲48飛、△同角成 の手順になります。しかし、手数は12手で収まっているのですが、先手の玉の手が入っていないので失敗手順になります。先手玉が動くとしても52地点の飛が両王手する一方の駒となるには先手玉は5筋で居なければいけないので先手の玉の手は▲58玉しかあり得ません。先手が▲58玉の手を指す分、先の手順のどこかの手を省く必要があるので▲68銀をやめることになります。そうすると玉の退路として68地点が残ってしまうので、後手は68地点を抑える必要があります。先の手順では△48同角成した馬を支える駒は△84角と打った角でした。今回も48地点の馬を支える必要があり、68地点も抑える地点として追加されているので両地点を1手でカバーできる△59角がちょうど良い感じです。△52飛と△59角の配置は飛角サンドイッチの詰み形ですし、△59角は48地点の馬を支える役割も果たしていて一石二鳥の手となっています。初手から▲76歩、△14歩、▲44角、△13角、▲53角成、△57角不成で互いの5筋の歩を取って後手の飛が先手陣へ利くようにする準備が完了します。続けて7手目から▲52馬、△同飛、▲58玉、△59角で両王手の準備が完了します。両王手で詰ますには△48角成でも△68角成でも良いのですが、11手目の飛の手の条件があるので、11手目の▲48飛に△同角上成の両王手で詰みとなります。

それではみなさんの短評をどうぞ。

(短評)

NAOさん「11手目飛のため飛取~飛打は使えず、盤上の飛を活用」

■両王手での主役級の飛ですが、相手の飛を取れないのが辛い。短手数で盤上の自陣の飛を活用することを考えるのが解図への糸口にもなっていました。

はなさかしろうさん「強からず弱からずの条件が連立で厚めに設定されていて、王道でも裏推理でも難しかったです。第一感で76歩条件が双方の角のルートを限定するものとは想定できなかったのが難航の一因で、決め打ちは危険ですね。」

■初手7筋だと、▲76歩、▲78銀、▲78金、▲78飛の四択ですが、初手を明かす▲76歩は作者の優しさでしょう。

原岡望さん「ヒントで58玉と分かって解決。そもそも成不成の指定がないので33角はないと気づくべきでした。
それにしても角馬で7手とは。
角がすれ違いかどうかはやや疑問。」

■双方の角が表通りを進むとぶつかるので、双方とも裏道を行くか、片方だけ裏道を通って角がぶつからないようにすれ違う?角の通り道が離れているのですれ違いではないような感じもしますね。

諏訪冬葉さん「最終ヒントと「玉の手1手」から先手玉は58、よって最後の2手はこれと断定。
残りの先手の手は「53歩を取る(3手)、王手、58玉」後手の手は「57歩を取る(3手)、52飛車、48角成のひも」
この中に「王手の解消」「68を塞ぐ」を埋め込んで終了」

■詰み形が浮かべば、あとは必要な手の手順を考えるだけですね。

ほっとさん「52馬~58玉が好手順。」

■その3手で飛角サンドイッチでの詰みと両王手の詰みの準備完了。本問ではこれら両方を使ってのダブルの詰みでした。

るかなんさん「第一感は98飛から77飛打同角成迄で、惜しい形は作れる分なかなか抜けきれませんでした。
初手96歩の存在や角の成生の限定手段など、推理の取っ掛かりは用意されていたと後になって気付かされる。」

■▲76歩、△34歩、▲66角、△同角、▲88飛、△同角不成、▲68玉、△98飛、▲16歩、△22角打、▲26歩、△77角引不成の両王手だと11手目に77へ捨てる飛を持っていませんね。先手の王手も入れた▲76歩、△32飛、▲33角成、△42金、▲32馬、△12香、▲88飛、△同角不成、▲68玉、△98飛、▲77飛、△同角不成の手順だと77の最終手の紐が無くて失敗ということかな。

ミニベロさん「初手76歩は、手順前後対策と思ったら角の軌道の限定でした。52馬も53角成りを限定していて、こういうのはベテランの味なんですけど。」

■初手7筋の四択を減らした優しさかと思いましたが、初手の歩と玉や歩と飛、歩と銀などの手順前後の対策である可能性もありますね。どの手順前後の対策なのかを調べるには初手7筋の四択以上に手間がかかりそう。

飯山修さん「成生条件がないので一回の王手は33ではなさそうと考えれば判りやすい。」

■解図はその裏読みができますが、余詰検討では省くことができない手筋です。

RINTAROさん「詰め上がり図の推測はついたが、そこに至る過程が難しかったです。52歩同飛を考えていて、52馬に気付いたときの拍子抜け感はすごかったです。」

■▲52歩、△同飛は鉄板手筋と言えそうで、合い駒の持ち歩を使ってしまう目的も兼ねている作品があったと思います。

桝彰介さん「先手から奪った角を上(6六等)から打とうとして4八地点の逃げ道が防げず考えてたら、5九に角を打つ手がぴったりでスッキリしました。」

■攻める場合はどうしても上からの攻めを考えてしまいます。後ろに利く駒が少ないせいもあるのでしょうね


正解:11

  NAOさん  はなさかしろうさん  piyoさん  原岡望さん
  諏訪冬葉さん  ほっとさん  るかなんさん  ミニベロさん
  飯山修さん  RINTAROさん  桝彰介さん


(総評)

NAOさん「久々の?すっきり余詰なしでしょうか。」

■1月以来の無傷な出題でした。

piyoさん「中間ヒントが出る前に解けた(つもり)なのは初めて。嬉しいです!」

■解答ありがとうございます。全問正解でした。

原岡望さん「9月3日の解答です。3は全く想像できず。ヒントの力は偉大です。またも詰パラ苦戦中。」

■両王手とわかっていても12手ともなると色んな形がありそうなので絞り込みが難しいです。

諏訪冬葉さん「今回のテーマは「最奥に生角」でしょうか?」

■意図したものではなかったのですが、出題テーマとして成立しますね。

ほっとさん「今回は余詰なし、でしょうか。」

■はい、年賀推理の出題依頼、出題ページが無傷な回でした。

るかなんさん「初級はノーヒント、中間ヒントで中級、直前ヒントで上級までなんとか。」

■出題中の第178回は全体的に難易度が下がっていると思いますのでヒント前の解答を期待しています。と言ってもこの結果稿が出るころには中間ヒントが投入された後かも。

ミニベロさん「好作ぞろいですが、ヒント無しでは解けません。
昔は条件見たら詰め上がりの景色がみえたんだけどなぁ。」

■1桁手数の新しい詰み上がり図は減っているので、別作品だととして凝った条件で練り直したものだと瞬殺・秒殺はし難くなっているのでしょう。もちろん、10手、11手作品は更に難易度増し増し。

飯山修さん「今年もパラの全国大会に行きました。今年は原岡さんも参加。他にパラ推理将棋解答者で和田さんと宮田先生がおられましたのでお二人におもちゃ箱も覗いて下さいとPRしておきました。」

■おもちゃ箱の推理将棋コーナーのPRありがとうございます。

RINTAROさん「気が付けば締切日。ヒント頼みですが、適度な難易度で楽しめました。」

■ヒント有りとは言え、平日の締切日だけで解図の時間が足りるのはこれまでの積み重ねでしょうね。

桝彰介さん「今月は2問分かりました。今年も残り少ないですが、分かったらまた解答を出します。」

■毎回の解答、ありがとうございます。引き続きの解答をお願いします。


推理将棋第177回出題全解答者: 14名

  NAOさん  はなさかしろうさん  piyoさん  けいたんさん
  原岡望さん  中村丈志さん  諏訪冬葉さん  ほっとさん
  るかなんさん  ミニベロさん  飯山修さん RINTAROさん
  桝彰介さん  占魚亭さん

当選: 原岡望さん

おめでとうございます。
賞品をお送りしますので、賞品リストから選んだご希望の賞品と送付先をメールでお知らせください

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