推理将棋第178回解答(3)
[2024年10月29日最終更新]
推理将棋第178回出題の178-3の解答、第178回出題の当選者(RINTAROさん)を発表します。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。
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推理将棋(おもちゃ箱) 推理将棋(隣の将棋) どんな将棋だったの? - 推理将棋入門
178-3 上級 るかなん 作 37枚一致(11手) 11手
「11手で詰んだこの局は、3手目と4手目は同じ筋の着手で、4連続で動いた駒が2枚あったね。」
「終局図で37枚が実戦初形と同じ配置なのはそんな事情があったのか。」
さて、どんな手順だったのでしょうか。
(条件)
- 11手で詰み
- 終局図で盤上の駒のうち37枚は実戦初形と同じ配置
- 3手目と4手目は同じ筋の着手
- 4連続で動いた駒が2枚
出題のことば(担当 Pontamon)
37枚一致シリーズの第一弾は11手です。動いた駒は何枚なのでしょうか?
作者ヒント
7手詰のおさらいを(るかなん)
締め切り前ヒント
4連続で動いた駒は先手の歩と後手の玉。もう1枚、初期配置と一致しない駒があります。
推理将棋178-3 解答 担当 Pontamon ▲48金、△24歩、▲49金、△42玉、▲26歩、△32玉、 (条件) |
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4連続で駒を動かすという条件の場合、よくあるのは攻め方の歩と玉方の玉でしょう。先手の歩を4手突き進めて7手目の▲23歩成で詰ます形の場合、後手玉の手は2手しかないので、これを4手連続の玉の手にすれば良さそうです。後手に2手増えるのであれば先手も2手増やすことになり、7手詰の詰み形に4手加われば11手なので計算があいそうです。先手の2筋の歩突きは4手連続で指す必要があるので先手は初手と3手目の2手で2筋の歩以外の手を指す必要があります。後手は玉の手を2手増やすために△42玉を指す前に玉の手を2手指すことになるのですが、3手目の先手の着手と4手目の後手の着手は同じ筋の条件があるので工夫が必要です。あと、終局時に盤上の37枚の駒が初期配置と同じにする必要があるので、初期配置の地点へ1手で後戻りができない歩を突く手は指せません。そこで考えた対処策はどの方向でも3手目に初期位置へ戻ることができる玉の手を先手が指せば良さそうです。4手目は6手目の△42玉を指せる地点へ後手玉を動かす手になるはずなので4手目は5筋への玉の手に決まります。先手玉も後手玉も初手からの4手を5筋の手にすれば、3手目と4手目は同じ筋の条件をクリアできます。この考えで指したのが参考図の手順で7手詰での▲23歩成の詰み上がりになりました。先手玉は元の59地点に戻っているので、先手の動いた駒は歩1枚だけで後手は玉と飛が動いているので、双方合わせて3つの駒が初期位置から動いたので、終局図では37枚の駒が実戦初形と同じになっているはずでしたが、盤上を確認してみると最終手の▲23歩成で取られた23地点の後手の歩が無くなっているので初形と異なる駒は36枚なので失敗手順でした。
参考図:▲58玉、△52玉、▲59玉、△51玉、▲26歩、△42玉、▲25歩、△32玉、▲24歩、△42飛、▲23歩成 まで11手
後手玉を4手かけて32地点まで動かすことを考えたのですが、それならば2手目の△62玉から△52玉、△42玉、△32玉の手順でも良いので手順は非限定になっていました。後手着手の最後の△42飛で玉の退路を塞いだのですが、飛を動かすと初形と同じ駒が36枚になってしまうため、これも要修正です。攻め方である先手は2筋の歩を4手連続で突き進めて▲23歩成で詰ます手順は変更できそうにありません。後手玉の最終位置を7手詰と同じ32地点で考えたために△42玉の前に玉の手2手を追加しましたが、2手目が△52玉でも△62玉でも良いことになるので、△42玉、△32玉の後に玉の手を2手に続けて指すことを考えてみます。3回目の玉の手を△42玉として戻ってから再度△32玉とするのでは△42飛が必要になるので3回目の玉の手を△42玉と指すことはできません。後手玉が2筋方向へ動いて4回目の玉の手を△12玉にすれば、11手目の▲23歩成で詰むことに気付けば、2手目は△24歩を指してその後は△42玉、△32玉、△23玉、△12玉の4手連続の玉の手を指すことができます。となると、4手目は4筋の手なので先手の3手目も4筋の手を指す必要があります。参考図では玉を前後させて3手目に初期位置へ戻しましたが、3手目に4筋の手を指すなら49の金を前後させれば良いことに気付きます。よって、初手から▲48金、△24歩、▲49金、△42玉になります。続けて5手目からは▲26歩、△32玉、▲25歩、△23玉、▲24歩で王手になりますが10手目の△12玉で王手をかわしますが▲23歩成で詰みとなりました。初期配置と一致していない駒を確認してみると、27地点の先手の歩、23地点の後手の歩、51地点の後手玉の計3枚なので37枚一致になっています。
それではみなさんの短評をどうぞ。
(短評)
るかなんさん(作者)「手数の都合で上級になったのだと思いますが、作者としては中級相当のつもりです。」
■はい、投稿時には初級~中級とのことでした。
NAOさん「攻方が1手余る10手詰の形。11手なら2手余らせることができ金の屈伸でぴったり。」
■指した駒を元に戻す時間稼ぎを思い付くかどうかがカギ。
はなさかしろうさん「n枚一致、n=39は不可能、n=36は最短7手ですね。n=38は16手で可能ですが最短かどうか、と脱線も楽しみました。本問はn=37ということで、本手順の11手が最短なのか、他にどんなバリエーションがあるか、楽しみです。」
■37枚一致シリーズの第二弾を出題中です。11手の別手順ではなく、手数が2手増えています。
原岡望さん「金の動きが盲点でした。似たような条件でいくつか作れそうです。」
■是非、作図して投稿していただけると幸いです。
ミニベロさん「うーん。これも7手のアレンジ。やっと気が付きました。
4連続駒が2つ。これがネックで困ってましたが、金の往復ですか。
私好みなのに苦戦しました。おかげで、次回作見えたかも!」
■シリーズだと明かしたので、解図の際に別の筋が見えると予習になってしまうかも。
諏訪冬葉さん「例の7手は36枚不動だな・・・から終局図が浮かびました。」
■攻め方の駒を1枚だけ動かす手筋が浮かぶと解き易いですね。
ほっとさん「形を崩さずに手待ちする1・3手目が妙手。」
■▲23歩成の形を目指すと、▲26歩、▲27飛、▲28飛のように2筋の手を考えてしまいそう。これだと先手も後手も連続着手は3手にしかなりません。
飯山修さん「3手目4手目を同一筋に出来る方法を探る謎解き問題」
■3手目▲48銀で▲39銀と戻すと、後手は玉の4連続着手が可能ですが、先手は3連続にしかできなくなります。
RINTAROさん「夜、布団の中で考えてるときに解けました。序の3手が絶妙ですね。」
■夢の中で解けたと思った手順を翌朝に並べてみると全然だめなことが多いですが、寝入る前なら正解することも。
御原真尋さん「先手番が2手余ってしまいますが、その遊びの2手を「3手目と4手目は同じ筋の着手」という条件でただ一通りに定まるのが綺麗でした。」
■2手も余っていると、それを吸収させる条件設定に苦労するのですが、本問ではメイン条件と相まって見事な条件設定でした。
正解:11名
piyoさん NAOさん はなさかしろうさん 原岡望さん
るかなんさん ミニベロさん 諏訪冬葉さん ほっとさん
飯山修さん RINTAROさん 御原真尋さん
(総評)
piyoさん「今回も運良くスムーズに解けました(たぶん)。早く解けると嬉しいのですが、その分次の餌(次回出題)までの間が空いてしまうのが難点で、締切近くまでうんうん唸ってる方の楽しみも捨てがたい気がしてきました。」
■これから年内は難しい問題が目白押しになるかも。
NAOさん「37枚一致のシリーズ続編が楽しみです。」
■現在出題されているのが第二弾。来月は第三弾です。
原岡望さん「23日解答はたぶん自己新記録です」
■作者からの中間ヒント投入前の解答でした。
るかなんさん「今回は初級が最後でした。そろそろ年賀詰を考え始める季節ですかね。」
■第179回の出題時に年賀詰作品の募集を記載しました。現時点(10/13)では募集前から投稿された4作が手元にあります。
ミニベロさん「7手ベースの可能性を広げてくれた178回でした。」
■筋や段をずらした7手ベースは難問になるかも。
諏訪冬葉さん「今回の勝手に決める隠しテーマは「6・7手詰めの応用」になりました。」
■狙った特集ではなかったのですが、結果的には的を得ているテーマですね。
ほっとさん「久しぶりにヒント前に解けました!」
■出題時の予想通りに易しい回だったようです。手応えが不足していたのでは?
飯山修さん「'作'という実感はないが去年のパラ全国大会での中村雅哉さんの要望に答えられた形になりました。
ありがとうございました。」
■提供いただいたあの8手の6作が164-3の総評で書かれていた詰上り図面DB集の一部なのですね。
RINTAROさん「ヒントのおかげで何とか解けました。」
■ヒントが出ない詰パラの推理将棋は、問題文の解釈で躓くと正解できる希望が薄れます。10月号では王手放置の手を指すような文になっていてお手上げ状態です。(泣)
御原真尋さん「初めての解答で、至らない点があるかもしれませんが、どうぞよろしくお願いいたします。」
■初解答ありがとうございます。今後とも解答をよろしくお願いします。推理将棋の作図にもチャレンジしていただければと思います。まずは2025年の年賀推理作りでしょうか。
占魚亭さん「今回は1問解答。全く浮かばない……。」
■そんな時もありますね。担当は、思考が堂々巡りして全然進まず、新しい手順や形が思い浮かばないことが多々あります。
推理将棋第178回出題全解答者: 13名
piyoさん NAOさん はなさかしろうさん 原岡望さん
るかなんさん ミニベロさん 諏訪冬葉さん ほっとさん
飯山修さん 中村丈志さん RINTAROさん 御原真尋さん
占魚亭さん
当選: RINTAROさん
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コメント
『37枚一致』シリーズ、第二弾は手数が増えてきましたね。
ところで、このシリーズで、駒の配置が同じ、ということをどのように定義しておられますか?
※ 私はこの178-3を解くときに、「配置が同じ」=「位置、所属(先手方か後手方か)、状態(成生)の全てが同じ」と思っていました。
また、「駒」は物質であって同種間でも個体が識別される存在、と思っていました。
これは更に、ひとつの駒台に同種駒が複数乗った後で駒打ちをすると、駒のアイデンティティはどうなるか、
ということが定められている必要があるのですが、178-3を解く時点では実質的に問題になりませんでした。
(同種駒のどれを打つかは棋譜で指定できないため、駒を打った時点でアイデンティティ不定となり、
個体識別できなくなる、と私は考えていました)。
「配置」が推理将棋の共通認識として定義されている状況にはまだなっていないかな…と思いますので…※は単なる私見です。
投稿: はなさかしろう | 2024.10.29 21:58
40枚の駒に番号を打ったとして、推理将棋としては、それは無視してよいとしています。
設問として、番号を意識させる場合は、それを条件に入れることになっています。
ただそういう作品は、MIXI時代にわずかにあっただけなので、知っている人はもういないでしょう。
そこに着目されたはなさかさんはさすがですが、本作のような場合は、
補足説明が必要かもしれません。
投稿: ミニベロ | 2024.10.29 23:02
「初形と同じ」ということは、駒の生・成や向きが同じになります。
もし、「初形のまま」だと動くことかできませんし、同じ位置への駒打ちもできませんが、「配置」となっているので初形と同じ位置へ同種の駒を打つことも、175-1の時のように歩を控えて打ってから突いてもいいです。
出題中の179-3の作者ヒントで「厳格に数えるなら36枚」の意味は「初形のままで動かない駒は36枚」ということですね。終局時に初形と同じ配置になっているのが37枚ですので、元の場所へ戻ったかその地点へ打ったかのどちらかでしょう。打った駒の場合は元々は相手の駒だったものを取って打つことが多いので、物理的に元の駒と同じ駒がそこにいるわけではないのでそこが問題だということですね。(駒台で混ざることなく、取られた駒を相手が打ってその駒を取り返したことを証明できる場合は別)
次回の出題では配慮したいと思います。
投稿: Pontamon | 2024.10.30 07:41
ミニベロさん Pontamonさん ありがとうございます。
179-3のるかなんさんのヒントで、もしかしたら解釈違いかな…と思ってしまったのですが、
Pontamonさんのコメントで私の解釈がずれていなかったことがわかって良かったです。
なにくわぬ顔をして元の状態に戻る駒があると、一段と面白くなりますね。
Mixi時代の実験的、野心的な試みが半ば埋もれた状態になっているのは残念なことなのですが
車輪の再発明になっても良いから作ってみる、というのもアリなのかな、と思いました。
先例があることがわかれば、15年以上前に作られていたんだ! と、
リスペクトの再鑑賞ができると最高なのですが。
改めまして「配置」は面白いですね。位置・所属・成生が同一、という要素を敢えて崩すと
ひとつ作れそうですが、先例があってもおかしくないところだったりします。
投稿: はなさかしろう | 2024.10.30 21:13
>>ひとつ作れそうですが、先例があってもおかしくないところだったりします。
古い話なので、もうどんな作品だったのか記憶にありません。
が、バッティングしてもいいじゃないですか。どんどん作ってください。
推理将棋は、「条件が違えば別物」ですから。
万が一同じだったら、作者から連絡があるでしょう。
そうしたら、どんな作品だったか分かりますし。
条件のイメージとしては、
・41にいた駒が、最終手で88に移動して先手玉を詰ました。
とすると、その駒の属性が要求されますよね。
駒台を2回経由したか、とことこやってきたか、解答者に考えさせる。
ところが作意は、先手の馬が41で取られて使われたとか、可能性は広がりますね。
※亀レスすみません。旅行してました。
投稿: ミニベロ | 2024.11.02 16:24
179-3のPontamonさんのヒントで、本シリーズで同種駒は個体区別なしと定義されているのかな、と思いました。量子みたいで、これもカッコイイ定義です。そして、この定義だと手数が短くなるので…ということですね。なるほど。。
投稿: はなさかしろう | 2024.11.06 21:40
こちらで議論進んでいたのに気づいていませんでした。
自分の出題意図としては「実践初形」とは「この対局の最初の配置」ではなく、通常の本将棋すべての初形に共通する配置という解釈をしています。
「37枚が実践初形と一致」=「37枚を触らず、残り3枚の駒の配置を直せば次の対局を開始できる」とも言い換えられます。
盤と駒が同じでも、対局ごとに毎回物理的に同じ駒を同じ位置に配置するとは考えられないため、物理的な同一性までは求めない条件という立場です。
物理的に同じ駒という解釈でも面白いことはできそうですね。
実際に駒を並べている当事者であれば、駒台に同種の駒があっても見分けは付くはず。
例えば41金と61金を途中両方取って最終手41金打までの棋譜に対し、条件を「取った駒を最初の位置に打って詰み」とする場合。
駒を動かした当事者にとっては取った金のうちどちらを打ったのかわかるので嘘ではなく、条件付けとしては成立するはず。
(仮に自分がその意図で出題するなら「それは棋譜見ただけじゃわからない」くらいは入れるかなとは思いますが)
投稿: るかなん | 2024.11.30 20:03
るかなんさん コメントありがとうございます。
その後、そういえば将棋用語としては「局面」の概念が良く確立されていたな、と思いました。
「局面」は本シリーズの「配置」に「手番」を加えた概念で、ルールで定義されているかどうかはわからないのですが、
千日手の運用で十分に裏打ちされていると思います。
駒のひとつひとつを注視するのではなく、駒種の分布を総体として捉える見方ですね。
一方で、(詳しくなくてうろ覚えなのですが)チェスのプルーフゲームでは駒の由来を問うものがあった気がします。
このポーンは元はどの列にいたものでしょう? というような。
これが将棋でやりにくいのはやはり駒打ちがあるからで、同種駒が複数駒台にある状態でその駒種を打つと、
仰るように「それは棋譜見ただけじゃわからない」ということになりますね。
とはいえ、言葉で定義を補足できるのが推理将棋の良いところ。
るかなんさんの例にあるような「都合の良い方を選べる」とする方針も取れますし、
逆に棋譜だけで確定できないと駄目というような「同種駒が複数駒台にある状態からの打ちは経由できない」とする方針も取れると思います。
後者の方針で2問作ってみましたが……見た目がいかついのは如何ともし難いところです。。
投稿: はなさかしろう | 2024.12.10 00:58