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推理将棋第179回解答(2)

[2024年11月25日最終更新]
推理将棋第179回出題の179-2の解答です。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。

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179-2 中級  はなさかしろうさん 作  駈込み推理将棋  12手

「12手目に初手と同じ種類の駒の手を指したら2度目の王手がかかって35の玉が詰んだのでございます」

さて、どんな手順だったのでしょうか。

(条件)

  • 12手目に初手と同じ種類の駒の手を指したら2度目の王手がかかって35の玉が詰んだ

作者ヒント

 初王手は飛の手です(はなさかしろう)

締め切り前ヒント

 先手の着手は玉の4手と歩の2手。歩の手は隣り合った筋です。玉の手の空き王手は無理。


推理将棋179-2 解答 担当 Pontamon

36歩、△84歩、▲48玉、△85歩、▲37玉、△84飛、
▲26玉、△24飛、▲35玉、△44歩、▲46歩、△34歩 まで12手

(条件)
・12手目に初手と同じ種類の駒の手を指したら2度目の王手がかかって35の玉が詰んだ(初手▲36歩-12手目△34歩、7手目▲35玉、王手:8手目△24飛、12手目△34歩)

Suiri1792

まずは王道の頭金や頭銀で35の玉を詰ます手順を考えます。金や銀は34へ打つので△34歩は突けないので先手の金や銀を取りに行く角は△13角から68地点へ初手で動かす金や銀を取りに行くことになります。たとえば、▲68金、△14歩、▲48玉、△13角、▲36歩、△57角不成、▲37玉、△68角不成、▲26玉、△59角成、▲35玉、△34金の手順ですが、△37馬が間に合わないので26や46の玉の退路があるままになり失敗します。かと言って△57角不成から48地点の金や銀を取ろうとしても48には玉が居るタイミングになるので上手く行きません。

次は、35の玉を飛で詰める形を考えてみます。先手の飛を取って、12手目に5段目へ飛を打つ手順の▲36歩、△14歩、▲48玉、△13角、▲37玉、△57角不成、▲48飛、△同角不成、▲46玉、△37角不成、▲35玉、△15飛も初手で飛の手を指せません。▲36歩、△14歩、▲48玉、△13角、▲37玉、△46角、▲26玉、△28角不成、▲35玉、△13桂、▲18香、△25飛の手順では先手に1手余っているので初手で飛の手を指せそうですが、飛を取らせる地点が初期配置の28地点なので、飛が28へ戻る暇がありません。かと言って、初手▲38飛から▲37飛として37地点で飛を取らせることもできません。

Suiri1792aでは、先手の飛を取るのではなく後手陣の飛で詰ます手順はどうでしょうか。▲46歩、△14歩、▲48玉、△34歩、▲47玉、△13桂、▲36玉、△35歩、▲同玉、△44歩、▲26歩、△32飛では、最終手が初手と同種の駒では無いし、かと言って初手に▲18飛などと指せば先手の手数が足りなくなります。

と言うことで、困った時は両王手を疑えという教えに従ってみたのが参考図の手順になります。王手は2回ですし、この両王手で決まったかと思ったのですが、▲26玉の退路が残っていて失敗でした。△59角不成で26地点を角で抑えていれば△55飛成で46への玉の脱出を防ぎつつ詰めることができるのですが手数オーバーになってしまいます。

参考図:▲68飛、△14歩、▲48玉、△13角、▲36歩、△57角不成、▲37玉、△68角不成、▲26玉、△57飛、▲35玉、△55飛不成 まで12手

桂や角は初手では動かせないですし、初手▲18香にして、後手が99の香を取って3筋へ打っても玉腹など逃げ場が豊富になりそうです。残る駒種は歩しかありません。もちろん打ち歩詰は反則なので33の歩を最終手で△34歩と突くしかありません。玉尻は初手の▲36歩だとして、玉の退路になりそうなのは、25、26、45、46地点の4箇所です。先手は初手の▲36歩の他に玉が35地点へ行くための4手が必要なので残り1手を指せます。玉の退路を自ら塞ぐ▲26歩か▲46歩の協力はできそうです。25地点は先の手順で出て来た△13桂で抑えることができるので、先手が▲26歩の協力手を指せば、玉の残りの退路は45と46になります。後手の駒でこれら2地点を同時に抑えることができるのは飛や香なので、△44飛を目指してみます。手数を数えてみると、△44飛には△84歩、△85歩、△84飛、△44飛の4手が必要で、△13桂には△14歩、△13桂の2手が必要なので後手の手数6手を使い果たしてしまうので△34歩を指せません。△34歩を指すためには何処かで1手を減らす必要があります。

△44飛ではなく、飛で抑える地点を25と26の2地点にする△24飛はどうでしょう。△44飛も△24飛もその配置には4手必要なのは変わりませんが、25地点を抑えるために△14歩と△13桂の2手が必要でしたが、45地点を抑えるのであれば△44歩の1手が足りることに気付けば解決です。44地点の歩を支える駒は居なかったのですが、12手目の突き歩の王手の△34歩によって22の角が44の歩を支える形に早変わりします。初手から、▲36歩、△84歩、▲48玉、△85歩、▲37玉、△84飛と進みます。王手は2回なので△24飛が王手になるように7手目は▲26玉で続けて△24飛、▲35玉、△44歩です。残った玉の退路の46地点は11手目の▲46歩で塞ぎ、△34歩で詰みとなりました。

それではみなさんの短評をどうぞ。

(短評)

はなさかしろうさん(作者)「推理将棋で主役になりがちな角馬を抑えるための意地悪な駒種指定。それでも最後に44歩への紐の付け替えで角が働くのが嬉しくて作問しました」

■投稿時のコメントでは締め切り前ヒントは盛ってくださいとのことでしたが、正解数を見るとヒントが足りなかったようです。意地悪な駒種指定と言っても駒種を明らかにはしていないので、締め切り前ヒントで駒種をもっと明確に言った方が良かったかも。

るかなんさん「最初は42から44に飛を展開してました。大駒を一気に活用する最終手が気持ち良い。」

■△42飛から△44飛だと45の歩を飛で守ることができ、25地点を抑えるための△24歩にも飛の利きが届いていますが、△34歩の突き歩の王手をした瞬間に24の歩の支えが無くなってしまいますね。

NAOさん「歩が本命。飛金銀の初手もありそうだが詰まない。意表のひねり飛車から突歩で解決。」

■▲76歩で角道を開けて詰める13手詰の165-3を解いたときに手数が偶数手の時の△34歩で詰める作品を考えたそうです。玉位置は35と明かしているので△34歩は空き王手にはなりませんが、一番意外なはずの歩に目星をつけたのは流石です。

ほっとさん「最終手34歩で44歩に紐がつくのが見えにくい。これだけで限定できているのは驚き。」

■初手が▲36歩で最終手が△34歩だと睨んでも、44の隣のマスへの最終手△34歩が△44歩の紐になるとは思い難い盲点でした。

ミニベロさん「トドメの34歩を指した瞬間、浮いていた44の歩に角の紐が付くという見事な仕掛け。
見たこともない華麗な終局図の本局は、詰め上がりからの逆算と推察しました。
条件付けが巧みなため、すべてがうまく限定できています。」

■初案は「12手目の34歩で35玉が詰んだ/初手歩/王手2回」だったとのことです。逆算ではなく、検討範囲が広がってしまうけど論理ミニマムの方向に条件を変えていったようです。

RINTAROさん「限定のさせ方が上手いです。」

■解説に書いたような紛れ筋の手順全てを検討した上での条件設定だったのでしょう。作図から1年くらい寝かせていた作品のようです。

テイエムガンバさん「条件から12手目に指したのは歩と予想したのは正解だったのですが、開き王手の筋を優先して読み落とし穴にはまりました。」

■△42飛からの△44飛、△24飛の順の解答でしたが45の歩を取って玉に逃げられてしまいます。

飯山修さん「飛車の初王手が思いつかない。降参。13角から入って56馬を据え34歩の突き歩の手順が鮮やかな為そこから抜け出せず。」

■▲36歩、△14歩、▲48玉、△13角、▲37玉、△57角成、▲26玉、△56馬、▲35玉、△13桂、▲26歩、△34歩 の手順ですね。手順前後も非限定も無い完璧な手順ですが、初王手での詰みなので条件をクリアできていないのが残念です。

占魚亭さん「「44歩を取れるのでは?」と思ったけど、角が利いていた(笑)。」

■早見えに錯覚があると正解手を排除してしまい、一気に難問になってしまいます。

桝彰介さん「分かりませんでした。玉の経路が4八→3七→4六→3五で考えていて、全く足りませんでした。」

■玉が46を経由させると後手の△13角が使えないので解図への道が狭まる感じなのですが...。

諏訪冬葉さん「最終ヒントを見るまで最終手歩は消してました。」

■歩は一番ありそうにない駒種なので、普通、まずは金を疑って次に飛でしょうね。

原岡望さん「ヒントの意味を曲解し、明王手の詰と思い込み苦戦。」

■33地点の後手玉で32の飛の利きを止めておいての△42玉の空き王手は無理ですが、ヒントを見て、最終手は玉以外の駒の手での空き王手と睨んだわけですね。


正解:10

  るかなんさん  NAOさん  ほっとさん  ミニベロさん
  中村丈志さん  RINTAROさん  はなさかしろうさん
  占魚亭さん  諏訪冬葉さん  原岡望さん

(当選者は全題の解答発表後に発表)

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コメント

間違って179-3の結果稿へ貼り付けてしまった占魚亭さんの短評をこちらへTETSUさんに貼り直していただきました。

投稿: Pontamon | 2024.12.03 16:03

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