推理将棋第180回解答(2)
[2024年12月25日最終更新]
推理将棋第180回出題の180-2の解答です。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。
関連情報: 推理将棋第180回出題 推理将棋第180回解答(1) (2) (3)
推理将棋(おもちゃ箱) 推理将棋(隣の将棋) どんな将棋だったの? - 推理将棋入門
180-2 中級 原岡望 作 38枚原配置 13手
「12手目に置き駒を移動し、13手目 4度目の「同」 と思い込んでいたら他の手で詰まされた」
「詰上がり、盤上の駒38枚が原配置とは! 他の駒は寝ていたのかな」
「そうそう、横に動いた駒はなかったよ」
さて、どんな手順だったのでしょうか。
(条件)
- 13手で詰んだ
- 「同」のつく指し手が3回あった
- 12手目に駒を移動し、13手目同のつく指し手を予想していたら、他の手で詰まされた
- 終局時、盤上の38枚の駒は原位置だった
- 横に動いた駒はなかった
※担当補足;「原配置/原位置」は、地点と駒種と所属が同じ。(駒種は全部で14種)
出題のことば(担当 Pontamon)
単騎詰が11手以内で可能なのは玉方が詰まされる配置にできるから。本問では2枚で詰めるようです。
作者ヒント
14手目 5度目の「同」で優勢と読んでいたのに(原岡望)
締め切り前ヒント
後手の読みは13手目の同龍の王手を同角で取れるというもの。詰み上がりは駒の所属を考えなければ39枚が初期配置と同じと言えます。
推理将棋180-2 解答 担当 Pontamon ▲26歩、△24歩、▲25歩、△同歩、▲同飛、△42銀、 (条件) |
初期配置と38枚の駒が同じ配置ということは、後手玉を詰めている先手の攻め駒2枚だけが原配置と違っていることになります。初期配置のままの駒が多い詰む形と言えば、吊るし桂の形が思い浮かびます。初手から▲76歩、△62金、▲75歩、△74歩、▲同歩、△73桂、▲同歩成、△61金、▲82と、△同銀、▲32飛、△71銀、▲77歩、△73歩、▲55桂、△44歩、▲43桂不成の手順だと、先手陣の20枚の駒は初期配置と同じになっていて、2段目へ打った飛と3段目の桂で詰ますことができていて、同の手も3回になっている手順なのですが、手数オーバーの17手でした。しかも43の歩を△44歩と突いているので原配置と同じ駒は37枚になってしまっていました。
吊るし桂の形では原配置と異なる駒が3つ以上になってしまうようですが、飛車を2段目へ配置すると初期配置の玉は動くことができなくなるので詰み形に採用したいところです。となれば、2段目の飛は玉の退路封鎖の働きをする駒になるので後手玉に王手を掛ける駒と王手位置を考えることになりますが、玉近辺には金銀が居るため、2段目の飛の利きを利用して玉頭や玉の媚びんから王手をしても△同金や△同銀で取られてしまいます。▲33角や▲73角での王手は後手の金や銀の移動合いが可能なので適しません。となると玉腹からの王手しかありません。幸いにも玉腹地点は後手の玉と銀の間なので、△同銀で取られる心配はありません。玉腹で王手する先手の駒は、初期配置でその位置にあった金を取って打つことになります。
玉腹への金打ちで詰む形に先月の179-3の余詰の詰み上がりがありました。この玉の媚びんへの飛の手と玉腹への金打ちで詰める形を目指してみますが、本問では横移動の手を指せないので、後手の金と飛を取るために7筋の歩を突いて行って、7手目に73地点の後手の金を歩成で取り、さらに9手目に▲82とで飛を取る手順を指してみます。その後先手は11手目から▲77歩、▲62飛、▲61金の15手で詰めることができます。後手は10手目に△82同銀で歩を入手できるので△71銀で戻る手と△73歩で歩を埋め直せば良さそうです。手数オーバーの15手になってしまうので分かりましたがとりあえずこの方針で指してみたのが参考図の手順です。7手目までは同の手が2回で金を取るところまで順調に進んだのですが、8手目に後手が指す手がありません。仕方ないので△42金を指しておいて、▲82と、△同銀が3回目の同の手です。△42金を△41金で戻す手を指す必要があったので後手は歩を埋め戻す手の△73歩を指せていないため、原配置と同じ配置の駒は37枚止まりでした。もし、△73歩を指すのであれば今度は先手が何か待ち手を指すことになり、▲58玉と指すと原配置と同じ駒数はやはり37枚のままです。これでは手数が延びて行くだけでタイミングが合いません。そこで参考図の13手目を▲62飛ではなく▲73飛とした場合は、△71銀、▲72飛成、△73歩、▲61金で原配置と同じ駒が38枚で詰みます。ただし、手数は更に延びて17手です。
参考図:▲76歩、△72金、▲75歩、△74歩、▲同歩、△73金、▲同歩成、△42金、▲82と、△同銀、▲77歩、△41金、▲62飛、△71銀、▲61金 まで15手
どうやら、後手の飛を取って2段目へ打つのでは手数オーバーになるようです。となると2段目に飛を配置したければ先手の飛を使うことになります。と言っても横移動の手を指せないので、2筋の先手の飛を2段目へ持って行くと言っても22の角を取るわけには行きません。となると、23地点で成って龍にしてから斜め移動の手で▲32龍とすることになります。32取点に龍を配置すれば、玉腹の金の手である▲41金を支えることもできます。初手からの▲26歩、△24歩、▲25歩、△同歩、▲同飛までの5手は確定でしょう。その後。先手は▲23飛成から▲32龍を目指すのですが、その過程で後手の金を取る必要があります。▲32龍としてから龍で金を取りに行くと王手になってしまって手数オーバーになりそうです。ここまで同の手は2回なので、7手目の▲23飛成の後は△32金、▲同龍になりますが、今のところ6手目の手がわかりません。11手目は▲27歩で歩を埋め戻す手で13手目は▲41金で決まっています。後手の△23歩は決まっていますが、もう1手が不明です。決まっていなかった6手目との2手で待ち手になっているのが推理できます。9手目で32地点に龍が居ることになるので、待ち手として玉が2段目と1段目を行き来する手は指せませんが、△62銀-△71銀、△62金-△61金、△42銀-△31銀のいずれかの組になります。12手目は駒が動いた手なので駒を打つ手の△23歩ではありません。つまり、△23歩の10手目は確定します。12手目の駒が動いた手に対して同の手を指すことが可能なのは12手目が△31銀の場合だけになるので6手目の△42銀が決まります。6手目から△42銀、▲23飛成、△32金、▲同龍、△23歩、▲27歩、△31銀、▲41金で詰みとなりました。
それではみなさんの短評をどうぞ。
(短評)
NAOさん「横の動きを封じられると、途端に手が見えなくなる。銀の屈伸を強要する"同の付く手を予想"が苦心の条件。」
■飛車が動ければ簡単だったのですが...
るかなんさん「最後についでのように出てくる「横」が強烈な縛り。」
■最後の条件は余詰回避のための付け足し感があるものもありますが、本作では強力な縛りでした。
RINTAROさん「詰め上がり図が限られているため考えやすいが、銀の往復で調整させた点は見事だと思います。」
■右の銀や金でも時間稼ぎができますが、条件をクリアできるのは左の銀だけでした。
piyoさん「詰み型はすぐに浮かんだのですが、なぜかこちらの飛車を使うことが全く浮かばず、後手の飛車をとることばかり考えて行き詰まってしまってました。76歩から始めるとクリアすべき課題が多く… 26歩が浮かんだ後は瞬殺でした。」
■条件から横に動く飛の手は無いと思い込むと解けなくなりますが、後手の飛を取って使う場合は横移動の手を指したくなりますね。条件を守って初手▲76歩から始めて、△73金、▲同歩成で金を取ってから▲82とで飛を取り、△同銀で指し進めると
はなさかしろうさん「38枚原配置は最短12手の4 or 6筋突破が第一感ですが飛の横廻りを封じられてハタと立ち止まりました。本譜の侵入経路は32に龍が入れるのが大きいですね。」
■▲23飛成から△32金、▲32同龍で金を取る流れが見事です。
ほっとさん「42銀~31銀が面白い。」
■6手目の△42銀は詰みまで見通せないと指せない手。このような場合は統計の帰無仮説のように6手目は仮に歩でも突いておくと辻褄合わせに失敗して、間違った仮説を捨てる際に正解が見えてくることが多いようです。
飯山修さん「原岡流コメントは「せっかく敵が見逃したタダ角にあわててヒモをつけたのに」ですかね
でも担当者から「随分長いタダ角見逃しですね」とツッコミが入りそう」
■角をタダで取れる局面があったという条件なら角に利きがある31の銀を42へ移動させる手が見えますね。
ミニベロさん「ヒント貰ってやっと解けました。2枚だけでの詰め上がりは、無理に作ってもあと数個しかないのに、見えなかったです。
本家に負けない秀作です。」
■吊るし桂や▲43馬に▲61金、▲53角に▲71飛の形だと後手の歩が邪魔だったり△52金右の手が必要だったりして原配置と38枚一致は無理ですね。
正解:9名
NAOさん るかなんさん RINTAROさん 原岡望さん
piyoさん はなさかしろうさん ほっとさん 飯山修さん
ミニベロさん
(当選者は全題の解答発表後に発表)
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コメント
未解決問題
「玉2枚以外の38枚が原位置」だと何手でしょうか?
終局図の存在と逆算が可能なことは確認しています。
投稿: 諏訪冬葉 | 2024.12.27 05:28
最短手数探索の面白い課題ですね。想定解を立てで手順を限定する条件がつけられれば推理将棋として出題できるかも。
この課題では攻方に遊びが多いので限定は大変そうですか。
投稿: はなさかしろう | 2025.01.01 11:17