推理将棋第180回解答(3)
[2024年12月30日最終更新]
推理将棋第180回出題の180-3の解答、第180回出題の当選者(御原真尋さん)を発表します。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。
関連情報: 推理将棋第180回出題 推理将棋第180回解答(1) (2) (3)
推理将棋(おもちゃ箱) 推理将棋(隣の将棋) どんな将棋だったの? - 推理将棋入門
180-3 上級 るかなん 作 37枚一致(15手) 15手
「15手目で詰んだこの局は王手1回、玉頭の手も1回で、駒取りもその玉頭の手の直後の1回だけだったね。」
「また37枚が初期配置と同じなの?」 ※
「玉の周辺へ着手した駒は1種類だけだった。」
さて、どんな手順だったのでしょうか。
(条件)
- 15手で詰み
- 終局図で盤上の駒のうち37枚は実戦初形と同じ配置 ※
- 王手1回
- 玉頭の手1回
- 駒取りは玉頭の手の直後の1回
- 玉周辺への着手は1種類の駒種
※担当補足;「同じ配置」は、地点と駒種と所属が同じ。(駒種は全部で14種)
出題のことば(担当 Pontamon)
3作同時投稿だった37枚一致シリーズの最終回は15手です。37枚は位置と駒種と所属が同じです。
作者ヒント
盲目的に数えるなら38枚(るかなん)
締め切り前ヒント
85地点への最終手で9筋の玉が詰みます。
余詰修正
会話の最後に
「玉の周辺へ着手した駒は1種類だけだった。」
を追加し、条件に
・玉周辺への着手は1種類の駒種
を追加して余詰修正とさせていただきます。
推理将棋180-3 解答 担当 Pontamon ▲96歩、△94歩、▲95歩、△52飛、▲94歩、△62玉、 (条件) |
![]() |
余詰修正によって随分解き易くなったはずでしたが、解答数は中級と並んで一桁でした。今回は修正条件で解説して行きます。
37枚が実戦初形と同じ配置の第3弾は15手と手数がのびたのでこれまでに出来なかった詰み形が可能になっているはずです。たとえば、7手詰の▲23歩成までの詰み形では玉の退路封鎖のための△42飛の協力手が必要ですが、15手ともなると先手が5筋の歩を突いて行って▲53歩成で42地点を抑えることができます。▲53歩成で取った歩を57へ打って初期配置を補修することもできそうですが、2つの筋の歩を3段目まで突いて行くとそれだけで15手になってしまいます。23と53の後手の歩を取っているので初期配置と同じ駒は35枚なので失敗します。7手詰の詰み形が頭にあると▲23歩成を目指してしまいがちですが、32の後手玉を詰めるのなら角が壁になっていて後手玉は身動きができないので、43地点への金や銀で詰ますことができます。その支えには47の歩を44地点まで突いて行くのが良さそうです。手数を数えてみると、47の歩を44地点まで突くのに3手、49の金や39の銀が43地点まで行くのには6手が必要なので、先手の手数は合計で9手なので1手の手数オーバーになってしまいます。最下段の金や銀が3段目まで行くのに手数が掛かり過ぎているのが原因です。そこで捻り出したのが参考図の手順になります。金や銀の代わりにと金を使うこの手順では▲43歩成でできたと金を引いておいて、43地点で取った歩を▲43とを支えるために▲44歩と打つ手順になっています。後手は1回だけの玉頭の手の直後に▲43歩成の駒取りができるようにしたり王手が1回で済むように金や玉をやり繰りして△32玉を指すタイミングを計っています。41へ移動した玉の周辺の手になる玉頭の手は△42金で、この金は△52金寄、△51金引の手で玉の周辺を周り、32へ移動した玉の周辺の手にもなる初期位置へ戻る△41金の手全てがこの金だけの手になっています。しかし、最終手の▲43も玉に接しているので玉の周辺の手になり、2つ目の駒種になってしまい失敗でした。「と金」だから金と看做せると主張するのには無理があります。
参考図:▲46歩、△32金、▲45歩、△41玉、▲44歩、△42金、▲43歩成、△52金寄、▲44と、△51金引、▲34と、△32玉、▲44歩、△41金、▲43と まで15手
参考図の失敗原因を考えてみると、玉周辺の手が1種類という条件のようです。▲44歩を支えにしての▲43金の詰み形であれば玉周辺の手が金の1種類になるので条件をクリアするのですが残念ながら先手の手が9手になるので手数オーバーです。最終手が頭金(と金)のような詰み形で玉頭の手が1回をクリアしようとしても、玉頭の手の直後に駒取りり手を指す必要があるので駄目です。玉頭の手は1回なので最終手で頭金のような手は指せず、参考図のように玉の媚びんへの手で王手をすると、玉周辺への手が1種の条件をクリアできません。
何か矛盾しているような感じがしますが、これらを一気に解決するのが空き王手です。後手玉の周辺の手以外での空き王手なら、玉頭1回や周辺1種の条件をクリアできます。空き王手となると実際に玉を詰める駒は角、飛、香のどれかになりますが、端の筋に無い飛や角では王手された後手玉が横や斜め地点へ容易に逃げることができるので、端筋の香を使った空き王手のはずです。1筋と9筋のどちになるかですが、22の角が居座っているので1筋へ玉が行くのは難しく、9筋へ後手玉が向かうことになります。玉が92地点だと空き王手の際に△93桂の合い駒ができ、94や95の中段の玉なら空き王手する駒は玉から1間以上離れているため、空き王手された際に後手玉は真横の8筋のマスへ逃げることができます。となると、後手玉は93地点になるはずです。玉尻の92地点は香で王手されているので下がることができず、82地点には飛が居るはずなので逃げれません。斜め前の84地点へ逃げれる可能性があるので、先手は空き王手の駒で84地点を抑える必要があります。その課題はとりあえず置いておきます。後手玉は9筋へ行く際に2段目へ上がってしまうと玉頭の手を指すことが難しくなりそうです。玉が9筋へ向かうのに邪魔な飛をどかす必要があるので玉頭の手は△52飛のはずです。その△52飛の直後の手で先手は駒を取る必要があるので、△52飛を指す前に後手の駒が取られるような準備が必要です。初手から▲96歩、△94歩、▲95歩と進めば先手は次の5手目に▲94歩で後手の歩を取ることができるので4手目が△52飛の玉頭の手です。続けて5手目からは▲94歩、△62玉、▲93歩成と進み、93地点で歩成をしてと金を作ります。8手目の△72玉で玉が93のと金に近づいて来るので9手目は▲94とでと金を引きます。続けて△82玉、▲95と、△93玉、▲96との後に飛を初期位置へ戻す△82飛が14手目になります。△82飛は玉の周辺への手になりますが、玉頭への手の△52飛と同じ飛の着手になっていて玉周辺への手は1種類の駒の条件をクリアしています。さて、最終手ですが、現在96地点のと金で99の香の利きを遮っているので次の15手目に96地点のと金を8筋へ動かして空き王手をするのですが、▲86とと▲85とのどちらでしょう?後手玉が84地点へ逃げれないようにする▲85とが正解になります。
余詰手順
今回は余詰を出してしまいました。粗検、大変申し訳ありませんでした。
はなさかしろうさんの余詰手順
▲96歩、△94歩、▲95歩、△52飛、▲94歩、△62玉、▲93歩成、△72玉、▲94と、△82玉、▲95と、△93玉、▲92歩、△82飛、▲85と
RINTAROさんとほっとさんの余詰手順は手順前後の解答でした。下記はRINTAROさんの解答手順です。
▲46歩、△44歩、▲45歩、△52飛、▲44歩、△82飛、▲43歩成、△92飛、▲44と、△82飛、▲34と、△42玉、▲44歩、△32玉、▲43歩成
(初手▲66歩から△72玉を詰める左右反転形もあり)
それではみなさんの短評をどうぞ。
(短評)
るかなんさん(作者)「内田氏作175-1を見てこの条件を思い立ち作成。最初に思いついた手順はこれで、短い手順は揃ったと思っていたら最短手数がまだ残っていたとは…
11手1筋/13手5筋/15手9筋の条件で出題できていれば完璧だったのですが。」
■粗検、申し訳ありませんでした。
NAOさん(双方解)「駒取り1回の制限が厳しく、詰形を想定しがたい。
と金引きが入るとは意表の展開。」
■無くなった自分の歩を埋め戻すことが出来ないとなるとどこから手を付けたら良いのか迷ってしまいそう。
RINTAROさん(双方解)「この手順は全く思い浮かびませんでした。」
■想定外の空き王手?!余詰手順を先に見つけられていたのかな。
原岡望さん「二つに悩まされました。玉頭の手。(素早い回答ありがとうございました。) 金の活用と思ったのですが86歩の一手となり後手玉か進めなくなる。確かに後手玉と端の二枚の歩以外は原位置なのですが、これが正解とはまだ信じられません。」
■▲86歩と▲85金で△84玉や△94玉を詰める形でしょうか。後手が歩の埋め戻しができないと後手玉を中段へ出せませんね。
はなさかしろうさん(双方解)「11手で始まった本シリーズ、15手まで延長すると短手数手順の派生を抑えるのが大変かと思いきや、玉頭の手と駒取りを制限する巧みな条件付けで手が絞られていました。2手目と13手目が待ち手なのに発散しないのも本シリーズならではで面白かったです。」
■普通、手数が多くなるといろいろと凝った配置になる可能性を予想するけど、本シリーズでは37枚一致なので限られた駒を動かし続けることになりますね。
ほっとさん(双方解)「余詰筋がちらつき、なかなか軌道修正できなかった。と金の動きがユーモラス。」
■先に余詰手順が見えてしまうと作意が見えなくなるというあるあるですね。
飯山修さん「駒取り1回のみという事は玉の脱出路の歩は埋め戻せないという結論に気が付くのが遅すぎた
動かせない駒が多いという事は普通は簡単になる筈なのになかなか解けないのは情けない」
■歩を埋め戻したり利用したりすることができないのに攻め駒は2枚必要なので初期配置の飛び道具を利用します。歩成で使えるようになった歩打ちの手順が余詰でした。
諏訪冬葉さん「最終ヒントを見ても浮かばず「玉が94にいると駒種条件を満たしづらい」「後手は玉移動4手+玉頭の手と戻す手+1手」「1筋に行く別解がないということは大駒が絡む」らの条件をいろいろ考えました」
■空き王手で詰める駒が飛や角を想定していたのに、最終手が85地点への着手のヒントで逆に惑わされた感じかな。
ミニベロさん「解けません。こんなにヒント貰っているのに、初手すら分からない。
攻め駒2枚、じゃあ、玉を外に出す歩はどうするの。
取り駒1枚だから打ち直しもできない。降参です。」
■玉を外に出すための歩は先手に取って貰うというのが正解でした。と金が居座ると玉が寄って来れないので手数調整を兼ねてバックバック。
正解:9名
NAOさん るかなんさん RINTAROさん 原岡望さん
piyoさん はなさかしろうさん ほっとさん 飯山修さん
諏訪冬葉さん
(総評)
NAOさん「年賀詰の時期になりましたね。そろそろ創らないと。」
■今年の投稿は無しだったと思いきや、1日遅れで年賀推理を投稿していただけたので、担当作を1題削りました。
るかなんさん「3問中2問余詰は我ながら不甲斐ない限り…。
逆にn枚一致のnが小さい場合の成立手数にも興味があります。」
■もしnがゼロなら最低でも40手、でも40手では到底手数が足り無さそう。
nが小さくなると手数が増えるので、n+手数が最小になるのはいくつなんでしょうね。
RINTAROさん「180-3の作意手順以外はすぐに分かったんですが、180-3の作意手順が最終ヒントまで分からず。
素晴らしい手順だと思いますので、余詰修正で条件がくどくなったところが残念です。」
■そもそも駒取り1回なので歩の埋め戻しができないと思っているところへ,参考にならない「駒打ち無し」の条件追加だったら謎が深まったかも。
原岡望さん「今月は6日の解答です。バラはまたもや悪戦苦闘中。」
■パラの締め切りはこちらへの解答翌日だったわけですが、結果は如何に。2025年1月号の解答者情報で判明します。
ほっとさん「中間ヒントより前に解けていましたが結局ギリギリに。」
■中間ヒントとなると解答の到着順は2着か3着になっていたかもしれませんね。
御原真尋さん「中級と上級はどうしても最後まで解けませんでした。
悔しいですが1ヶ月あれこれ悩みながら楽しく過ごせました。」
■解けなくても楽しんでいただけたようで幸いです。今後も推理将棋をご愛顧頂けますようお願い致します。
推理将棋第180回出題全解答者: 12名
NAOさん るかなんさん RINTAROさん 原岡望さん
piyoさん はなさかしろうさん ほっとさん 飯山修さん
御原真尋さん 諏訪冬葉さん ミニベロさん 占魚亭さん
当選: 御原真尋さん
おめでとうございます。
賞品をお送りしますので、賞品リストから選んだご希望の賞品と送付先をメールでお知らせください。
あとがき
この結果稿が2024年の最後となります。
2024年の一年間、推理将棋への投稿や解答送付、誠にありがとうございました。
来年も推理将棋をご愛顧ください。
それでは良いお年をお迎えください。
| 固定リンク
「推理将棋」カテゴリの記事
- 推理将棋第183回出題(3月10日まで)(2025.02.13)
- 推理将棋第181回解答(3)(2025.01.28)
- 推理将棋第181回解答(2)(2025.01.26)
- 推理将棋第181回解答(1)(2025.01.22)
- 推理将棋第182回出題(2月10日まで)(2025.01.01)
コメント