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推理将棋第181回解答(2)

[2025年1月26日最終更新]
推理将棋第181回出題の181-2の解答です。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。

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181-2 中級  はなさかしろう 作 確定全駒初期位置詰   18手

「変わった棋譜を見つけたって?」
「うん。この棋譜を辿ると、18手ですべての駒が確実に初期位置にいる局面になって詰むんだよ。確定全駒初期位置詰というわけさ」 ※
「ほう。確実に、ときたか。途中で同種駒が同時に一方の駒台に複数ある局面があると、後で打つ時にどれを使ったのか棋譜では指定できないけれど、つまりこの棋譜はそういう局面を経由しない、ということで良い?」
「ご明察。確実に、とか確定とか言ったのはその意味だよ」
「了解。でも、18手は長すぎじゃないかな。確定全駒初期位置詰はもっと短手数で実現できると思うけど」
「うん。ただ、この18手の棋譜の場合、初期配置の玉方の歩は詰上りでも全て玉方に所属している、という特徴もあるんだ。それから、不成はなかったよ」
「なるほど。でも、ずいぶんいかつい条件だね。流石に手は狭そうだな」

さて、どんな手順だったのでしょうか。

(条件)

  • 18手ですべての駒が確実に初期位置にいる局面になって詰む ※
  • 初期配置で先手方の歩は詰上りでも全て先手方に所属する
  • 不成なし

※ 本問では同種駒であっても個体を識別します。40個の物質としての駒のそれぞれが確実に初期位置にあって詰む局面に到る棋譜を見出してください。なお、この棋譜は同種駒が同時に一方の駒台に複数ある局面を経由しません。そのような局面を経由すると、後の駒打ちの際に複数の中からどれが選ばれたのかを棋譜で指定することができないためです。なお、本問で「位置」とは盤上の座標のみを意味し、駒の所属や成生状態は不問です。


出題のことば(担当 Pontamon)

 37枚一致、38枚原配置に続き、ついに40枚が同じ位置!? ただし、「配置」の定義がこれまでと異なっています。

作者ヒント

 後手が取って打つ駒を考えるとほぼ理詰めで解けるはずでおすゝめです(はなさかしろう)

締め切り前ヒント

 とどめは玉腹への金打ちですが8段目へ逃げれないようにする工夫が必要。


推理将棋181-2 解答 担当 Pontamon

▲26歩、△24歩、▲25歩、△同歩、▲同飛、△27歩、
▲28銀、△同歩、▲24歩、△39銀、▲28飛、△同銀
▲39金、△同成銀、▲23歩、△28飛、▲27歩、△49金 まで18手


(条件)
・18手ですべての駒が確実に初期位置にいる局面になって詰む(詰み上がりでの28の飛、39の成銀、49の金の後手の駒は初期配置で同地点にあった先手駒)
・初期配置で先手方の歩は詰上りでも全て先手方に所属する(17手目の▲27歩は4手目に△25同歩で取られた歩を後手が△27歩と打ってから8手目に△28同歩成とした駒を11手目の▲28飛で先手が取り返した歩を27へ打ったもの)
・不成なし(8手目△28同歩成、12手目△28同銀成、15手目△23歩成)

Suiri1812

全駒が初期配置時と同地点にあって詰むはずがないと思った方もおられると思いますが、これまでの37枚一致や38枚一致とは異なり、全地点にある表裏を問わない駒が初期配置の時と物理的に同じ駒であればその駒の所属は問わないとのことでした。となると59地点の先手玉に王手を掛けれるのは初期配置時に49地点か69地点にあった金しかありませんが、終局時には後手の駒になっているということです。まだ、その後手の金を▲同玉で取られないようにするためには金の隣の銀も後手の駒になっているはずです。ただし、生の銀では金の支えにならないので成銀の状態で金の隣に配置されているはずです。玉腹への金で王手され、その金には紐が付いているのであれば、玉でその金を取ることはできないので8段目へ玉が逃げることになります。玉の逃げ場の8段目を抑えるには玉が逃げる筋の7段目の歩が後手の歩であるか、57地点の歩が後手のと金になっていれば玉の逃げ場がなくなります。2つの筋の歩を後手の所属にするには手数が足りないので、57地点を後手のと金にする形を目指して指したのが参考図の手順になります。

Suiri1812aこの手順だと、57地点のと金は初期配置では57地点にあった先手の歩だったので、69の金や79の成銀同様に配置に関する条件はクリアしていると思ったのですが、初期配置の先手の歩に関しては詰上りでも先手の歩、つまり7段目の歩やと金は全て先手に属していなければいけないとのことなので条件をクリアしていませんでした。

参考図:▲58玉、△54歩、▲56歩、△55歩、▲68銀、△56歩、▲59玉、△57歩成、▲同銀、△56歩、▲79金、△57歩成、▲53歩、△78銀、▲48金、△79銀成、▲49金、△69金 まで18手

参考図の詰み上がり図で57地点のと金が先手のと金、もしくは先手の歩の場合は、△69金の王手に▲58玉や▲48玉で逃げることができてしまいます。8段目へ玉が行けないようにするための57のと金でしたので、57地点が先手の歩にする必要があるとなると、別の手段で玉が8段目へ上がれないようにする必要があります。それが可能なのは28地点の飛が後手の飛であることは容易に気付くはずです。玉への王手は参考図と同様に玉腹への金打ちでその金を支えるのが成銀になります。

後手が先手の飛を取ってそれを28地点へ打つことになるのですが、少ない手数で実現するなら互いに2筋の歩を突いて行き、後手の歩頭へ先手の飛を動かして後手の歩で飛を取らせるのが良さそうです。初手から▲26歩、△24歩、▲25歩、△同歩、▲26飛、△同歩と進めると6手目に飛を入手できます。後手は先手の銀と金も取る必要があるのですが、今は26地点に後手の歩が居るので、▲38銀、△27歩成としてから△38とで銀を取って△49とで金を取り▲同玉でと金を取ると、先手と後手は初期配置で相手の所属だった歩をそれぞれ持ち駒にしている状態になります。となると、互いに持ち駒の歩を2筋へ打って、相手に取らせた上で▲27歩と△23歩を打つことになります。後手はその他に銀を打ってから成って39地点に成銀を配置する手と最終手の△49金を打つ必要があります。26地点で6手目に飛を取った後に指さなければいけない手を洗い出してみると、△27歩成、△38と、△49と、持ち駒の歩を打つ手、先手の歩を取る手、初期配置で23にあった歩を△23歩と打つ手、△28飛を打つ手、銀打ちの手、銀成の手、△49金の合計10手を指さなければいけません。6手目までに3手指しているので後手の手は13手必要になってしまい、4手オーバーです。飛を取るまでの手順を含めて、後手が指さなければいけない手をもっと効率よくする必要があります。手順の短縮方法を考えてみると、△27歩成でと金を作って、△38とで銀を取って△49とで金を取ってようやくと金を先手に取らせることになっていた手順を変更して、銀を取って打って、△39銀成の手で金を取れば次の手番で△49金を打って詰める手順であれば手数が短縮されるはずです。後手の歩を先手に取らせることも、と金を作ってからではなく、2筋の歩の突き合いをした直後の5手目に▲25同飛で取れば、互いに歩を打って、再度相手に歩を取らせることを早めることができるでしょう。

初手から▲26歩、△24歩、▲25歩、△同歩、▲同飛に続き6手目は後手の持ち駒の歩を先手に渡すための準備として△27歩と打てば、後手に銀を取らせるための協力手▲28銀を7手目に指して△同歩成で銀を入手できます。後手が指さなければいけない手が多いので9手目は▲24歩と打って、後ほど▲23歩成とすれば初期配置の後手の歩を23地点へと金の状態で戻すことができ、2筋の先手の歩が居なくなれば▲27歩を打つことができるはずです。10手目からの後手の手は飛を取ることと銀を打って成ること、39地点で金を取って△49金で詰めることなので、まず10手目は△39銀として▲28飛に△同銀成で飛を取ります。13手目は後手に金を差し出す▲39金で続けて△同成銀で金を取り、15手目から▲23歩成、△28飛、▲27歩で2筋の駒配置を確定させれば△49金で詰みとなりました。

詰将棋用語の「玉方」「攻め方」について

本問の会話中に出て来ていた「玉方」は「先手」とするべきとのご指摘がありました。ご教授、ありがとうございます。
調べてみると「玉方」や「攻め方」は詰将棋専用の用語であり、将棋での一般的な用語ではありませんでした。詰将棋をしない担当は、過去の使用状況などから玉が詰まされる側のことを「玉方」と言うと理解していたので、本問の会話と条件で用語が異なっていても気になりませんでした。
詰将棋では玉が詰まされるのは向う側の「玉方」だけですし、手前側の玉が詰まされる協力自玉詰(ばか自殺詰)でも「玉方」は向う側のことを指すので、玉が詰まされる側が「玉方」と解釈していたのが間違いでした。
今後、推理将棋では詰将棋用語の「玉方」「攻め方」を使わずに、将棋での一般用語の「先手」「後手」で統一させていただきます。推理将棋作家の皆様もよろしくお願いします。

それではみなさんの短評をどうぞ。

(短評)

はなさかしろうさん(作者)「本譜は銀打ちの自然な限定が嬉しくて作問しましたが、より短手数の筋を回避しなければならず…残念ながら余詰防ぎだけの歩条件を導入しました。」

■余詰回避のための条件は推理将棋には付き物で手数が長くなると避けようがないのかも。mixiの「99番 手数+1条件」では28手詰が最長手数のようですね。

NAOさん「元の27歩を打たせて取り返す。その間での駒の受け渡しパズル。」

■手数に余裕がある先手は、27の歩だけではなく23の歩もと金の形で配置する余裕が仇となり詰まされました。

諏訪冬葉さん「成銀にひもを付ける必要がないので飛車は生でいいことに気付くのに時間がかかりました。」

■飛車を打ってから28地点で成ると手数をオーバーしてしまいます。

るかなんさん「歩の縛りのおかげで手順を出す前から最終形の見当は付けられる。
39に成銀を置くことは見えているからこそ生銀打が強烈。」

■28には飛を打たないといけないので、39銀成のための生銀打は38地点で確定していそうなのですが、それが罠だったとは。

RINTAROさん「180-2と序の5手が同じ。詰め上がり図は見えてるのに3筋の誘惑、22角使用の誘惑に取り憑かれてしまった。2筋にコペルニクス的転回であっさり解決。
24歩のタイミングや39銀しか打ち場がない点など手順は秀逸。これだけの条件で成立させた点も見事。」

■後手に飛を取らせなければいけないのに5手目の▲25同飛で先手が2筋を制圧してしまうのが意外。

飯山修さん「27歩の復元の為には歩の提供が不可欠。銀と入れ替えれば良いと判ればあとは駒台に2歩乗らない工夫」

■初期配置の23の歩は先手が▲24歩と打ってから歩成して配置。▲28飛で2枚目の歩を取る直前に駒台の歩を使えば駒台で歩が混ざることはありませんでした。

原岡望さん「他の筋に迷い込んで苦戦。同一種複数持駒禁止のルールは面白いです。」

■他の駒種でも同時に2枚以上持つことはありますが、歩は枚数が多いので難しくなります。

ほっとさん「ややこしい条件。多分これで出来ているはず。」

■特殊な駒配置の詰み上がりにするためには条件が多くなりそうなところ、上手くまとめられてはいるのですが。

ミニベロさん「解けません。3筋と7筋の違い。手順前後。そもそも手数が足りない。
一体どんな妙手順が隠されているのか、解説が楽しみです。」

■左右反転が起きやすい3筋と7筋ですが、先手陣の歩が全て先手に所属するというのが解図の鍵でした。

桝彰介さん「分かりませんでした。
2八の飛車で二段目を押さえて居玉を金、成銀で詰ます形は見えても、そこに至るまでの手順が発見出来ませんでした。」

■詰み形が見えていても手順を発見できないのは辛いですね。


正解:9

  NAOさん  piyoさん  諏訪冬葉さん  るかなんさん
  はなさかしろうさん  RINTAROさん  飯山修さん
  原岡望さん  ほっとさん

(当選者は全題の解答発表後に発表)

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コメント

「玉方」「攻方」と「先手」「後手」についての解説、ありがとうございます。

単独の問題については「先手」「後手」とするのがわかりやすいと思います。
本問で、箇条書きの条件が「玉方」ではなく「先手」になっているのは、まさにその理由からです。

一方、手数探索問題を意識する場合、奇数手数ならば後手玉、偶数手数ならば先手玉を詰ますことになるため、「先手」「後手」ではうまく表せないことがあります。

「攻方」: 奇数手数で詰む場合は先手、偶数手数の場合は後手
「玉方」: 奇数手数で詰む場合は後手、偶数手数の場合は先手

本問の会話は確定全駒初期位置詰の最短手数(飛車の代わりにと金で玉の退路を封鎖すれば17手で詰みます)を念頭に置いているため、
「玉方」と言っています。

ということで、手数探索問題の場合の表記方法を考えてみました。

手数探索問題: ***の条件を満たす最短(or最長)手数と手順を示してください。
        ※ ここで***の表記には、必要に応じて「攻方」「玉方」を使います。

 想定解: N手
 想定手順を一意にする推理将棋条件:
 ・***  ※ ここで***の表記には、Nの偶奇に応じて、「攻方」「玉方」を「先手」「後手」に書き換えます。
 ・(その他の付帯条件)

ということで、いかがでしょうか。  

投稿: はなさかしろう | 2025.01.26 01:45

すみません。私、解けなかったので不正解です。

2筋は当然考えたはずですが、なぜ解けなかったのか、
なぜ2筋を捨てたのか、それすら分かりません。
解図力、かなり落ちてます。

表記については、皆さんのおっしゃる通りでいいと思います。
分かりやすく出題して、分からなければ質問する、これでいいと思います。

投稿: ミニベロ | 2025.01.26 23:40

ミニベロさんは無解とのことで、訂正しました。

投稿: TETSU | 2025.01.28 08:45

はなさかしろうさん
先日、詰パラの推理将棋で手数が指定されていない問題が出て驚きました。このように手数を明示しない問題や手数探索問題では手数を明かすことはできないですし、文章から奇数手なのか偶数手なのかが判明していまうのもまずいですね。
「攻め方」と「玉方」の詰将棋用語を使うのであれば、注釈で明示する必要がありそうです。
たとえば、『本問では詰まされる側を「玉方」と呼び、詰ます側を「攻め方」と呼びます。』としたり、注釈を使わずに会話も条件も「詰ます側」「詰まされる側」で通すとか...。(「なお、「攻め方」には連続王手の義務はありません」という説明も必要なのかも。)

ミニベロさん、TETSUさん
申し訳ありませんでした。
正誤集計の間違いと訂正、ありがとうございました。

投稿: Pontamon | 2025.01.28 21:30

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