« 詰将棋メモ(2025年1月27日) | トップページ | 詰将棋メモ(2025年1月28日) »

推理将棋第181回解答(3)

[2025年1月28日最終更新]
推理将棋第181回出題の181-3の解答、第181回出題の当選者(Miyaさん)を発表します。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。

関連情報: 推理将棋第181回出題  推理将棋第181回解答(1) (2) (3)
  推理将棋おもちゃ箱)  推理将棋(隣の将棋)  どんな将棋だったの? - 推理将棋入門


181-3 上級  小林看空 作    九連続駒取王手     23手

「いやぁ、神局ができたよ」
「ほう」
「三手目から王手の連続で23手目に詰めたんだけど、九連続駒取だっんだ」
「それはすごいね」
「端の手はなく、最終手は83金打ちだったよ」

さて、どんな手順だったのでしょうか。

(条件)

  • 23手で詰んだ
  • 先手は3手目から王手の手だけ指した
  • 先手は九連続駒取をした
  • 端の手はなく、最終手は83金

出題のことば(担当 Pontamon)

 先手の11連続王手の中で9連続の駒取り王手を実現してください。最終手は駒打ちなので駒を取らない王手は何手目なのか確定しています。

作者ヒント

 二手目は金(小林看空)

締め切り前ヒント

 4手目は金の手で、5回目の王手で2手目の金を取ります。

余詰修正

 会話と条件の「最終手は」の前に「端の手はなく、」を追加して余詰の修正とさせていただきます。


推理将棋181-3 解答 担当 Pontamon

▲76歩、△62金、▲33角不成、△42金、▲同角不成、△41玉、
31角成、△52玉、▲53馬、△51玉、▲62馬、△41玉、
63馬、△51玉、▲73馬、△61玉、▲83馬、△72飛、
同馬、△同玉、▲73飛、△82玉、▲83金 まで23手


(条件)
・23手で詰んだ
・先手は3手目から王手の手だけ指した(3手目▲33角不成、5手目▲42同角不成、7手目▲31角成、9手目▲53馬、11手目▲62馬、13手目▲63馬、15手目▲73馬、17手目▲83馬、19手目▲72同馬、21手目▲73飛、23手目▲83金)
・先手は九連続駒取をした(3手目▲33角不成(歩取り)、5手目▲42同角不成(金取り)、7手目▲31角成(銀取り)、9手目▲53馬(歩取り)、11手目▲62馬(2手目△62金の金取り)、13手目▲63馬(歩取り)、15手目▲73馬(歩取り)、17手目▲83馬(歩取り)、19手目▲72同馬(飛取り))
・端の手はなく、最終手は83金(23手目▲83金)

Suiri1813

Suiri1813a先手は3手目からの連続王手の23手で詰ますとのことなので、3手目の王手と言えば▲33角成が有力です。馬に成れば横移動ができるので、3段目の歩や1段目の駒を取っての王手で玉を9筋方向へ追って行くことができそうです。しかし、玉が2段目を横移動で逃げたとしても初期配置の82の飛が壁になっているので玉の行き場がなくなってしまいそうです。そこで、後手の唯一の自由手である2手目に7筋の歩を突いておけば、△62玉や△72玉から△73玉へ逃げることができそうです。この方針で指し続けてみたのが参考図の手順です。23手で詰んでいるのですが、駒取り王手は8連続で止まってしまったので失敗でした。▲61馬の金取りでの王手に△53玉と逃げると▲43馬での歩取りの王手が可能で、9連続の駒取り王手を達成でき、続けて20手目から△62玉、▲73金、△71玉、▲72金で詰みますが、最終手が▲83金ではなく▲82金になってしまうので失敗です。

参考図:▲76歩、△74歩、▲33角成、△42金、▲同馬、△62玉、▲53馬、△72玉、▲71馬、△73玉、▲82馬、△84玉、
▲93馬、△73玉、▲83馬、△62玉、▲61馬、△73玉、▲72馬、△同玉、▲73飛、△82玉、▲83金 まで23手

参考図の手順では駒取り王手は8連続なので連続が足りず、9連続にすると最終手を▲83金にできませんでした。何か手順に工夫が必要です。3手目の王手は▲33角成だと決めつけていましたが、参考図の手順を見ると角を成る手は△42金を取る時でも良かったですし、その後の歩を取っての王手の▲53角成でも可能です。これでは角を成るタイミングが非限定になるのでここに工夫の余地がありそうです。まずは3手目の▲33角成を▲33角不成の王手にして、合い駒の△42金を角で取って王手する際にも▲42同角不成で王手すると、玉の逃げ場所は62地点だけではなく52地点や41地点へも逃げることができます。△52玉と逃げると次の駒取り王手は▲53角成しかなく、△同玉とするか51地点へ玉が逃げるしかありません。53の馬を取られてしまうと連続駒取り王手は途切れてしまうし、△51玉と逃がすと駒取り王手ができないので、△42同角不成の王手には△41玉と逃げることになります。次の駒取り王手は▲31角成で銀を取っての王手しかありません。玉は51地点か52地点へ逃げることになりますが、駒取り王手ができる△52玉が正解で、先手は▲53馬での王手になります。問題はここからです。先手が次の手で取れる駒は43の歩、63の歩、71の銀がありますが、王手になるための10手目は△41玉で▲63馬の歩取りが王手になり、続けて△51玉、▲73馬までは行けそうですが、次の駒取り王手がありません。ここまで2手目を確定させずに連続王手と玉の逃げ場所を検討していましたが、この窮地を救うのが2手目の後手の着手のはずです。7手目の▲31角成が角を成るタイミングなので、その後の△52玉、▲53馬までは確定しています。11手目の駒取り王手が可能なのは▲63馬しかなかったので10手目は△41玉としましたが、▲53馬の王手をかわせる地点としては△51玉もありました。11手目の駒取り王手をする手がないので△51玉を指せませんでしたが、2手目に62地点へ駒を動かす手を指していれば、△51玉に▲62馬で駒取り王手をすることができます。その後は先ほど検討したように△41玉、▲63馬、△51玉、▲73馬で連続駒取り王手を続けますが、61に金が残っていると△61玉、▲83馬と続けることができません。これが出来れば▲83馬が駒取り王手の8回目になります。となると、2手目は61の金を動かす△62金になります。ここまでの手をまとめると、初手から▲76歩、△62金、▲33角不成、△42金、▲同角不成、△41玉、▲31角成、△52玉、▲53馬、△51玉、▲62馬、△41玉、▲63馬、△51玉、▲73馬、△61玉、▲83馬となります。玉が動くと9連続目の駒取り王手ができないので18手目は72地点での合い駒で19手目は▲同馬での駒取り王手になります。玉は61地点まで近づいてきているので▲83金で詰まされるには△72同玉で馬を取ることになります。最終手が▲83金なのはわかっているので、82の飛が居るのはまずいので18手目の移動合いは△72銀ではなく△72飛で▲同馬に△同玉と進みます。先手の持ち駒は、飛、金2枚、銀、歩5枚ですが、72地点の玉に対しての21手目の駒打ち王手は最終手の▲83金の支えにもなる▲73飛で△82玉に▲83金で詰みとなります。

余詰について

最終手は83金打ちだったとのことなので、金を打てるようにするために83地点を空ける△84歩を考えるのはごく自然なことなのですが、2手目△84歩の検討が不十分でした。粗検、大変申し訳ありませんでした。
あと、棋譜表記での「83金打」は「きんうち」ではなく「きんうつ」と読むので、送り仮名を付けて「金打ち(きんうち)」としている会話は「金打」の棋譜になる手に限定しているのではなく、単に83地点へ金を打つ手であると解釈されます。

はなさかしろうさんとNAOさんから指摘があった余詰手順
▲76歩、△84歩、▲33角成、△52玉、▲43馬、△62玉、▲53馬、△72玉、▲71馬、△83玉、▲61馬、△72飛、
▲同馬、△74玉、▲63馬、△83玉、▲73馬、△92玉、▲91馬、△83玉、▲73馬、△92玉、▲83金

NAOさんから指摘があった2つ目の余詰手順(ほっとさんの解答の余詰手順では4手目が△42金)
▲76歩、△84歩、▲33角成、△42銀、▲同馬、△62玉、▲53馬、△72玉、▲71馬、△83玉、▲61馬、△72飛、
▲同馬、△74玉、▲63馬、△83玉、▲73馬、△92玉、▲91馬、△83玉、▲73馬、△92玉、▲83金

それではみなさんの短評をどうぞ。

(短評)

NAOさん(双方解)「2手目金は目から鱗。2手目歩以外は駒取り王手が8回以上続かないと思い込んでました。」

■余詰を指摘された時に、2手目にどの筋の歩を突くのかを検討されたようでしたので「2手目は金」の作者ヒントは目から鱗だったことでしょう。

piyo(双方解)「42角不成の手順は早くから候補として考えてはいたのですが、玉をなかなか左辺に運べませんでした。
61金が邪魔で玉が61に行けなかったり、62金がブラインドとなって73馬が王手にならなかったり。
中間ヒントを見てからしらみ潰しに考えていってようやく解答までたどり着きました。
62馬~63馬というタイミングをずらしたような手順が絶妙ですね。」

■▲62馬の王手に玉が一瞬右辺へ戻ると見せかけるフェイントの△41玉に気付けば▲63馬の王手が可能。そこからは追う手の王手ではなく近づく玉から馬が逃げながらの王手で左辺へで玉を引き寄せて最終手▲83金を実現する。

るかなんさん「早々に切った手を中間ヒントで提示され愕然。
迷走しすぎて「33手目駒打で詰/先手は初手以外全て王手/後手は玉と平駒4枚が残った/大駒の次に取られた駒は1種類」みたいな順が見つかりました。」

■短評外に記載があった33手詰では後手の駒は玉以外に4枚ですね。WFPの第160号で出題された一乗谷酔象氏作の推理将棋『盤上の駒が3枚だけ』は詰み上がりで双方の玉と先手駒1枚だけになる45手の煙詰でした。王手は駒取り王手のみで、詰み上がりの後手の駒が玉だけの後手駒の煙詰は何手で出来るのだろう?さすがに連続王手では無理かな?

はなさかしろう「馬の王手の向きを変えるポイントの△5一玉が難しかった。連続駒取王手、新たなテーマの扉を開く名問になる予感がします。」

■連続駒取王手を何回にするのかで総手数を制御できそうな感じがしますね。

RINTAROさん「どうやって9連続駒取り王手をかけるか。2手目62金が絶妙。」

■詰めることまで考えると9連続駒取り王手の条件が厳しかったです。

飯山修さん「10手目51玉が絶妙でした。今年も直前ヒントのお世話になります。」

■2手目の▲62金は61へ玉が逃げるためのものではなく10手目の△51玉に駒取り王手を掛けれるようにする手でした。

原岡望さん「不成で進めるのがミソですね。」

■序の王手を角不成での王手にすることにより△41玉の逃げ場を残しているのがミソ。

ほっとさん(双方解)「83に金を打つために2手目は84歩と決めつけて苦戦。神局という感じはしなかったが。」

■2手目△84歩の検討が足りなかったのですが、余詰を見つける解答強豪には脱帽です。

ミニベロ「連続王手駒取りは古くからありますが、成り生条件も付けず(これがヒントになった)きれいに仕上がっています。
こういう条件を掘り起こしてくれるのはうれしいですね。」

■成条件が無いのに不成条件も無いとなると、角と玉が接触するための角不成の手があるのが予想されます。連続駒取り王手のために角成をしなければいけないタイミングが見事に一致していました。

御原真尋さん「手数が長く狼狽えてしまいましたが、落ち着いて考えると9連続駒取り王手が実現できる手段はかなり少なく、なんとか解くことができました。」

■王手を続けるとか駒取りを続けるとか駒種全種を〇〇するなどの目標があると長めの手数も気にならなくなることがありますね。

桝彰介さん「分かりませんでした。
7六歩から、先手角で後手の駒を王手で取り続けて行くのは分かるのですが、正解にたどりつけませんでした。」

■9連続駒取り王手の開始は3手目からなのは分かっても、玉を端まで追えるように4手目を△42飛にして▲同馬、△62玉、▲53馬、△72玉・・・△92玉、▲83馬の王手までだと6連続駒取り王手にしかならないので、序の駒取り王手の工夫が必要になりました。


正解:10

  NAOさん  piyoさん  るかなんさん  はなさかしろうさん
  RINTAROさん  飯山修さん  原岡望さん  ほっとさん
  ミニベロさん  御原真尋さん


(総評)

るかなんさん「今年の最終月は綺麗に着地した印象。それでは、良いお年を。」

■2025年も作品投稿をよろしくお願いします。

はなさかしろうさん「いつもありがとうございます。2024年も楽しかったです。2025年もよろしくお願いします。」

■こちらこそ2025年もよろしくお願いします。2025年も早々に余詰のご指摘、感謝しております。

RINTAROさん「今回は181-2に悩まされました。経験上、ある筋がしばらく考えて詰まなければ、全く違う筋のことが多いのは分かっているのですが、簡単には抜け出せませんね。個体識別条件は新たな可能性を見出すのと同時に、問題が複雑化しそうですね。
持駒に複数あるときの駒打ちが、確率計算も必要になりそうです。」

■持ち駒での確率計算が必要で手順が限定されそうな条件だと、「初期配置で自分の駒だった駒を打つ確率は20%だった」とかで行けそうかな?これだと駒種も同時に持ち駒にしている枚数も確定しそうな感触。総手数も有益な情報になるので「初期配置で自分の駒だった持ち駒を使った確率は25%」とか「33%」とかでも行けるかも。(駒種の候補は複数になっても別の条件との兼ね合いで限定されればの話)

Miyaさん「こんにちは、以前一度だけ(118-1)解答を送った事があるMiyaです。よろしくお願いします。
久し振りに、解答を送付させていただきます。」

■推理将棋コーナーは再開されていますので、今後の御贔屓をお願いします。

飯山修さん「年賀特集今年は例年より難しそう」

■一桁手数の初級が1題だけなので、例年よりは難しくなっている感じですね。

原岡望さん「今月は2 に大苦戦しました。9日の解答です」

■苦戦しても締め切り日にならなかったのは余裕の現われ?

ほっとさん「すみませんが年賀詰の出題方式は来年以降改善してほしいです。
出題期間が2週間しか延びていないのに出題数がいつもの3倍……。」

■年賀推理は、何の脈略がなくても使える年賀条件があるし、手数制限もなく全作採用のお祭りなので、作家にとってはこれらが作図の動機付けになります。しかし、解答者にとっては難問の多数出題は地獄になるのかも。
来年は令和8年に因んで、8手作は何題でも可にして他の手数作は1作の制限を掛ける案はすぐに浮かびました。出題数が多くても8手の初級作なら大丈夫なのではないかと...。

占魚亭さん「今回も1問解答。ずーっと絶不調な2024年でした。」

■2025年は心機一転で解図に取り組んでください。

桝彰介さん「2024年最後の出題は、初級のみの解答でした。2025年も一つでも多く解答を出したいと思います。」

■詰み上がりが見えていたのに解けなかった中級は残念でしたね。2025年も解答をよろしくお願いします。


推理将棋第181回出題全解答者: 14名

  NAOさん  piyoさん  諏訪冬葉さん  るかなんさん
  はなさかしろうさん  RINTAROさん  Miyaさん
  飯山修さん  原岡望さん  ほっとさん  占魚亭さん
  ミニベロさん  御原真尋さん  桝彰介さん

当選: Miyaさん

おめでとうございます。
賞品をお送りしますので、賞品リストから選んだご希望の賞品と送付先をメールでお知らせください

|

« 詰将棋メモ(2025年1月27日) | トップページ | 詰将棋メモ(2025年1月28日) »

推理将棋」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 詰将棋メモ(2025年1月27日) | トップページ | 詰将棋メモ(2025年1月28日) »