« 詰将棋メモ(2025年2月25日) | トップページ | ココログの障害で記事が読めなくなっています→復旧しました »

推理将棋第182回解答(5)

[2025年2月28日最終更新]
推理将棋第182回出題の182-5の解答です。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。

関連情報: 推理将棋第182回出題  推理将棋第182回解答(1) (2) (3)
  (4) (5) (6) (7) (8) (9)
  推理将棋おもちゃ箱)  推理将棋(隣の将棋)  どんな将棋だったの? - 推理将棋入門


182-5 上級  るかなん 作  蛇の夢           13手

「これが今年の年賀詰だって?どれどれ、持駒は使い切ったんだね 。13手目なら手数は関係ないか。わかった、令和7年にちなんで同じ筋に7手着手してるんだね。初王手で詰みというのも含めて正月らしくていいんじゃないかな。」
「あ、本当だ。でもそこじゃなくて、初手と最終手が同じで、2手目と12手目も一文字違いでしょ。」
「それが?」
「12個一組で『蛇の夢』ってこと。」
「…いや、どういうこと?」

さて、どんな手順だったのでしょうか。

(条件)

  • 13手目に初王手で詰み
  • 同じ筋に7手着手
  • 初手と13手目は同じ手
  • 2手目と12手目は1文字違い
  • 詰上で双方持駒なし

出題のことば(担当 Pontamon)

 「同じ手」や「1文字違い」は棋譜表記上の事です。蛇の初夢は吉兆ですが初夢とは別の話?

作者ヒント

 控えの○に好手あり(るかなん)

締め切り前ヒント

 7回の着手は1筋で、初手は▲16歩なので最終手も▲16歩になります。

余詰修正

 最初の会話の「どれどれ、」の部分を「どれどれ、持駒は使い切ったんだね 。」に変更し、条件に「・詰上で双方持駒なし」を追加します。


推理将棋182-5 解答 担当 Pontamon

16歩、△34歩 、▲15歩、△42玉、▲14歩、△33玉、
13歩成、△24玉、▲17歩、△15玉、▲26歩、△24歩
16歩 まで13手


(条件)
・13手目に初王手で詰み(13手目▲16歩)
・同じ筋に7手着手(1筋:初手▲16歩、3手目▲15歩、5手目▲14歩、7手目▲13歩成、9手目▲17歩、10手目△15玉、13手目▲16歩)
・初手と13手目は同じ手(初手▲16歩、13手目▲16歩)
・2手目と12手目は1文字違い(2手目△34歩、12手目△24歩)
・詰上で双方持駒なし(7手目▲13歩成で取った歩を9手目▲17歩で打つ)

Suiri1825

「初手と最終手が棋譜上同じ」の条件は珍しいですが、いくつかの過去作で使われています。おもちゃ箱だと「88-1 初めと終わりは同じ場所」の8手作だけでしょうか。8手だと最終手は後手になるので初手で動いた金と同じ棋譜になる金打ちの手で詰ますことができますが、本問は13手の奇数の手の作品なので、初手も最終手も先手の手になります。初手で指せる手は6段目への歩突きか、9段目の駒を8段目へ動かす手しかありません。それなのに後手の玉を詰めるとのことなので、一瞬、頭の中に疑問符が浮かび上がることでしょう。でも、冷静に考えれば、空き王手の手筋があったことに気付くでしょう。

Suiri1825a中段玉を空き王手で詰める定番に44地点の玉を▲76歩を突いて角の利きで詰める形がありますが、最終手を歩突きではなく、たとえば銀で角の利きを止めておいてから銀の扉を開く11手の手順に2手を加えた手順、▲68銀、△34歩、▲36歩、△77角不成、▲同銀、△42玉、▲37桂、△33玉、▲76角、△44玉、▲38銀、△33桂、▲68銀がありますが、3筋の無駄手を2手を指しても3筋着手は6回止まりなので定番の空き王手では無さそうです。どこかの筋の着手が7回になる別の空き王手の形があるのでしょうか。参考図の手順の空き王手では、4筋の着手が7回で、初手と最終手はどちらも▲58玉になっていますし、2手目の△34歩と12手目の△35歩は一文字違いなので条件をクリアしていますが、手数は15手なので手数オーバーでした。

参考図:▲58玉、△34歩、▲59金右、△42玉、▲48飛、△33玉、▲49飛、△44玉、▲48玉、△55玉、▲46歩、△35歩、▲76歩、△46玉、▲58玉 まで15手

参考図のように6段目まで後手玉が来なくても、5段目まで来てくれると突き歩が玉に届きます。先手の初期配置の歩が並んでいるので玉は斜め前には行けないからです。しかし、突き歩で詰めるには、玉腹へ逃げられないようにする必要があるので、玉腹が1箇所になるように端玉を詰ます方が効率が良さそうです。端筋の5段目は15地点と95地点なので玉腹の地点は25地点と85地点になります。これらの地点へ玉が行けなくするには▲26歩や▲85歩を突く手が考えられますが、折角、玉の斜め前を抑えていた歩を突いてしまうので、今度はその歩を取って玉が逃げるかもしれません。幸い、▲26歩であれば28地点の飛が▲26歩を支えているので後手玉は26の歩を取ることができません。つまり、後手玉が15地点で詰む形を考えれば良いことになります。玉の前方と横は先手の駒で抑えることができましたが、△15玉を指す前の玉位置へ戻れないようにする必要があります。後手玉が斜め一直線で15地点に来るのであれば24地点を通って来ていますので、24地点へ戻れないように後手が△24歩と突く協力手を指せば良さそうです。さて、残っている玉の退路は玉尻の14地点です。これまでに決まった後手の着手を洗い出すと、玉の通り道を開ける△34歩、玉が15地点へ向かう△42玉、△33玉、△24玉、△15玉、玉の退路を塞ぐ△24歩の計6手です。なお、△34歩と△24歩は一文字違いの手になっているので、2手目が△34歩で12手目を△24歩にすれば良いようです。後手の着手はこれらの6手で決まりなので玉尻の退路を塞ぐ△14歩を指すことはできません。となると、先手が14地点を抑える必要があります。先手の着手で決まっているのは後手玉を詰める▲16歩と25地点を抑えるための▲26歩の2手だけですが、条件を確認すると最終手は棋譜上初手と同じ手である必要がありました。13手目の▲16歩の突き歩で玉を詰めることを目指す初手も▲16歩になります。初期配置の17の歩を初手で突いてしまっていては最終手の▲16歩を突けないので、先手は歩を入手して▲17歩と打つ必要があります。後手の協力は望めないので、初手▲16歩から歩を突き進めて後手の13の歩を取って▲17歩と打つことになりますが、13の歩を取る際に歩不成だと▲17歩が二歩の反則になるので13の歩を取る時の手は▲13歩成です。初手の歩突きの▲16歩から▲13歩成までの4手と▲17歩と歩を打つ手を合わせて5手なので、25地点を抑える▲26歩と最終手の▲16歩で丁度先手の全着手を指せるようです。あとは先手着手と後手着手の組立です。初手から▲16歩、△34歩、▲15歩、△42玉、▲14歩、△33玉、▲13歩成、△24玉、▲17歩、△15玉、▲26歩、△24歩、▲16歩で詰みとなりました。▲17歩と▲26歩の手順前後がありそうな気がしますが、19の香の利きを止める役割もある▲17歩を先にしないと△15玉を指せません。

余詰について
はなさかしろうさんから指摘があった手順は下記になります。
ほっとさんの解答にあった余詰手順も全く同じ手順でした。

△44玉を詰める定番の空き王手で、ひとつの筋の着手を7回指せる手順がありました。粗検、大変申し訳ありませんでした。
▲68飛、△42玉、▲66歩、△34歩、▲36歩、△66角、▲76歩、△33玉、▲66飛、△64歩、▲63角、△44玉、▲68飛 まで12手

それではみなさんの短評をどうぞ。

(短評)

るかなんさん(作者)「手順を隠そうとして条件がとっちらかったのは反省。素直に「初手は端」とか「初手は歩」と明かした方がすっきりしたか。
最後の謎掛けは将棋どころか推理ですらなく、クイズです。ケクレの名前出す人いますかね?」

■ケクレの名前は出て来ませんでしたが、ケクレはウロボロスのことをを知っていたので夢に出て来たのかも。それでベンゼン環の構造を思い付いたのかな。本問だと、ベンゼン環の化学式の炭素と水素が6つずつのC6H6は先手と後手の手数とマッチして12手になっている...と解釈するのは考え過ぎ?

飯山修さん「初手と最終手が同じでまず考えるのは歩か香。香から始めたら惜しくも足りない。これを歩に変えたらなんとあっさり詰んでしまった。」

■香の場合、最終手の▲18香は駒打ちの手なのでしょうね。余詰検討から全く外れていました。余詰にならなくて良かったです。

NAOさん「後手玉移動が必然なので、先手は端歩を突き進めるしかない。」

■▲13歩成で取った歩を17地点へ控えて打てば初手の▲16歩と同じ最終手の▲16歩で詰ますことができます。

piyoさん「2,3,4,5筋は考えたのに、1筋は遠いからという雑な理由でスルーして苦戦し、最後に1筋を考えてみたらすぐに解けました。後手玉が移動に要する手数は同じなのに決めつけはいけませんね(笑)」

■後手玉は4手掛けて△15玉へ、先手は4手掛けて▲13歩成で歩の入手と1筋の歩を無くす手順でした。

はなさかしろうさん(双方解)「あたまとしっぽが同じ…ウロボロス条件と仮に呼ぶとして、これだけなら▲78金△42玉▲36歩△34歩▲37桂△77角成▲同金△33玉▲76角△44玉▲78金の11手。ということで空き王手に囚われて抜けられず、締め切り前ヒント待ちに。▲16歩でしたか。先手の手順はまさに循環のイメージですね。」

■先手は▲16歩から13地点まで歩を突き進めて、▲17歩の駒打ちで歩の位置をリセットしてからの最終手▲16歩でした。

占魚亭さん「控えの歩に好手あり。初手と最終手を「X六歩」と考えると後手玉は五段目で詰むことになるので端を活用するのがいいと考え、辿り着きました。」

■どちらの端筋を採用するかは後手玉の退路封鎖の手に依存していました。

桝彰介さん「わかりませんでした。一文字違いの棋譜が思い付きませんでした。」

■2手目と一文字違いとのことなので、同じ地点の駒種違いか駒種が同じで筋か段が違う場合に絞られます。

ほっとさん(双方解)「派手な余詰筋の方が先に見えてしまい苦戦。
歩を突いていって17歩を打ち直して16歩がぴったり間に合う。」

■解図者は余詰が見えるのに作者や担当は余詰が見えない。作意を知っているのが余詰検証を邪魔しているのか。

RINTAROさん「詰め上がり図は見えてる。綺麗な詰め上がり図で気持ちいいです。」

■1筋の突き歩詰めが見えたのは流石ですね。7回着手の条件が閃きのきっかけですかね。

原岡望さん「これもヒント頼みでした」

■締め切り前ヒントの初手▲16歩は詰み形を想像しやすくする大甘ヒントでした。


正解:10名

  飯山修さん  NAOさん  piyoさん  はなさかしろうさん
  占魚亭さん  るかなんさん  ほっとさん  RINTAROさん
  原岡望さん  テイエムガンバさん

(当選者は全題の解答発表後に発表)

|

« 詰将棋メモ(2025年2月25日) | トップページ | ココログの障害で記事が読めなくなっています→復旧しました »

推理将棋」カテゴリの記事

コメント

「夢」はなんだろう? と、解答発表を楽しみにしていました。ケクレのエピソードでしたか!
亀ではなくて蛇、というのは聞いたことがあったのですが、残念、思い出せませんでした…。

投稿: はなさかしろう | 2025.03.01 00:23

そしてPontamonさんの解説にびっくり。「初手と最終手は同じ棋譜表記/2手目と最終前手は1文字違い」の最短は11手と思っていたのですが、10手だったとは…。

投稿: はなさかしろう | 2025.03.01 00:44

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 詰将棋メモ(2025年2月25日) | トップページ | ココログの障害で記事が読めなくなっています→復旧しました »