推理将棋第182回解答(9)
[2025年3月7日最終更新]
推理将棋第182回出題の182-9の解答、第182回出題の当選者(桝彰介さん)を発表します。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。
関連情報: 推理将棋第182回出題 推理将棋第182回解答(1) (2) (3)
(4) (5) (6) (7) (8) (9)
推理将棋(おもちゃ箱) 推理将棋(隣の将棋) どんな将棋だったの? - 推理将棋入門
182-9 上級 はなさかしろう 作 巳年の指し初め2025 40手
「あけましておめでとう! 今年は巳年だね」
「謹賀新年! 巳は動物で蛇、龍の次で馬の前だね」
「ではさっそく、よろしくお願いします。でも馬と龍を作ってしまったな」
「よろしくお願いします。それなら25への着手の直前に龍を取り、25への着手の直後に馬を取る、というのはどうかな」
「なるほど、そうしよう。ところで、巳は変化と再生を意味するらしいよ」
「蛇が脱皮して成長するイメージだね。今年がそうなるといいなぁ」
「そうだね。まぁまずは取った大駒をうまいこと使っていこう」
「了解…と、よし、新年らしく初王手で詰んだね。おさらいしようか。
・40手で詰んだ
・成は3手目と23手目のみ
・11手目は96角
・15~19 手目は7、3、6、4、5筋の順で5段目に歩を着手した
・21手目は15香
・24手目は21歩
・28手目は端の手
・29、30手目は共に7筋の駒を取る手
・32~34手目では順に、84の同歩で龍を取り、25に着手し、85歩で馬を取った
・35手目は89歩
・36、37手目はいずれも後手香の頭の地点への着手
・38手目の1筋の手に対して39手目に9筋の手で応じた
・40手目の味方の桂の頭の地点への着手が初王手
ということだったね」「うん。指し初めらしい一局だったね」
「「というわけで、本年もよろしくお願いします!!」」
さて、どんな手順だったのでしょうか。
(条件)
- 40手で詰んだ
- 成は3手目と23手目のみ
- 11手目は96角
- 15~19 手目は7、3、6、4、5筋の順で5段目に歩を着手した
- 21手目は15香
- 24手目は21歩
- 28手目は端の手
- 29、30手目は共に7筋の駒を取る手
- 32~34手目では順に、84の同歩で龍を取り、25に着手し、85歩で馬を取った
- 35手目は89歩
- 36、37手目はいずれも後手香の頭の地点への着手
- 38手目の1筋の手に対して39手目に9筋の手で応じた
- 40手目の味方の桂の頭の地点への着手が初王手
出題のことば(担当 Pontamon)
今年は巳年の作品なのでしょうか?
作者ヒント
先手の元からいた大駒が後手の2~7筋の歩を3段目で取ります。なお、本問の目的を39手以下で達成できたら超正解!です(はなさかしろう)
締め切り前ヒント
皆さんの予想通り今年は「巳」のあぶり出しでした。3手目の▲33角成と23手目の▲23飛成でどちらも歩を取ります。巳の横棒になる21地点以外の1段目の駒は手付かずで5段目は21手目の▲15香と最終手の△95角以外は全て歩。9段目は19地点と99地点が空いています。
推理将棋182-9 解答 担当 Pontamon ▲76歩、△42飛、▲33角成、△14歩、▲43馬、△66角、 |
![]() |
条件を見るとかなりの手が明かされているようで、特に28手目以降は1手毎の着手情報が整っていそうです。表に書き出してみます。
手番 | 先手 | 後手 | 備考 |
---|---|---|---|
1手目 | 76歩 | 初 手:3手目に駒成できるのは▲33角成だけなので初手は▲76歩 2手目:3手目が王手になるのであれば事前に王手を避ける手 |
|
3手目 | 33角成 | 4手目:3手目が王手なら4手目はその応手 | |
5手目 | |||
7手目 | |||
9手目 | |||
11手目 | 96角 | 9手目までに角を取る | |
13手目 | |||
15手目 | 75歩 | 35歩 | 15手目:初手の▲76歩を75へ突く手 16手目:33の歩が3手目に取られているのであれば歩の入手が必要 |
17手目 | 65歩 | 45歩 | 事前に▲66歩が必要 |
19手目 | 55歩 | 事前に▲56歩が必要 | |
21手目 | 15香 | 初期配置17の歩が15より先へ移動しているか後手に取られている | |
23手目 | 〇飛成 | 21歩 | 23手目:31手目までに▲84龍の手を指す必要があるので23手目の成は飛成 24手目:初期配置21の桂居なくなっている必要がある歩を入手しておく必要あり |
25手目 | |||
27手目 | 端の手 | ||
29手目 | 7筋駒取 | 7筋駒取 | |
31手目 | 84龍 | 同歩 | 32手目は龍を取る手 |
33手目 | 25〇 | 85歩 | 34手目は馬を取る手。33で成った馬が27手目までに▲85馬へ行く |
35手目 | 89歩 | 後手香頭 | 初期配置89の桂が居なくなっている必要がある。歩を入手しておく必要がある |
37手目 | 後手香頭 | 1筋 | |
39手目 | 9筋 | 後手桂頭 |
34手目の情報によると△85歩の手で先手の馬を取ることになるので、33で成った馬を85まで移動させる必要があるが、29手目から33手目までの先手着手は決まっているので、27手目までに33の馬を85へ移動させる必要があります。▲33角成後の先手着手で決まっていないのは、5手目、7手目、9手目、13手目、25手目、27手目の6手なのですが、11手目の▲96角の手を指すには5手目、7手目、9手目の間で後手の角を取る必要があり、▲85馬のためには5手が残ります。また、15手目から始まる5段目への歩の着手の事前準備としての▲66歩と▲56歩が必要なので▲85馬を指すには3手が残ります。85へ馬が行くには▲66馬、▲75馬、▲85馬の3手が一番速いのですが、15手目から始まる5段目への歩の着手があるので、後手の角を取る手と▲66歩と▲56歩の事前準備をすると、▲66馬や▲75馬を指せません。5段目を横断することができないので、▲85馬への経路は▲43馬、▲53馬、▲63馬、▲85馬の4手が良さそうです。
先手が33から63までの3段目の歩を取るのなら、16手目の△35歩、18手目の△45歩のためには後手は14手目までに少なくとも2枚の歩を入手する必要があります。後手の角は9手目までに先手に取られてしまうので、後手が先手の歩を取りに行くには飛を使うのが良さそうです。3手目の33角成が王手にならないように事前に角筋を止めておく2手目△42飛が良さそうです。先手が▲43馬、▲53馬で歩を取れば42の飛が7段目へ直射するので△47飛不成で歩を取ることができます。先手は後手の角を取る必要がありましたが、後手が歩を入手できるように▲53馬を急ぐ必要がありそうなので、▲22馬で後手の角を取るのが難しくなりました。それに▲56歩と▲66歩の準備手も指す必要があるので気付きましたが、△66角、▲同歩とすれば、角取りと▲66歩の準備の手を一緒にできます。初手から整理してみると、▲76歩、△42飛、▲33角成、△未定、▲43馬、△66角、▲53馬、△47飛不成、▲66歩、△37飛不成、▲96角、△未定、▲56歩、△未定、▲75歩、△35歩、▲65歩、△45歩、▲55歩の19手目まで進めることができました。現時点で後手の未定の手は4手目、12手目、14手目の3手です。
この先の着手条件を見てみると21手目の▲15香、23手目の飛成の手、24手目の△21歩となっています。21手目の▲15香を指すには17の歩が邪魔をしています。また、24手目に△21歩を指すには21に居る桂を動かす必要がありますし、23の後手の歩を先手が取る必要があります。今、後手の飛は△37飛不成で37地点にいるので、△27飛不成、△17飛不成で17の歩を取り去ることができ、飛が17地点から動けば▲15香を指すことができます。つまり、未定だった12手目は△27飛不成で14手目は△17飛不成になり、▲55歩の次の20手目は飛が17地点から移動する手なので仮に△87飛不成としておきます。これで21手目の▲15香を指せます。次に24手目の△21歩ですが、後手は歩を入手済みなので、あとは21地点を空ける課題が残っています。24手目までで後手の未定な着手は4手目なので、4手目を△14歩として、▲15香の次の22手目で△13桂と跳ねて21地点を空けます。23手目は飛成の手なので23の歩を取って▲23飛成とすれば24手目に△21歩を無事に指すことができました。この24手までの途中図が参考図とその手順になります。
参考図:▲76歩、△42飛、▲33角成、△14歩、▲43馬、△66角、▲53馬、△47飛不成、▲66歩、△37飛不成、▲96角、△27飛不成、▲56歩、△17飛不成、▲75歩、△35歩、▲65歩、△45歩、▲55歩、△87飛不成、▲15香、△13桂、▲23飛成、△21歩 まで24手
24手目までの参考図では、53に先手の馬が居て、23に先手の龍が居る状況ですが、この後、龍は84へ、馬は85へ配置するミッションが残っています。84の龍が後手に取られるのは32手目の同歩の手なので▲84龍は31手目です。53の馬は▲63馬の後に▲85馬とすることができるので、▲85馬の次に▲73龍と指せばその次に▲84龍が可能になります。先手のやることはある程度判明しましたが、後手の手はどんなものが残っているのか確認してみます。28手目の端の手と30手目の7筋の駒取りが△84同歩で龍を取る以前に指す必要があるようです。28手目の端の手ですが、持ち駒は歩が2枚ですが、1筋も9筋も後手の歩が盤上にあるので持ち駒の歩を打つことはできません。後手が指せる端の手は現状では△12香、△15歩で香を取る手、△92香、△94歩の4手しかありません。26手目に歩以外の駒を取れれば、その駒を端へ打つ手が可能になります。最終手は後手の桂頭への初王手の着手とのことですが、1筋の桂頭は後手の歩があるので現時点でその地点への着手はできません。もう1枚の後手の桂は初期配置のままの81地点にあるので、82地点は空いているものの、59の玉へ王手を掛ける手は無理そうです。この最終手のことも加味すると、26手目に桂を取って28手目の端の手で桂を打って、その桂頭への手で詰めることになりそうです。59の居玉に端から角で王手を掛けることになるでしょう。15地点は先手の香があると、後手の桂頭ではないので最終手は△95角で、28手目の端の手で△94桂を打てればうまくまとまりそうです。幸いにも20手目に仮に指しておいた△87飛不成の飛があるので26手目は△89飛不成で桂を取ることができます。また、30手目の7筋の駒取りは△79飛不成で銀を外してしまえば△95角に▲68銀の合い駒を指せなくできて一石二鳥です。参考図の続きの25手目からは▲63馬、△79飛不成、▲85馬、△94桂、▲73龍、△79飛不成、▲84龍、△同歩、▲25歩、△85歩、▲89歩と進み、36手目と37手目の後手の香頭への手は△92銀、▲12歩となり、続けて△18飛で玉の8段目への逃げ場を抑え、39手目の▲98香に△95角で詰みとなります。79の飛で69の金がピンされているので▲68金の移動合いはできません。
それではみなさんの短評をどうぞ。
(短評)
はなさかしろうさん(作者)「このフォント、40手まで縮めましたが39手は行けそうで届かず。龍と馬を並べておいて取るのが奇妙なようで一番速かった…本譜は詰上り全生駒にできましたが成生不問でこのフォントに39手以下で到達できればそちらが超正解、可能ならば是非見たいです。」
■2023年の卯から始まったあぶり出しシリーズの3弾目でしたが、来年の午は如何に。
飯山修さん「66角をすぐ取らず53馬とする手が読めず四苦八苦。ヒントが出る前に解けてやれやれ。」
■△66角ができるタイミングと▲66歩で角を取るタイミングがずらされている上手い条件設定でした。
NAOさん「21歩と89歩を両立させる難解な謎解き。大きい"巳"はお約束。4手目14歩が鍵だった」
■21の桂と89の桂の処理は異なっていました。21の桂は△14桂と跳ね、89の桂は△89飛不成で取られて、後手の桂頭への最終手を実現するために△94桂を早々に指しておく仕掛けでした。
piyoさん「締め切り前ヒントを見てなんとか解答に辿り着きました。後手の角をどう取るかがポイントでした。」
■締め切り前ヒントでは最終手を明かしましたので、詰み上がりの図形と最終手から詰み形を特定しやすかったと思います。
桝彰介さん「わかりませんでした。
条件が多いので手順のイメージはついたのですが、確認に手間がかかりすぎて断念しました。」
■後半の条件はほぼ一手一手に対応していました。
ほっとさん「あとあと効いてくる手(14歩、94桂など)が確定してピースがはまっていき、盤面いっぱいの巳の字が出現するのは気持ちいい。」
■21の桂を移動させておくには桂を跳ねる地点を作るための△14歩か△34歩が必要になりました。
RINTAROさん「66で角を取らせるのが序盤のポイント。中盤以降、必然的に手が決まっていくのがよかったです。」
■先手の▲65歩の手が先にあるので後手角を取る位置は66地点が最適。
原岡望さん「降参です。詰上がりすら想像できません。後手 95角 94歩 先手86/84 玉? 曲詰?は苦手です」
■今年の干支の「巳」のあぶり出しでした。
正解:6名
飯山修さん NAOさん piyoさん はなさかしろうさん
ほっとさん RINTAROさん
(総評)
飯山修さん「毎月第1週は忙しかったが今回はのんびりできる」
■いろんなところの解答締め切りが月の初旬に固まっていますからね。
NAOさん「年賀詰の大量出題ごちそうさま。難易織り交ぜ、楽しめました。」
■大量出題の解図に加え余詰探索、お疲れ様でした。
諏訪冬葉さん「4以降は全く浮かばないのでここまで」
■ちょっと問題数が多過ぎましたか...。
piyoさん「正月問題を初めて全部解けました(たぶん)。少しは上達しているのかも。
問題を作れる人はすごいなぁといつも思います。」
■全問正解、おめでとうございます。この調子で解図を続けると、自分で作りたくなると思います。あまり凝らずに、簡単なものからの投稿をお待ちしています。
はなさかしろうさん「「今年って西暦何年だっけ?」というのが年々甚だしくなっていまして、年賀推理将棋が少しでも歯止めになっていると良いのですが。といいつつ、来年の問題をもう考えたりして、節分前から鬼に笑われてしまいそうです。」
■担当作は昨年の11月に作成し、12月には2026年用の年賀推理の投稿がありました。鬼も呆れる再来年の問題作成状況でした。
占魚亭さん「なんとか5問解けました。もう1,2作解きたかったですが降参です。」
■解答、ありがとうございます。一桁の問題は1問だけなのに出題数が多過ぎましたね。難易度分けを手数でやらずに182-8を中級か初級にしていれば取り組んでいただけたのかも。
るかなんさん「元日に7問解けたので縁起は良かったかな。」
■出題当日に7問も解かれていたのですね。
桝彰介さん「年賀詰めの解答を出したのは初めてですが、解いてみると結構出来たので良かったと思います。」
■解答、ありがとうございます。
ほっとさん「超難問は無かったものの、やはり出題数が多いのはきついです。」
■来年は出題方法など考慮したいと思います。
RINTAROさん「6、7、9は最終ヒント頼み。」
■年賀推理は甘めの締め切り前ヒントが出ますので来年も活用してください。
原岡望さん「9題は流石に多い気がします。2月3月に振り分けてもよいのでは?」
■来年の出題の参考とさせていただきます。でも3月まではちょっと引っ張り過ぎかも。
推理将棋第182回出題全解答者: 15名
中村丈志さん 飯山修さん NAOさん 諏訪冬葉さん
piyoさん はなさかしろうさん 占魚亭さん るかなんさん
桝彰介さん ほっとさん RINTAROさん Miyaさん
原岡望さん 御原真尋さん テイエムガンバさん
当選: 桝彰介さん
| 固定リンク
「推理将棋」カテゴリの記事
- 推理将棋第184回出題(4月10日まで)(2025.03.13)
- 推理将棋第182回解答(9)(2025.03.07)
- 推理将棋第182回解答(8)(2025.03.06)
- 推理将棋第182回解答(7)(2025.03.05)
- 推理将棋第182回解答(6)(2025.03.02)
コメント