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推理将棋第183回解答(3)

[2025年3月29日最終更新]
推理将棋第183回出題の183-3の解答、第183回出題の当選者(諏訪冬葉さん)を発表します。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。

関連情報: 推理将棋第183回出題  推理将棋第183回解答(1) (2) (3)
  推理将棋おもちゃ箱)  推理将棋(隣の将棋)  どんな将棋だったの? - 推理将棋入門


183-3 上級  はなさかしろう 作  digital steps     16手

「駒が盤上を移動するときの距離のことなんだけど」
「うん」
「測り方が二通りあるよね」
「例えば玉の場合、どの方向でも1マスと数えても良いけれど、
 盤を方眼状に見立てて、縦横なら1、斜めなら√2としても良いね」
「そうそう。後者の場合、桂は√5、竜飛香は最大8で、馬角は最大8√2だね」
「ところでそれ、隣の将棋となにか関係あったの?」
「それそれ。距離1の移動が多かったんだ。
 16手で詰んだんだけど、1マス直上移動は先手1回と後手2回で初回が3手目、
 1マス真横移動は先手2回と後手6回だったんだよ」
「ふうん。後手は全着手距離1の移動だったんだね。
 駒打ちもできないし、真横移動6回だとなかなか攻めても来なさそうだけどな」

さて、どんな手順だったのでしょうか。

(条件)

  • 16手で詰んだ
  • 1マス直上移動は先手1回と後手2回で初回が3手目
  • 1マス真横移動は先手2回と後手6回

出題のことば(担当 Pontamon)

 後手は前進が2回と横移動が6回なので角や桂の出番はありません。どうやって先手玉を詰めるのか。

作者ヒント

 移動距離2以上の手が2回あります(はなさかしろう)

締め切り前ヒント

 66地点と93地点への角移動が移動距離2以上の手。9筋の先手玉が空き王手で詰みます。


推理将棋183-3 解答

▲68玉、△92飛、▲76歩、△62金、▲66角、△72金
▲93角成、△82金、▲83馬、△93飛、▲77玉、△92金
▲86玉、△83飛、▲96玉、△82金 まで16手


(条件)
・16手で詰んだ
・1マス直上移動は先手1回と後手2回で初回が3手目(3手目▲76歩、4手目△62金、10手目△93飛)
・1マス真横移動は先手2回と後手6回(9手目▲83馬、15手目▲96玉)

Suiri1833

Suiri1833a条件をよく吟味してみると、後手の着手は1マス直上移動が2回と1マス真横移動が6回の計8手の後手の全手が指定されていますが、先手の着手については1マス直上移動が1回と1マス真横移動が2回の計3手だけの指定となっています。ということは先手の着手では2マス移動の手や、駒を打つ手を指せるわけです。後手が指せる手だと同じ筋の歩を2回突くと5段目までは行けますが、横移動が出来る駒は中段へは行けないので6回全てが後手陣内になります。後手陣の手だけなのに先手玉が詰まされた過去作にはミニベロ氏の墨守シリーズ(137-3 墨守141-3 墨守2142-3 墨守3)があったのを思い出します。これらの作品では、先手玉が後手陣まで行くのは18手でした。16手の墨守2は二枚角の手筋だったので本問では後手の駒打ちはできません。何にせよ、先手玉とは離れた位置の後手陣の手や歩突きで詰むことになりそうです。玉から離れた地点の着手で歩突きと言えば空き王手の手筋が浮かんできます。そこで考えた手順が参考図の手順になります。先手玉は66地点で最終手は△34歩の歩突きの空き王手です。玉の逃げ場所になる56地点は52の飛で抑え、75地点は先手が駒を打って自ら退路を封鎖し、65地点は最終手以外での1マス直上移動の△64歩を突いて65地点を抑えます。見事に歩突きの空き王手で詰んでいるのですが、先手の着手で指定されていた1マス真横移動の手が一度も指されていないので失敗手順でした。

参考図:▲68玉、△72飛、▲76歩、△62飛、▲44角、△52飛、▲53角不成、△62飛、▲31角不成、△同金、▲77玉、△52飛、▲66玉、△64歩、▲75銀、△34歩 まで16手

△34歩突きの空き王手の手順では失敗しましたが、他の手筋は無いでしょうか。18手作でしたが墨守3では9筋の玉を後手の8筋の飛と9筋の香の連携で詰める形でした。後手の飛の利きを通すために先手は▲83馬で後手の8筋の歩を掃い、9筋の歩を▲93馬で取ったところを△同香で詰めました。後手は2マス真上移動はできないので手順を工夫して、▲68玉、△92飛、▲76歩、△74歩、▲66角、△82飛、▲93角成、△72飛、▲77玉、△62飛、▲86玉、△72飛、▲77桂、△82飛、▲83馬、△同飛で詰んだと思ったのですが、玉の退路封鎖のために77地点を埋めた▲77桂が居るので▲85桂の合い駒が可能なので詰んでいませんでした。

8筋の飛と9筋の香で先手玉を詰める他の手順はないでしょうか。後手の飛の利きを先手陣まで届かせるには83の歩を消去する必要がありますが先手の手順としては先に93の歩を取ってから83の歩を取る手順しか手数的に無理です。▲86玉を詰めるには退路となる77地点を埋める▲77桂が必要でしたが、この▲77桂があるため後手の飛で仕留めることができなかったので、先手玉を9筋で詰ますことになるので、▲93角成で93地点の歩を取ってしまってからの▲83馬では91の香が先手陣へ利いてしまうので先手玉を9筋に配置することができません。91の香の利きを止めておく後手の駒が必要になりますが、1マス真上の手が2回と6回の1マス横移動の手しか指せない後手の着手で91の香の利きを止めることができるのは金が2段目を通って▲92金とするしかありません。後手は駒が斜めに進む手を指せないので、金を92地点へ持って行くには△62金、△72金、△82金、△92金の4手が必要です。先手の馬で83地点の歩を取る▲83馬を指した後で△83飛を指せば9筋の玉が8筋へ戻ることができなくなります。この方針で指せば解けると思ったのですが間違っていました。3手目が1マス真上の手とのことなので初手は玉の手を指す▲68玉で、続いて△62金、▲76歩、△72金、▲66角の5手目まで指した時に愕然としました。82に飛が居るままなので次の△82金を指せません。かと言って、先手が▲83馬を指せるのは▲93角成のあとの9手目になります。△62金の他の1マス真上移動の手は△83飛で先手の馬を取る予定でしたが9手目の▲83馬より後にこの馬を取る手順を見つけ出す必要があります。金移動の手順を見直してみたところ、1マス真上移動の"最初"は3手目とのこと。てっきり初手と3手目の手順前後を限定するための条件だと思ってたのですが、"最初"は初手と3手目の手順前後だけのことではなく2手目に△62金を指すことができない条件でした。でも後手は斜めに動く手は指せないし、2手目に金を横へ動かすこともできません。唯一2手目に横へ動かせる駒は飛だけでした。2手目の飛の1マス真横移動は、その後に金が寄ってくる72地点ではなく92地点でしょう。初手から▲68玉、△92飛、▲76歩、△62金、▲66角、△72金、▲93角成、△82金、▲83馬とすれば9手目に83地点の歩を取ることができます。先手の馬が93地点から83地点へ動いたので2手目に△92飛としていた飛を10手目に△93飛と指せます。11手目は▲77玉なので、12手目に△83飛で先手の馬を取ると飛が8筋の先手陣まで利いてしまうので13手目の▲86玉を指せなくなります。したがって12手目は△92金で、続けて▲86玉、△83飛の王手に先手玉は9筋へ移動し、16手目の最終手は△82金の空き王手で詰みとなるのですが、86地点から移動する9筋の玉位置は95地点と96地点のどちらになるのでしょうか?先手の手順を確認すると、1マス真横移動の手は▲83馬しか指していないので、もう1手1マス真横移動の手を指す必要があるため、15手目の▲96玉が確定します。

それではみなさんの短評をどうぞ。

(短評)

はなさかしろうさん(作者)「墨守シリーズ(ミニベロさん作、137-3(18手)、141-3(16手)、142-3(18手))へのオマージュです。当時この墨守条件にはまりまして、最短はやっぱり16手かな…と。そこで見つけた本手順、せっかくなので条件を人工的な方向にアレンジしました。4年近く経ちましたね。」

■墨守シリーズ出題からもう4年経つのですね。昨年か1年半くらい前のような感じです。

piyoさん「91香に直射させたいけれど塞がないと玉が移動できなくて苦労しました。飛車以外の駒で塞ぐことが浮かんで解決。」

■△92飛で91の香の利きを遮ることはできても飛の利きが先手陣へ届いてしまうので痛し痒し。飛以外で横移動できる駒は玉か金でした。

諏訪冬葉さん「数学的には前者を「チェビシェフ距離」後者を「ユークリッド距離」といいます。
もう1つメジャーな距離として「マンハッタン距離」があります。
飛車の移動距離は変わりませんが、桂馬の移動距離は3になります。」

■碁盤の目のマンハッタン島での道路の移動距離がマンハッタン距離の由来ですかね。

NAOさん「初見66,86,96どれでも詰みそうでちょっと足らず、ヒント待ち。
直上移動2回を飛金1回ずつ使う3段飛車には気がつかなかった。」

■83の先手の馬を取るのが82の飛ではなく93の飛の横移動という意外性が解図を難しくしています。

RINTAROさん「後手の手を考えると9筋の空き王手しかないですよね。」

■空き王手の扉役は金でも玉でも出来そうだけど斜めに進めないので金に限定されていました。

飯山修さん「普通に考えても思いつかない手順だろうと想定し直前ヒントまで待ったところ93角の手が与えられしめたと思った。しかしいざその手順を探しても簡単ではない。2手目が飛車しかないので92飛車でなければならない理由を考えているうちにようやく解に到達。問題文をみて昔若島正さんが提唱していたマキシ詰(縦横より斜めが多い手順が正解)を思い出した。」

■2手目は△72飛か△92飛の二択だけど9筋の空き王手のためには飛を動かさないといけないけど、空き王手の扉役の金が寄って来ているので飛は上へ上がるしかなく、83の馬を取る役割が与えられていました。

ほっとさん「意外と紛れが多く、先手の横1マス2回が満たせずに悩む。」

■参考図の▲66玉を詰める空き王手の手順でも先手の横1マス2回が満たていませんでした。

原岡望さん「ヒントで先手の手はほぼ確定。詰形も分ったのになぜか手順が浮かばず大苦戦。盤に並べてようやく解決。馬の取り方がポイントですね。
「初回の1マス直上移動は3手目」が手順前後を防ぐ巧妙な条件です。」

■飛の1マス真上移動の手で83の馬を取るのではなく、93の飛の1マス横移動で馬を取る取り方でした。

るかなんさん「飛車を寄る手ばかり考えていました。2枚槍を成立させるためのもう1枚が影の主役。」

■飛の横移動の手が1マスに制限されて、タイミングや横移動の行き来を計る問題だと思ったら違ってました。

桝彰介さん「分かりません。後手が1マス移動のみで詰ませるのは、とても省エネだと思いました。」

■1マス移動の前進が多ければ先手陣へ向かってくることを考えれば済むのですが、まさかの横移動6回でした。


正解:9

  piyoさん  諏訪冬葉さん  NAOさん  RINTAROさん
  飯山修さん  ほっとさん  原岡望さん  はなさかしろうさん
  るかなんさん


(総評)

諏訪冬葉さん「羽生九段の降級がショックなのでしばらく将棋から離れるかもしれません。」

■公務中心のフリークラスでも順位戦以外の棋戦参加はできるようなのでタイトル通算100期は目指せるのですね。この結果稿が出る頃にはB級2組にするのかフリークラス入りするのか決まっているのかな。

RINTAROさん「最終ヒントのおかげで毎回楽させていただいています。」

■締め切り前ヒントは締め切り一週間前ですが、ヒント投入後に一題一日で解く換算で3日前のヒント投入だと解図は楽にならないかも。

飯山修さん「パラ3月号推理将棋コーナー休載が気がかり」

■投稿が少なくて3題揃わなかったという理由なら投稿を頑張るのですが....。担当は購読継続をとりあえず1年にしました。(前回は3年だったかな)

ほっとさん「解けていたのに結局ギリギリに。」

■送信忘れがなければOKです。

原岡望さん「今月は9日23時の解答です
詰パラの推理将棋が休みでこれを出すと仕掛中の問題がなく淋しいです。」

■詰パラの推理将棋の休載ですが、「事情により」の事情が分からないので、いろんなことを考えてしまい心配です

るかなんさん「直前ヒントを見て「そこまでは読んでいたのに」となってしまいました。」

■締め切り前ヒントなのにあまり参考にならない場合もありますね。でも、方向性は合っていたと確信を持てるのもヒントになりますね。

桝彰介さん「今月もギリギリまで考えましたが、1問目しか分かりませんでした。
1つでも分かる限り、毎月解答を送ります。」

■出題中の第134回では初級が2題出題されているので、解答者1名確保ですね。


推理将棋第183回出題全解答者: 13名

  piyoさん  中村丈志さん  諏訪冬葉さん  NAOさん
  RINTAROさん  飯山修さん  ほっとさん  原岡望さん
  はなさかしろうさん  Miyaさん  るかなんさん  占魚亭さん
  桝彰介さん

当選: 諏訪冬葉さん

おめでとうございます。
賞品をお送りしますので、賞品リストから選んだご希望の賞品と送付先をメールでお知らせください

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コメント

羽生九段降級がショックなんですか。誰かが勝てば誰かが負けるだけですけどね。
佐藤康光九段とコーヒーを2時間飲むと8万円かかるイベントがあるようですが、プロ棋士は一体何様なのかと思ってしまいます。
推理将棋界には何故か(?)アンチ将棋ファンがいないようですが…。

投稿: 松田圭市 | 2025.03.30 07:01

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