推理将棋第182回解答(6)
[2025年3月2日最終更新]
推理将棋第182回出題の182-6の解答です。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。
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推理将棋(おもちゃ箱) 推理将棋(隣の将棋) どんな将棋だったの? - 推理将棋入門
182-6 上級 Pontamon 作 令和7年、2025年の指し初め 13手
「令和7年の指し初めだから、何か特別ルールで指そうか?」
「それじゃ、筋と段の数字を足したら7になる手を[7年の手]と呼ぶことにして、相手が[7年の手]を指したら応手も[7年の手]を指すことにしよう。無限の[7年の手]は無理だからその2手で一段落で、その後に再度[7年の手]があったらその応手も[7年の手]だぞ」 ※
「了解。よろしくお願いします。では、早速...」
:
「棋譜に「寄」が付く13手目の手で詰みだな」
「7手目までに[7年の手]の応酬が2回あったけど、取り扱い方を決めていなくて心配していた同の手は無かったのは良かったね」
「横移動の手は、棋譜に「寄」が付く手が2手連続と駒を取る手に必ず応じた手だけだったな」
「終局時に駒台には2枚の駒があったね」「飛の手は無く、横移動の手は、棋譜に「寄」が付く手が2手連続と駒を取る手に必ず応じた手だけだったな」
「5手目が[7年の手]だったのは意外だったな」さて、どんな手順だったのでしょうか。
(条件)
- 棋譜に「寄」が付く13手目の手で詰み
- 7手目までに[7年の手]に[7年の手]で応じる応酬が2回あった ※
- 同の手なし
- 横移動の手は、棋譜に「寄」が付く手が2手連続と駒を取る手に必ず応じた手のみ
- 終局時、駒台には2枚の駒があった
※[7年の手]:筋と段の数字を足したら7になる地点への着手
出題のことば(担当 Pontamon)
先手なら[7年の手]の駒打ちの可能性がありそうですが、それは紛れ筋なのかも。
作者ヒント
初手は[7年の手]の▲16歩で2手目の候補は2地点。大駒の手はありません(Pontamon)
締め切り前ヒント
12手目はもちろん後手の金寄の手ですが、最終手は馬寄ではなく小駒の成駒で棋譜に寄が付く手です。
横移動の手は、『棋譜に「寄」が付く手が2手連続』と『駒を取る手に必ず応じた手』だけですが、駒を取る手に「寄」が付く手で応じることも可能です。
余詰修正
会話の「[7年の手]の応酬が2回」の前に「7手目までに」を追加し、条件の「[7年の手]に」の前に「7手目までに」を追加
修正2
会話と条件での「棋譜に「寄」が付く手2回」の部分の「2回」を「が2手連続」に変更
推理将棋182-6 解答 担当 Pontamon ▲16歩、△34歩、▲17桂、△33桂、▲25桂、△52金左、 |
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本問では余詰を出してしまい、しかも余詰修正が2回という結果は情けないところです。この解説では出題時の元条件で解説させていただきます。
棋譜に寄が付く手は珍しくもなく、8手詰では金寄の手が出てきますし、馬寄の手は9手詰で出て来てこの馬寄の手で詰む手順も9手詰で可能です。一番短手数で出て来る金寄ですが、金寄の手で詰ますとなると、金2枚を取ってそれらの2枚の金を打ってようやく金寄の手を指せるので手数が掛かりそうです。(おそらく14手)寄が付く手はこれら金寄と馬寄の手でよく見かけていますが、13手では金寄の手で詰ますことができそうにないとなると馬寄の手で詰ますのが有力です。しかし、9手詰で出て来る馬寄で詰ます手順があるので13手詰となると先後それぞれに2手余分に指すことができるので余詰がわんさか出て来そうです。それを抑制しているのが、横移動の手の制限と着手した地点の筋の数字と段の数字を足したものが7になる[7年の手]の条件なのでしょう。この[7年の手]は16地点と61地点を結ぶ斜め線上の地点への手になるので、16地点だと▲16歩、25地点だと2筋の歩とか桂を2回跳ねる手や持ち駒を打つ手でしょうか。34地点は△34歩であることが濃厚ですが、勿論駒打ちもありそうです。43地点は初期配置で歩がある地点なので先手がこの歩を取る手とか△44歩で空いた43地点へ駒を打つ手もありそうです。52地点は金が上がる手とか先手が後手の角を取って▲52角と打つ手がよく出てきます。61地点の手は金を取る手や△61玉などがありそうです。
横移動の手は自由に指すことはできず、駒取りの手の直後に指すか、棋譜に寄が付く手であれば自由なタイミングで指すことができますが寄が付く手は2回に制限されています。これらの条件を踏まえて指したのが参考図の手順になります。通常なら▲76歩、△34歩、▲22角成で後手の角を取るところですが、△34歩が[7年の手]なので[7年の手]で応じる必要があり、先手が指せる[7年の手]は▲16歩しかありません。そこで3手目に▲16歩を指してみると参考図の手順で初手と3手目に手順前後が可能だったことが分かります。解図できたと思っていたのに手順前後が可能とになると何かクリアしていない条件があるはずです。詰み上がり図を確認すると、持ち駒は先手の持ち駒の銀1枚だけなので「終局時、駒台には2枚の駒があった」の条件を満たしていませんでした。
参考図:▲16歩、△34歩、▲76歩、△42金、▲22角成、△41玉、▲12角、△44歩、▲21角成、△51金、▲43桂、△52金寄、▲31馬寄 まで13手
参考図の手順を少し変えると終局時に持ち駒が桂と銀の2枚になる手順の▲16歩、△34歩、▲76歩、△42金、▲22角成、△41玉、▲15歩、△44歩、▲43角、△52金寄、▲21角成、△51金寄、▲31馬寄 まで13手の手順がありますが、2手連続の寄の手に目が行きますが10手目の△52金寄も寄が付く手なので計3回となるのて条件をクリアしていません。他にも馬寄の手で詰ますことができる手順はいくつかありますが、寄の回数や持ち駒の枚数が条件に合っていなくて解図に成功しません。そうなると、馬寄の手で詰ますことを考え直す必要がありそうです。棋譜に寄かせ付く手を指せるのは、横移動ができる同種の駒種が2枚以上が必要なので駒種としては金と馬以外に、と金、成香、成桂、成銀、飛、龍があるはずです。これらの駒種で13手で寄の手で詰ますことができる形を考えてみると、予想外に少なく、成香寄と成桂寄の2種だけのようです。馬以外の成香や成桂で寄が付く手を指せるのは13手目が最速なのでもう1回の寄が付く手は後手の金寄しかありません。[7年の手]の制限条件があることを考えると、▲25桂を指せるので成桂寄で後手玉を詰ます手順を考えるのが良さそうです。初手から▲16歩、△34歩、▲17桂、△33桂、▲25桂の順なら、初手の[7年の手]に対して[7年の手]で応じる2手目△34歩が△33桂を指す準備になっています。5手目の▲25桂は[7年の手]なので[7年の手]で応じなければいけませんが、34地点は埋まっていますし、43地点と61地点には初期配置の駒が居るので6手目は52地点の手になります。6手目の52地点の手として△52飛は横移動の手なので指すことができないのでどちらかの金が52地点へ上がる手が6手目になります。7手目は成桂寄の手を指すために必要な桂を入手する▲33桂成なので、この駒取りの手に対して後手は8手目に横移動の手を指す必要があります。8手目に横移動ができるのは、51の玉、52の金、82の飛ですが、成桂は33地点に居るので詰まされる後手玉が3筋へ近づく△41玉が良さそうです。つまり、6手目の52地点へ上がる金は41の金になります。6手目からは△52金左、▲33桂成、△41玉です。この後は、9手目に桂を打って、11手目にその桂が成って2枚目の成桂を盤上に作り、13手目に成桂寄の手で後手玉を詰ますシナリオです。玉は41地点に居るので成桂寄の手は32地点になるので桂成の手は22地点で決まりです。もし▲23桂成で成桂を作ってからその成桂を32地点へ移動した場合の棋譜は▲32成桂右になってしまうからです。▲22桂成をするためには▲14桂か▲34桂を指す必要がありますが、34地点には後手の歩が居るため9手目は▲14桂で決まりです。11手目の▲22桂成で角を取ることになるので12手瑠は横移動の手を指す必要があります。12手目の横移動の手は玉の退路を塞ぐことになる△51金寄になり、13手目の▲32成桂寄で後手玉を詰ますのですが、持ち駒は22の角を取った1枚だけなので最終手の▲32成桂寄で2枚目の持ち駒を取れるようにするために10手目は△32銀とすれば解図が完了となります。
余詰について
NAOさんからの余詰指摘手順は下記の通りです。
横移動の手として当然検討しなければいけない飛の手ですが、[7年の手]との関連で、△52飛しか検討していませんでした。粗検、大変申し訳ありませんでした。
元条件での余詰
▲16歩、△34歩、▲76歩、△32銀、▲22角成、△92飛、▲65角、△52金左、▲43角成、△41玉、▲96歩、△51金寄、▲32馬寄 まで13手
修正条件での余詰
▲16歩、△34歩、▲76歩、△62金、▲22角成、△52金寄、▲25角、△42玉、▲14角、△33桂、▲23角成、△92飛、▲33馬寄 まで13手
なお、元条件での余詰には下記の手順もありました。(最初の修正で除外されます)
▲76歩、△34歩、▲16歩、△62金、▲22角成、△72金、▲54角、△32銀、▲43角成、△52金、▲32馬寄、△62金左、▲42馬寄 まで13手
それではみなさんの短評をどうぞ。
(短評)
Pontamon(作者)「「寄」が付く手は過去作では金寄と馬寄しか無いですが、他の駒種だと何手で出て来るのかを調べていました。飛寄だと12手、次に短いのが成香寄と成桂寄の13手で駒種を伏せるには寄の手で詰むようにして馬寄を排除する条件にすれば行けそうな感じでした。手順を眺めていたら[7年の手]で手順前後や駒の非限定を解決できそうなので年賀用に転用しました。でも、余詰検討が足りていませんでした。」
飯山修さん「この問題だけわからずヒント待ちだったが作者の親切な大甘ヒントで助かった」
■余詰修正を2回もしてしまいお恥ずかしい次第です。m(_ _)m
NAOさん(双方解)「7の手は16~61のライン。"7手目までに"追加により序の限定が高まって16と25を使う桂活用が本命となった。」
■最初の修正では「飛の手なし」を検討していましたが、作者ヒントで大駒の着手なしにする予定だったので「7手目までに」にしたのが足りていませんでした。でも、▲42馬寄までの余詰があったのでどちらにしても修正が足りていなかったのですが...
piyoさん「成桂の筋は自力では思い浮かばず、中間ヒントを見て初めて考え始めました。
なお、「駒を取る手に必ず応じた手」の「必ず」の意味が最初よくわからず、解けてからもこの手順で合っているのか少し不安がありました。
「横移動の手は、棋譜に「寄」が付く手が2手連続と駒を取る手に応じた手のみ」だけでなく、「駒を取る手には必ず横移動の手で応じた」という意味も含んでいるので「必ず」なのでしょうか?」
■分かりにくい表現だったようで申し訳ありませんでした。締め切り前ヒントで『』を追加して「だけ」は2つの『』の場合だけで、「必ず」は駒を取る手とのセットなのです。駒を取る手の次の手は必ず横移動の手に限定されます。「だけ」と合わせると寄が付かない横移動の手は直前の手が駒取り以外では指せないのでした。条件を分けるか、直前ヒントでの補足(担当作だからできたズル)のように『』で囲むべきでした。
はなさかしろうさん「「寄」は金と金または馬と金かと思いきや、[7年の手]条件に導かれて意表の成桂登場。▲1六歩~▲2五桂の展開で両立の難しい2条件が同時に解消されて手応え良かったです。」
■慣れ親しんだ金寄と馬寄へ思考が向かうように、寄の手の駒種を伏せました。13手と長めの問題ですし、年賀推理ということで早くに解いてもらうために作者ヒントでは成桂寄の筋が見えてくる大甘ヒントにしました。
るかなんさん「「必ず応じる手」の意図がなかなか腹落ちせず苦労しました。」
■単に「駒取りの手に横移動の手で応じた」だと1回実現すれば条件に合ってしまうので、複数回の駒取りがあってそれら全てに横移動の手で応じるようにしたかったのでした。
桝彰介さん「わかりませんでした。7年の手の条件が面白かったです。」
■年賀推理だからこそ使える[7年の手]でした。年賀推理だと特別ルールで対局する状況設定に違和感がないので。
ほっとさん「合っているかどうか不安。」
■条件が分かりにくいと正解手順でも不安になりますね。
RINTAROさん「「駒を取る手に必ず応じた手」という表現が分かりにくいので、これであっているのか不安です。」
■作意の詰み上がりでは手順中に同の手が入る場合と入らない場合がありますが、どちらにせよ横移動の手は駒取りの直後の2回になるので「必ず」は不要に感じますが、飛が横に動く手が入る余詰手順では飛の横移動の手ではなく△92香のような手を指しても詰んでしまいます。駒取りに応じる横移動の手を一度でも実現したら良いと解釈されないように「必ず」が必要でした。
原岡望さん「「7年の手」は面白い条件です。何年かは同様の条件が使えますね」
■筋と段の数字を足さなくても、指し初めの特別ルールとして[〇年の手]を自由に定義すればいいので使えますね。
正解:9名
飯山修さん NAOさん piyoさん はなさかしろうさん
るかなんさん ほっとさん RINTAROさん 原岡望さん
テイエムガンバさん
(当選者は全題の解答発表後に発表)
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コメント
長文ご容赦ください。
「修正2」でも余詰ではないかとの疑念があり、結果稿を待ちました。
解説を拝見したところ、条件文の表現が作者の意図する条件と異なっていると
思われますのでコメントいたします。
問題なのは次の条件です。
「横移動の手は、棋譜に「寄」が付く手が2手連続と駒を取る手に必ず応じた手のみ」
主に二つの不具合があります。
#1 言葉の繋がりが明確でなく、二通りの意味に取れる。
A)『棋譜に「寄」が付く手が2手連続』と『駒を取る手に必ず応じた手』
B) 棋譜に「寄」が付く手が「『2手連続』と『駒を取る手に必ず応じた手』」
最終ヒントで前者A)であることが示されていますが、条件文はいずれにも読み取れます
ので修正が必要と考えます。後者B)なら「寄」が付く手は3回以上です。
#2 「寄」の回数が2回に限定されていない。
修正2で『「寄」が付く手2回』から『「寄」が付く手が2手連続』に変更されました。
修正前なら、"寄2回"と"それ(寄)以外"とわかりましたが、
修正後では、"2手連続"と"それ(2手連続寄)以外"の意味に変わっており、2手連続しな
い単独「寄」を許容しています。
その他、解答者コメントにもあるように"必ず応じた手"もわかりにくいので表現を修正さ
れた方がよいと思いました。
1) 寄が付く手は2手連続の2回だけ
2) 駒を取る手には必ず横移動の手で応じた
3) 上記以外に横移動の手はなかった
この3点を1条件で表現したかったのでしょうが、言葉が少し足らず正確に伝わっていません。
投稿: NAO | 2025.03.05 01:05
「横移動の手は、」を主語に置き、2つのことを並べて記述したのがまずかったと思います。
余詰修正では修正済みのものを変更したり、別の修正と置き換えることができないので修正2でも舌足らずになっていました。
元から修正するなら、
・棋譜に「寄」が付く13手目の手で詰み
・6手目までに[7年の手]に[7年の手]で応じる応酬が2回あった ※
・同の手なし
・駒を取る手には必ず横移動の手で応じ、この横移動と「寄」が付く手以外に横移動は無かった
・終局時、駒台には2枚の駒があった
※[7年の手]:筋と段の数字を足したら7になる地点への着手
でしょうか。
投稿: Pontamon | 2025.03.05 08:43
まだ、間違ってました。
誤:駒を取る手には必ず横移動の手で応じ、この横移動と「寄」が付く手以外に横移動は無かった
正:駒を取る手には必ず横移動の手で応じ、この横移動と「寄」が付く手2回以外に横移動は無かった
ですね。
投稿: Pontamon | 2025.03.05 12:09
「6手目までに」が入れば、修正が比較的容易でしたね。
7にこだわったため少し条件が増えたのが裏目に出たようです。
「6手目までに」に替えて、「7手目を指す前に」とするのも一案です。
投稿: NAO | 2025.03.06 22:41
> 「7手目を指す前に」
流石! それだと年賀条件っぽいままになりますね。
投稿: Pontamon | 2025.03.07 07:10