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推理将棋第185回解答(1)

[2025年5月21日最終更新]
推理将棋第185回出題の185-1の解答です。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。

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推理将棋第185回解説  担当 Pontamon

推理将棋第185回のけいたんさんの個展は両王手作を集めた特集でした。
14名から解答をいただきました。いつも解答ありがとうございます。
解図に行き詰った際には、空き王手や両王手の筋を疑ってみてください。


185-1 初級  けいたん 作  55角不成2度       11手 

「11手で詰みか」
「4手目と8手目は同じ段の手だったね」
「55角不成が2度あったな」

さて、どんな手順だったのでしょうか。

(条件)

  • 11手で詰み
  • 4手目と8手目は同じ段の手
  • 55角不成が2度あり

出題のことば(担当 Pontamon)

 55地点で不成の手になるならその角は何処から来るのか?

作者ヒント

 両王手(けいたん)

締め切り前ヒント

 初級も両王手での詰みで、2回目の55角不成が両王手の最終手です。


推理将棋185-1 解答

▲76歩、△34歩、▲22角不成、△42玉、▲55角不成、△74歩、
▲82角不成、△32玉、▲92飛、△22玉、▲55角不成 まで11手


(条件)
・11手で詰み
・4手目と8手目は同じ段の手(4手目△42玉、8手目△32玉)
・55角不成が2度あり(5手目▲55角不成、11手目▲55角不成)

Suiri1851

中段での不成の手を指すには、一旦、敵陣に駒を配置してから中段へ移動する必要があります。敵陣へ駒を配置する方法としては、敵陣へ入り込む方法と敵陣へ駒を打つ手があります。本問での不成の手は55地点での角不成が2回なので、先手と後手がそれぞれ55角不成の手を指すことも考えられます。しかし、その手順を検討してみると手数が足りないようです。となると、どちらかが2回とも55角不成を指すようです。

Suiri1851a後手が△55角不成を2回指す場合を考えてみると、後手がそのミッションを実行している間に先手は後手玉を詰める手順を進めることができます。その一例としては、▲96歩、△34歩、▲76歩、△52玉、▲97角、△88角不成、▲53角不成、△55角不成、▲71角不成、△88角不成、▲42銀、△55角不成、▲53角成の手順がありましたが手数オーバーの13手掛かってしまいました。となると、55角不成を2回指すのは先手でしょうか。2回の▲55角不成を指すには先の例のように敵陣と55地点を2往復する必要があるので先手の手数が減ってしまうので詰み形は限定されます。そこで考えたのが参考図の手順です。55地点と後手陣とを2往復した55地点の角を支えにして22への角打ちで31の後手玉を詰める形です。これで解けたと思ったのですが、条件がもうひとつありました。4手目と8手目の着手段が同じである必要がありましたが、参考図の手順では4手目は△42玉で8手目は△31玉なので着手段が違うので条件をクリアできていませんでした。6手目も10手目も2段目の着手なのですが8手目の△31玉と手順を入れ替えることもできないので失敗のようです。

参考図:▲76歩、△34歩、▲22角不成、△42玉、▲55角不成、△32銀、▲33角不成、△31玉、▲55角不成、△42飛、▲22角打 まで11手

参考図の手順では4手目と8手目の着手段が異なっていたので失敗しましたが、参考図の手順を少し変更して、後手陣へ角を打ってから▲55角不成とする手順の▲76歩、△34歩、▲22角不成、△42玉、▲55角不成、△32玉、▲33角打、△42飛、▲66角、△22銀、▲55角引不成、△12香、▲22角成なら4手目と8手目の着手段は2段目で同じですが手数オーバーの13手になります。原因は、敵陣へ角を打つ場合は1回目の▲55角不成で55地点に角が居座っていると2回目の▲55角不成を指せないので55の角の移動に1手必要になるのが失敗原因です。

ここで先手が▲55角不成を2回指す場合を整理してみると、初手の▲76歩は確定ですが残るタスクは、後手陣へ角が入る⇒▲55角不成⇒後手陣へ角が入る⇒▲55角不成の4手が必要なので先手の6手のうちの5手が消費されます。残された1手で何ができるかと言うと、参考図の手順のように最初に後手陣へ角が入った時に取った角を最終手で打って詰ます手がありましたが4手目と8手目の着手段が同じにならずに失敗でした。3手目で取った角を最終手で打って詰める手順は無さそうですが、2回目に後手陣へ角が入る時に取れる駒ではどうでしょうか?55の角が利いている11の香を取れる他に、6手目に△22銀や△22飛、あるいは△33桂を指せば桂、銀、飛を最終手で打つことができます。また、▲76歩、△34歩、▲22角不成、△32金、▲55角不成、△22金、▲22同角不成の手順で金を入手することも可能です。続けて△42玉を指せば4手目と8手目の着手段は同じ2段目になり、▲55角不成、△32玉、▲33金の頭金を打つことはできますが△同桂で詰みません。3手目の角取りの後、7手目に歩以外の全ての駒種を取ることができても、9手目の2回目の▲55角不成の角を支えにした11手目の駒打ちの形では後手玉や後手陣の駒の利きとの関係で詰めることができないようです。本問は不詰みなのでしょうか。そこで思い出されるのが困った時には空き王手や両王手の手筋を検討するという言葉です。空き王手や両王手なら2回目の▲55角不成を最終手にすることができます。空き王手では後手陣の初期配置値の駒があるので容易に移動合が可能なため、目指すのは両王手です。角2枚での両王手は有り得ないので相棒は香か飛になりますが、11の香を取るのが7手目なので9手目に香を打ち、11手目が▲55角不成になるので9手目の香打ち自体が王手になるはずです。ということで両王手の相棒は飛になります。7手目に22地点で飛を取った場合、角の陰へ飛を打つので9手目は▲12飛のはず。11手目の▲55角不成が両王手になるには後手玉は82地点に居なければいけませんが6手目の△22飛ほを指していると10手目までには△72玉が精一杯なのでいけません。となると、先手が後手の飛を取るのは82地点で、飛を打つ地点は92地点で後手玉は22地点に居るはずです。初手から、▲76歩、△34歩、▲22角不成で後手の角を取るのは最終的に後手玉が22地点へ行けるようにするためです。続けて4手目から△42玉、▲55角不成、△74歩、▲82角不成です。4手目は△42玉と△74歩の手順前後ができそうですが、8手目は22地点へ向かう後手玉の△32玉になる見通しなので4手目は△42玉です。続けて8手目から△32玉、▲92飛、△22玉、▲55角不成の両王手で詰みとなりました。なお、8手目を△33玉としても両王手で詰みますが、これも4手目と8手目の着手段が同じという条件が効いていて△32玉に限定されています。

それではみなさんの短評をどうぞ。

(短評)

NAOさん「両王手を伏せた出題に意表を突かれる。後手番の55角不成を目指すのは8手目先手陣に侵入せねばならず条件未達。」

■中級と上級は条件に両王手が明示されていましたが、3題とも両王手の出題があるのかどうか疑心暗鬼になりそう。

RINTAROさん「定番の両王手ですが、55角不成2回でできちゃうんですね。」

■簡素な条件で既存作が生まれ変わり、しかも両王手を隠せる秀逸な条件作でした。

飯山修さん「過去問55-3の11手詰を解答しようと思ったら4手目と8手目の段が違う。1度はあきらめたが後日見直してみたら8手目の55角を2手目34歩に変えても成立する事にビックリ」

■55-3は似た詰み上がり図なので角成を角不成に変更すれば良さそうに見えてしまいます。

piyoさん「ロジカルにどう解けばいいかはわからないまま、色々試行するうちにたまたまこの詰み筋が浮かびました。」

■解図の糸口は、やはり55角不成が2回でしょう。

原岡望さん「筋は分かりましたが、なせか暗算ではできませんでした。4手目限定のための条件ですね。」

■先手が33の歩を取るのか、後手が△34歩と突くのかの違いでした。

中村丈志さん「1二飛の展開か、9二飛か迷いました。」

■両王手最短は9手で、その筋の▲92飛が正解でした。

Miyaさん「すごく気持ちいい手順でした。解けた時、すっきりしました。」

■本問の両王手のようなダイナミックな駒捌きが決まると解後感抜群ですね。

るかなんさん「一番とっつきやすい条件ではあったものの、9手目55角不成から駒打ちまでを読んで悩みました。」

■55地点に角を配置しての最終手が飛打ちか角打ちだと、飛の単騎詰か二枚角の筋しかなさそう。先手は9手目まで忙しいので後手が詰み形を作り上げる協力が必要になるけど...

はなさかしろうさん「9手両王手詰の拡大版、33の歩を後手が突くか先手が取るかですね。本問は前者で、段条件が限定と余詰防ぎに活躍していました。後者は、過去に余詰を出した記憶が…(涙)」

■手持ち資料は過去問の条件と手順の記録なので気付きませんでした。55-3の出題稿と解説を読み直すと余詰修正が入った作品だったのですね。

桝彰介さん「詰め上がりが分かると、後は手順の組み合わせ。」

■4手目と8手目が同じ段の手になるように手順を組み立てます。

ほっとさん「後手の22角を取ってしまえばよいことになかなか気付けず。」

■取った角を後手陣へ打ってから▲55角不成を目指すと手数オーバーになるのが見えるので22の角を取る手は除外してしまいそう。取った駒を使わなくても良いところは詰将棋と違いますね。

占魚亭さん「角を大きく動かす。面白かった。」

■最終手で駒を大きく動かすのは空き王手・両王手の醍醐味のひとつ。


正解:14

  NAOさん  けいたんさん  テイエムガンバさん  RINTAROさん
  飯山修さん  piyoさん  原岡望さん  中村丈志さん
  Miyaさん  るかなんさん  はなさかしろうさん  桝彰介さん
  ほっとさん  占魚亭さん

(当選者は全題の解答発表後に発表)

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