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推理将棋第186回解答(1)

[2025年6月23日最終更新]
推理将棋第186回出題の186-1の解答です。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。

関連情報: 推理将棋第186回出題  推理将棋第186回解答(1) (2) (3)
  推理将棋おもちゃ箱)  推理将棋(隣の将棋)  どんな将棋だったの? - 推理将棋入門


推理将棋第186回解説  担当 Pontamon

両王手特集の翌月なのでもう両王手は無いと思うだろうと、裏をかいて、条件に両王手が隠された作品の出題でした。
第186回は初解答の方も含めて12名から解答をいただきました。いつも解答ありがとうございます。


186-1 初級  Pontamon 作  小駒は1回、大駒は1つの筋 10手 

「10手で詰んだ将棋だけど駒成は無かったんだ」
「それは時々あることだね」
「それで小駒の着手は1回きりだった」
「ま、それも無いことはないか」
「大駒の着手はひとつの筋だけだった」
「それもよくある。各々は珍しくなくても3つ同時だと珍しいね」

さて、どんな手順だったのでしょうか。

(条件)

  • 10手で詰み
  • 小駒着手は1回
  • 大駒着手はひとつの筋
  • 駒成なし

出題のことば(担当 Pontamon)

 飛車を1回だけ振る手筋だと小駒の手は1回では済まない。同じ筋へ飛角を指すならあの手筋。

作者ヒント

 大駒着手は6回(Pontamon)

締め切り前ヒント

 はてるま手筋では駒成が必要。△15角との連携で37の飛が△39飛不成とする両王手だと1筋の大駒の手が必要。 本問は3筋の大駒の手だけで飛と角での両王手を実現させます。


推理将棋186-1 解答

76歩、△32飛、▲33角不成、△同飛、▲68玉、△37飛不成
▲78玉、△33飛不成、▲88玉、△38飛不成 まで10手


(条件)
・10手で詰み
・小駒着手は1回(初手▲76歩)
・大駒着手はひとつの筋(2手目△32飛、3手目▲33角不成、4手目△33同飛、6手目△37飛不成、8手目△33飛不成、10手目△38飛不成)
・駒成なし(3手目▲33角不成、6手目△37飛不成、8手目△33飛不成、10手目△38飛不成)

Suiri1861

Suiri1861a_20250625111301小駒着手は1回だけで駒成が無い手順となると、中段での空き王手の形が思い浮かびます。つまり、小駒の手は初手の▲76歩だけで、先手玉は66地点まで行き、33地点の飛が△35飛とする空き王手で詰ます手順です。小駒着手は初手の▲76歩の1手だけなので、その後の▲33角不成を△同飛と取ることになります。この方針で詰めたのが参考図の手順になります。56地点の玉の退路を防ぐために△34角と打ちたいところでしたが、それだと最終手の△35飛を指せなくなるので△74角としたので、小駒着手は1回と駒成なしの条件は満たしたものの大駒着手はひとつの筋の条件をクリアできずに失敗でした。

参考図:▲76歩、△32飛、▲68玉、△52玉、▲33角不成、△同飛、▲77玉、△74角、▲66玉、△35飛 まで10手

参考図の手順のように2手目が△32飛で、3手目の▲33角不成を角で取るのではなく△同飛で取る手順にしばしば遭遇します。有名な手順としては、はてるま手筋がありますがこの手筋だと大駒着手は3筋だけになりますが、最終手は△39飛成で駒成が必要になります。また、玉の退路を塞ぐための△68飛を指すと大駒着手の筋がひとつではなくなるし、代わりに▲68金や▲68銀で退路を埋めると小駒着手が1回では済まなくなります。余詰検討の際に威力を発揮するはてるま手筋を使えないとなると解図に行き詰まってしまいそうです。そんな困った時に考えるべきなのは両王手ですが、2手目が△32飛で3手目が角で33の歩を取り、4手目が△同飛の手順で最終的に両王手になる手順がありました。これは通称0番と呼ばれる両王手の手順ですが、有名過ぎるのが原因なのか条件違いの作品は殆ど無くて見掛けないので記憶に残り難い方もいるでしょう。おもちゃ箱では「130-3 三捨利警部の推理(4手前のアリバイ・オマージュ)」で類作が出て来ただけのようです。詰将棋パラダイスの推理将棋で2番として出題された作品ですが、本問の手順は駒成無しの条件があるので詰パラの2番と同一手順になりそうです。初手から▲76歩、△32飛、▲33角不成、△同飛と進みます。両王手の形は、先手玉が88地点に居る時に後手の角の利きを遮っていた後手の飛が△38飛不成と指すことによって、後手の角と飛で両王手を掛けて詰ます形になります。最終手の△38飛不成を指すには初期配置の37の歩が邪魔なので△37飛不成で取り去り、その後は角の利きを遮るために△33飛不成で飛を引くという手順です、先手玉は88地点へ移動します。したがって5手目からは▲68玉、△37飛不成、▲78玉、△33飛不成、▲88玉に△38飛不成で詰みとなります。

それではみなさんの短評をどうぞ。

(短評)

NAOさん「同一手順の詰パラ2番とは見え方がちょっと違う。」

■ひとつの筋だけの大駒着手条件だとはてるま手筋を思い出し易いと想定しての作図でした。

springsさん「最初「先手66王/後手35飛・34角」の詰上りを考えましたが、最終手は33飛が34角を飛び越えることになるからダメ。
88王に両王手の詰上りは盲点でした。勉強になります。
飛車が37歩を取って戻るのがいい手ですね。」

■参考図の手順を考えられたのですね。

飯山修さん「小駒が1回という制約がきつく10手過去問では初手76歩3作2手目34歩3作しかなかった。
本作はパラ2番と同じ作意でした。」

■小駒の着手が1回だけだと、先手か後手の角筋を開ける歩突きしかありません。

piyoさん「先手玉の周りの金銀を無力化するにはどうすればいいかと考えてすぐに思いつきました。シンプルで爽快な詰め上がり」

■この詰み上がり手筋の虜になったのがはなさかしろうさん。

中村丈志さん「既存の2二角を用いた両王手になかなか気づきませんでした。」

■初期配置のままの角を利用することによって、ひとつの筋の着手条件をかわしています。

RINTAROさん「玉が小駒でも大駒でもないことに気づけば一瞬。」

■小駒着手が1回だけで残り全てが同じ筋への大駒着手だと勘違いすると大変なことになります。玉は大駒でも小駒でもないので本問では自由に指すことができます。

ほっとさん「黎明期からある筋。」

■何せ俗称の0番、推理将棋が出来る切っ掛けになった作品だと記憶しています。

るかなんさん「39飛不成では王手にならない、と気付けるかどうか。」

■はてるま手筋で解けたと思ったら、玉腹の金が邪魔してました。

占魚亭さん「居角を利用。後手飛車の大きな動きが気持ちいい。」

■居角を利用しても2筋への角着手ではないので条件をクリアしています。

桝彰介さん「3筋の大駒だけで両王手は不可能だと思い、初期配置の角になかなか気づきませんでした。」

■0番の手順を知っている人にとっては簡単な手順だったのでした。

はなさかしろうさん「0番キタ~! それほど強くない条件の並立で難問かと思いきや、本問は鮮烈すぎる予備知識のお蔭で雷に遭ったようなもの。それにしても0番、元はどんな条件だっけ? となるところまでがお約束でしょうか(本当に思い出せません)。」

■過去作をまとめた手元のエクセル表によると、条件は「10手で先手が詰んだ/最終局面で後手の持ち駒は角歩/大駒の不成が4回あった」ですが出題時には「大駒の」が無くて余詰だったようです。
参考URL:http://toybox.tea-nifty.com/memo/2008/02/post_d7c5.html#pg03

原岡望さん「右辺にこだわると失敗」

■△15角を配置しての空き王手をしたくなります。


正解:12

  NAOさん  springsさん  飯山修さん  piyoさん
  中村丈志さん  RINTAROさん  ほっとさん  るかなんさん
  占魚亭さん  桝彰介さん  はなさかしろうさん  原岡望さん

(当選者は全題の解答発表後に発表)

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