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推理将棋第186回解答(3)

[2025年6月29日最終更新]
推理将棋第186回出題の186-3の解答、第186回出題の当選者(中村丈志さん)を発表します。

推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。

関連情報: 推理将棋第186回出題  推理将棋第186回解答(1) (2) (3)
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186-3 上級  NAO 作   もう一つの連続駒取王手詰  54手 

184-3の連続駒取王手、難問だけど面白かったね」
「うん。いろいろ試してみた。すると54手で詰んだんだけど、どうしても3の倍数段目の着手数が合わないんだ」
「ほう、ということは、後手は6手目以降王手をかけ続け、8手目以降駒を取り続けたんだね」
「そう。後手の8~54手目が駒取王手でそのまま詰んだ。 4筋と6筋への着手数が8回ずつだったよ」

さて、どんな手順だったのでしょうか。

(条件)

  • 54手で詰んだ
  • 後手は6手目以降王手をかけ続け、8手目以降駒を取り続けた
  • 4筋と6筋への着手が8回ずつ

出題のことば(担当 Pontamon)

 184-3の手順を変更して4筋と6筋の着手を8回ずつに出来ればいいのですがそうは問屋が卸さない。

作者ヒント

 序盤は184-3の手順と同じで、途中枝分かれし、収束でまた合流します。
 途中開き王手が2回あります。先手の駒取りは、3,5,39,47,49手目。(NAO)

締め切り前ヒント

 13手目の合駒の手は▲58歩ではなく移動合いです。また、184-3では28手目だった△37飛成の王手は20手目でも可能ですが本問では22手目になります。


推理将棋186-3 解答 担当 Pontamon

▲76歩、△32飛、▲33角成、△42銀、▲43馬、△77角不成
68金、△角不成、▲58玉、△57角成、▲69玉、△47馬、
▲58金、△同馬、▲78玉、△67馬、▲88玉、△89馬、
▲77玉、△99馬、▲88銀、△37飛成、▲78玉、△28龍、
▲77玉、△88龍、▲66玉、△97龍、▲57玉、△87龍、
▲56玉、△76龍、▲66歩、△馬、▲46玉、△39馬、
▲56歩、△同龍、▲同玉、△29馬、▲55玉、△19馬、
▲28飛、△同馬、▲44玉、△43銀、▲53玉、△17馬、
63玉、△27馬、▲45歩、△馬、▲54歩、△同馬 まで54手


(条件)
・54手で詰んだ
・後手は6手目以降王手をかけ続け、8手目以降駒を取り続けた(6手目△77角不成、8手目△68同角不成の駒取り王手で以降は全て駒取りの王手)
・4筋と6筋への着手が8回ずつ(4筋:4手目△42銀、5手目▲43馬、12手目△47馬、35手目▲46玉、45手目▲44玉、46手目△43銀、51手目▲45歩、52手目△45同馬
6筋:7手目▲68金、8手目△68同角不成、11手目▲69玉、16手目△67馬、27手目▲66玉、33手目▲66歩、34手目△66同馬、49手目▲63玉)

Suiri1863

184-3の解説のように、玉以外の先手の初期配置の駒19枚だけでは24回の駒取りを実現できないので、先手は初王手の6手目以前の手と王手から逃げながら玉で後手の駒を取ることで5枚の後手駒を入手して、後でそれらの駒を合駒として打って後手に取らせる必要があります。先手が取れる駒は、3筋から6筋までの後手の歩4枚と途中で王手を掛ける後手の飛の計5枚なので、序の手順や収束図は同じになるはずです。となると、本問の手順は184-3の手順の途中部分が異なる手順になるはずです。初王手が6手目なので7手目以降の先手着手は玉が逃げるか王手した駒を取る手か合駒をする手しかないので、後手に取られる先手の駒は殆どが初期配置のままで取られることになり、途中の変化が可能なのは、玉の逃げ方と合駒の手(合駒を打つ手と移動合い)しかありません。これを念頭に置いて184-3の手順を元にして手順を考えるのが一番良さそうです。

Suiri1863aそこで捻り出したのが参考図の手順です。184-3の手順を変更するにあたって注目したのは最初の飛の手の王手の△37飛成から△28龍の王手の後の手順でした。184-3では▲48歩の合駒をして、△76馬の歩取りの王手に続きましたが、歩の合駒ではなく9段目の駒の移動合いを△同龍とする手順が浮かんで来ました。この手筋だと、▲38銀、△同龍、▲48金、△同龍で2回の駒取り王手を稼ぐことができそうだったからです。手順を考えた際、▲38銀、△同龍の手順で39地点の銀が居なくなると後に後手の馬を1筋側へ転回することができなくなるのが分かり、ここでは▲48金、△同龍だけになっています。39の銀を残したままにすることで、46の先手玉に対して76の後手龍と66の後手の馬が△39馬で銀を取る手を空き王手にすることができました。空き王手はその前にもあり、66の先手玉に対して99の後手の馬と88の後手の龍を△97龍で歩を取る手で空き王手にしています。これで解けたと思い、確認のため4筋と6筋の着手回数を数えてみたところ、4筋着手が10回なので2回多くなっていました。49の金を移動合いにした▲48金、△同龍の2手が4筋着手回数オーバーの原因のようなので▲58金、△同龍と修正すれば良いはず。でも、▲38金、△同龍の手順修正も可能に見えます。49の金の移動合いができる地点は38、48、58の3地点なので、着手回数条件で4筋の▲48金に限定されるのであれば話は別なのですが。何かおかしいと思い、参考手順の終局図を見てみると、盤上と持ち駒の歩を合わせて歩の数はなんと19枚になっていました。手順を初手から追ってみると、38手目の△39馬の空き王手の際に持ち駒が無いのに▲56歩の合駒を打っていました。手順をあれこれ考えている最中に予備の歩が紛れ込んでいたのでしょう。ということで参考図の手順は失敗でした。

参考図:▲76歩、△32飛、▲33角成、△42銀、▲43馬、△77角不成、▲68金、△同角不成、▲58玉、△57角成、▲69玉、△47馬、
▲58歩、△同馬、▲78玉、△67馬、▲88玉、△89馬、▲77玉、△99馬、▲88銀、△37飛成、▲68玉、△28龍、
▲48金、△同龍、▲77玉、△88龍、▲66玉、△97龍、▲67玉、△87龍、▲56玉、△76龍、▲66歩、△同馬、
▲46玉、△39馬、▲56歩、△同龍、▲同玉、△29馬、▲55玉、△19馬、▲28飛、△同馬、▲44玉、△43銀、
▲53玉、△17馬、▲63玉、△27馬、▲45歩、△同馬、▲54歩、△同馬 まで56手

一歩多くて失敗した参考手順ですが、移動合い以外にも忘れていた空き王手の発想があることに気付いたのは収穫でした。持ち駒が無くて▲56歩の合駒ができなかったのであれば、それ以前にあった歩の合駒の手を移動合に変更できないかを考えてみます。最初の歩の合駒は▲69玉に△47馬で王手した際の13手目の▲58歩です。この13手目は184-3でも同じ手でしたが、この歩の合い駒を移動合に代えるとすると▲58飛か▲58金ですが、後々△28龍で28の飛を取って王手する手順を想定しているので28の飛を動かす訳には行かず13手目を▲58金にします。12手目までの序は184-3と同一手順しかあり得ないので確定です。初手から13手目までは▲76歩、△32飛、▲33角成、△42銀、▲43馬、△77角不成、▲68金、△同角不成、▲58玉、△57角成、▲69玉、△47馬、▲58金になります。続けて21手目までの△同馬、▲78玉、△67馬、▲88玉、△89馬、▲77玉、△99馬、▲88銀は一本道です。21手目を▲88銀とはしないで▲67玉として△37飛成、▲58玉、△28龍のように駒取り王手は多少続けることはできますが、99地点に取り残された後手の馬は取れる駒も無いので身動きができなくなるので21手目は▲88銀です。22手目は参考手順と同じく△37飛成で次に△28龍で飛を取っての王手を予定しています。23手目は玉を8段目へ移動する手になりますが、▲68玉と▲78玉の二択になりますが、取り敢えず参考手順と同じ▲68玉として▲68玉、△28龍と進めますが、ここで参考手順では49の金を移動合いとして使いましたが、今回は13手目に▲58金としているため金がありません。この時点で先手は2枚の歩を持っていますが、ここで持ち駒の歩を使って△28龍に対する合駒をすると結局のところ後に出て来る△39馬の空き王手に▲56歩と打つ歩が無くなるので、△28龍の王手に対する25手目は玉を逃げるしかありません。参考手順での▲48金、△同龍の2手が省かれるので手数オーバーだった56手は54手に修正されるはずです。玉が逃げる25手目は参考手順に現れる▲77玉で続けて△88龍、▲66玉、△97龍の空き王手になります。続けて29手目からも参考図手順同様に▲67玉、△87龍、▲56玉、△76龍、▲66歩、△同馬、▲46玉、△39馬、▲56歩、△同龍、▲同玉、△29馬、▲55玉、△19馬、▲28飛、△同馬、▲44玉、△43銀、▲53玉、△17馬、▲63玉、△27馬、▲45歩、△同馬、▲54歩、△同馬までの54手で詰みます。
ここで、4筋と6筋の着手回数を数えてみると、4筋着手は条件通りの8回でしたが6筋着手は10回でした。着手回数が多かった6筋ですが、取り敢えず指した23手目の▲68玉を▲78玉にすることで6筋着手が1回減ります。もう1手は28手目の△97龍に対して7段目へ玉が逃げる手を▲67玉にしましたが、これを▲57玉にして29手目から▲57玉、△87龍、▲56玉とすれば31手目の▲56玉の手順へ戻ることが出来、6筋着手を1回減らすことができました。

それではみなさんの短評をどうぞ。

(短評)

NAOさん(作者)「本作は184-3のスピンオフ作品です。184-3解図中に「3の倍数段の着手」がどうしても20回を越えてしまう別手順を発見しました。その手順を解説で紹介してもらうつもりでしたが、開き王手2回入るのが面白くPontamonさんに作品化を勧められ、出題用に条件付けしました。
184-3出題時は、8手目から連続駒取り王手が24回続いて「駒取王手のまま詰ます」構想にはたいへん驚きました。手順を発見され作品化されたはなさかしろうさんには敬意を表します。」

■はなさかしろうさんとNAOさんのお二人の構想作には毎回脱帽です。今回は連続駒取り王手でしたが、過去にも連続関連の長手数作がざくざく。連続とか最多とかがキーワードになっているようですね。

springsさん「駒取り王手が続かずギブアップ。解答を楽しみに待ちたいと思います。」

■184-3の先行作の締め切り前ヒントは甘過ぎだったと思い今回は少し辛めに調整。ヒントがちょっと少なかったのかもしれません。

飯山修さん「途中の58金移動合から枝分かれして88銀を龍で取る発想になかなか至らず四苦八苦。
66歩合を同馬でようやく合流できると判りあとは4筋6筋の数合わせ。一粒で二度おいしいというフレーズはこういう時に使うのか。」

■184-3では▲36歩、△同馬で3の倍数段の手を稼いだ51手目からの部分を▲45歩、△同馬にすれば良いと思いきや、6筋着手回数が合っていなかった人も居たでしょう。

piyoさん「最初の2問は瞬殺だったのですが、この問題には苦戦し、締め切り前ヒントを見てようやく解けました。
「184-3」を見てこの問題を思いつく作者に呆れました(褒め言葉)」

■184-3の初解答の際にこの手順が記載されていたので[余詰か?!]と担当は青ざめました。余詰検討の中で完全に見落としていた手順でした。

RINTAROさん「ヒント有でも難しかったです。ポイントは26手目88龍に気づくかどうか。」

■88地点への移動合いの▲88銀を△同馬で取らずに△37飛成で歩を取る王手という分岐時点でも△88馬の駒取り王手は後回しにするくらいの感覚でいると解けなくなってしまいます。

ほっとさん「これは完全にヒント頼み。99馬をそのままにして7~9筋の駒を龍で取っていくのが盲点。
ようやく手順を発見してからも4筋6筋各8回の帳尻を合わせるのが大変だった。」

■元作品があったので、結構、取っ付き易いかと思っていたのですが、中々大変だったようですね。

るかなんさん「開王手2回のイメージがまったく浮かばず。」

■王手する駒の利きを止めていた扉の駒が龍の場合と馬の場合とに綺麗に分かれていたのも好感触。

占魚亭さん「ギブアップです。」

■184-3の手順から分岐する可能性がある58地点の合駒までの序の解答でしたが、その後の手順をまとめるのが大変だったようですね。

桝彰介さん「過去の問題から少し手順を変えるだけなので解けそうに思いましたが、上手くいきませんでした。」

■最初の分岐は移動合いか駒打ちかの小さい違いでしたが、その後、2回の空き王手という大きな変化を挟んで元の手順に収束して行くという流れでした。

はなさかしろうさん「空き王手、良いですね! この形に至る前に狙って実現できなかったこともあり、本譜の組み立てに脱帽です。5筋をどうやって渡るかがポイントで、76→49のホットラインは外せないと思っていたのですが、空き王手を使っての66→39は思いも寄らない順でした。」

■原作の検討の際に、龍で玉の1段下の駒を横へ取り進める連続王手を考えたのですが、左右に分断されているところの繋ぎが難しくて龍で追うのは手は短い間だと思っていました。左辺の駒を龍で掃除する手順があったとは!

原岡望さん「37飛成 に歩合の1手と思いますがどの筋でもうまく行かず残念です
先月は詰パラが珍しく早く解けたのにうまくいかないものですね」

■8段目へ逃げる▲78玉が正解でした。それを△28龍で王手してから左辺への大転回が待っていました。


正解:6名

  NAOさん  飯山修さん  piyoさん  RINTAROさん
  ほっとさん  はなさかしろうさん


(総評)

飯山修さん「186-1は2007年7月詰パラで推理将棋コーナーを開設した時の2問目の記念作と同一とあって同年9月の解答発表を見直してみた。すると総評コーナーである解答者が「推理将棋は面白いけど初形の縛りがきついので発展性は?」と感想を述べているのに対し、初代担当高坂氏は「自信をもって'ご心配なく'と答えておこう」と回答している。その後18年も続いている現状を考えると高坂氏の慧眼に感心しきり。」

■7手詰の29通りでさえ条件が変わって新作として出題されているので大丈夫でしょう。

RINTAROさん「1.2は瞬殺。3は最初からヒント待ち。」

■上級に使える時間を持つために、初級と中級は易し目にしましたが、最初からヒント待ちだと時間を持て余したことでしょう。

ほっとさん「186-3はほぼ諦めかけていましたが奇跡的に手順を発見。」

■閃きがあって解決されたようですね。今回の締め切り前ヒントは少し辛めだったようです。

るかなんさん「強いて言えば三間飛車特集ですかね。」

■2手目△32飛なので確かに三間飛車ですね。

占魚亭さん「今回は2手目32飛特集だったんですね。
1と2はヒントなしで解けたものの、3はヒント頼みでなんとかなるかなと思いましたが白旗。」

■締め切り前ヒントをもう少し甘めにしないと正解者6名は寂しい結果でした。

桝彰介さん「今回は久しぶりに2問解けました。長手数の問題は、条件を満たしてるか盤に並べないと確認するのが難しいと分かりました。」

■担当は詰将棋をしないので、専ら将棋ソフトで盤面を動かしまくって検討しています。

はなさかしろうさん「▲7六歩△3二飛▲3三角成/生の序は由緒正しい手筋ですね。今回は4手目が3問3様でした。」

■先月の両王手3作の序は11手作ということもあって、▲76歩、△34歩から3手目に22の角を取る手順でしたね。


推理将棋第186回出題全解答者: 12名

  NAOさん  springsさん  飯山修さん  piyoさん
  中村丈志さん  RINTAROさん  ほっとさん  るかなんさん
  占魚亭さん  桝彰介さん  はなさかしろうさん  原岡望さん

当選: 中村丈志さん

おめでとうございます。
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