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推理将棋第187回解答(2)

[2025年7月23日最終更新]
推理将棋第187回出題の187-2の解答です。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。

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187-2 中級  るかなん 作  選択の余地なし       10手 

「成生を選べる手が無いまま10手で詰みか。「同」の手ならゾロ目の地点で2回あったし、金頭の手も2回あったんだけど。」

さて、どんな手順だったのでしょうか。

(条件)

  • 10手で詰み
  • 成生を選べる着手なし
  • ゾロ目の地点で「同」の手2回
  • 金頭の手2回

出題のことば(担当 Pontamon)

 成の手も不成の手も無ければそもそも選択は出来ませんが、そんな手順は無いので検討不要です。

作者ヒント

 同の手に同の手で応じた(るかなん)

締め切り前ヒント

 同一地点への3手連続着手で「同」の手2回を効率よく指す。敵陣へ入り込むと不成か成の選択が生じるけど、敵陣へ駒を打つ手や強制成りの手は条件をクリアします。


推理将棋187-2 解答 担当 Pontamon

▲46歩、△42飛、▲45歩、△44歩、▲同歩、△同飛
▲58金右、△48歩、▲68銀、△49歩成 まで10手


(条件)

・10手で詰み
・成生を選べる着手なし(9手目△49歩成は強制成り)
・ゾロ目の地点で「同」の手2回(4手目△44歩、5手目▲同歩、6手目△同飛)
・金頭の手2回(2手目△42飛、9手目▲68銀)

Suiri1872

Suiri1872a「成生を選べる着手なし」という条件は何か意味深な表現に思えます。この条件を見てすぐに思い浮かぶのは「164-2 桂着手5回」で使われた「成らないと反則のときだけ成る」や「164-3 動けない歩の隣の駒」での直接的な表現の「強制成り」の手ですが、何か別の解釈ができそうな気もします。つまり、強制成りの手だという先入観を持たせるミスディレクションへの誘導が隠されているのかもしれません。そこで思い出したのは松田圭市氏作の詰パラの推理将棋14番の条件でした。「最終手は不成で成ると詰まなかった」という条件がある11手作だったもので、不成が必然な詰み形でした。残念ながらその詰み形は10手では実現できないので、何か別の手段がないかと知恵を絞った結果が参考図の手順です。一応、最終手は△69桂成の強制成りになっていますが、途中に77地点で桂を取る際に△77角成をしています。これは先手玉を詰めるためには△87馬を指す必要があったので、成生を選べる状況では無いとの主張が通れば良いのですが、ゾロ目地点での同の手はこの4手目の△同角成しかないですし、金頭の手も▲68玉の1回しかないので条件を満たしていませんでした。

参考図:▲76歩、△34歩、▲77桂、△同角成、▲58玉、△87馬、▲68玉、△77桂、▲58金右、△69桂成 まで10手

相手玉を詰ますために不成・成の選択ができる状況なのに不成を選択したり、最終手を支えるために駒成が必要なので成ったのでは成生を選べる状況下で自分の都合で不成や成を選択しているので、本問の条件を満たしているとは言えないでしょう。しかし、そもそも、成と不成を選択できる状況が一度も現れない、つまり、不成も成の手も無い手順であれば「成生を選べる着手なし」を満たせるはずです。しかし検討してみても、成や不成の手が無い手順の中でゾロ目地点でなくても同の手が2回出てくる手順は無さそうです。成の手も不成の手も無いとなると中段での小競り合いになり、ゾロ目地点ではなくても同の手を指せません。

結局は、強制成の手以外に成る手は無かったということに帰着します。参考図の手順では最終手の桂の強制成を支えるために△87馬を指しましたが、条件を満たすためには中段から支えるか、相手陣への駒打ちで支えることになります。金頭の手の条件も加味すると、△48歩や△68歩からの9段目での歩成が最有力になりそうです。香や桂の入手を不成や成の手なしで実現するには手数が掛かるからです。そこで、考えた手順は、▲46歩、△34歩、▲45歩、△44歩、▲同歩、△同角、▲76歩、△48歩、▲66角、△同角、▲同歩、△67角、▲68銀、△49歩成の手順です。金頭の手は△48歩と▲68銀の2回ですが、ゾロ目地点での同の手は44地点での▲同歩、△同角の他に66地点での△同角、▲同歩もあり計4回で手数も手数オーバーの12手になっています。最終手の△49歩成を支える駒は67地点へ打った△67角ですが、この角を入手するために66地点での同の手が2回追加されてしまいました。ほかに49地点の最終手を支えることができる駒を配置することは可能でしょうか?そう、後手の飛を△42飛へ移動させれば後手の4筋の歩が無くなれば金頭へ△48歩を打てて、△49歩成を支えることができます。初手から、▲46歩、△42飛、▲45歩、△44歩、▲同歩、△同飛と進めると44のゾロ目地点での同の手2回もクリアします。続けて、7手目の▲68飛は金頭の手で玉の退路封鎖を兼任し、8手目の△48歩が金頭への手で次の▲58金右が玉の退路封鎖の協力手になり△49歩成の強制成りで詰みとなりました。これで解けたと思いきや、検算してみると、2手目の△42飛も金頭の手になっていたので、7手目の▲68飛と8手目の△48歩と合わせると金頭の手が計3回になっていました。△48歩は手順には必須の手ですが、先に7手目で金を▲58金右としておけば△48歩は金頭の手では無くなります。▲58金右や△48歩が居るので▲68飛を9手目に指すことはできませんが、金頭の手の2回目として69地点の金頭への着手が必要なので9手目は▲68銀を指して、玉の退路封鎖とともに2回目の金頭の手を実現することができました。

それではみなさんの短評をどうぞ。

(短評)

るかなんさん(作者)「リベンジ作。前回の余詰修正が丸ごとミスディレクションになれば。」

■179-3では「成る手なし」を「成生を選べる手なし」にする余詰修正でしたが、本作では「成生を選べる手なし」を主役にしてリベンジ成功でした。

NAOさん「8段目に歩を打てば歩成が約束される。7手目金右が金頭の手3回を抑止する」

■先手のに金頭に歩を叩けば次の歩成は強制成りなので簡単だと思い、2手目の△42飛が金頭の手であることを見落としがち。担当も投稿時に引っ掛かりました。

ほっとさん「「成生を選べる手なし」⇒「成る手なし」 ではなく、最下段の歩成なら可能だった。
7・9手目がいろいろあるかと思ったが、作意以外では8手目が金頭の手になり「金頭の手が3回」になってしまう」

■「成生を選べる手なし」ということは、成りの手か不成の手が確定するような手順と考えたのが解説での失敗例。強制成りに気が付くかがカギでした。

RINTAROさん「1段目の歩成に気づくまで時間かかりました。出題時の「そんな手順は無いので検討不要です。」が大ヒントでした。
「金頭の手2回」が7手目を58金右に限定する好条件だと思います。」

■7手目の罠に引っ掛かった解答者が意外に多かったのが驚きの結果となりました。

原岡望さん「4筋の攻防は珍しい」

■金頭の手が3回になる手順を解答されました。担当も引っ掛かって、初見では7手目に▲68飛を指しました。▲68銀ではなく▲68飛を指すと、すぐ近くの79の銀での▲68銀に気付き易かったのかも。

飯山修さん「直前ヒントの'敵陣打ち込みや強制成はOK'という表現がいかにも不自然という感覚になるかどうか。今月はこの問題に最後迄苦しめられた。初手と3手目の順番が限定される手はそもそも少ないのでこれに早くから絞るべきだった。」

■歩と他の駒で初手と3手目を指す手順前後が多いですね。手順が限定されるのは、▲76歩で角道を開けてからの角移動、同じ歩を連続で突く手、飛を左へ振ってから8段目へ上がる手、初手で動かした駒が居た地点へ3手目で駒が移動する場合など。

はなさかしろうさん「敵陣に侵入しないならば角より飛…ということでゾロ目は44。成生は強制成りが本命ですが、そもそも成れる手がない可能性にもちょっと惹かれるあたりが我ながらへそ曲がりでした。」

■原岡さんと同じく7手目▲68銀の誤答でした。
解説の失敗例では、詰めるためには成るしか選択肢が無いというへそ曲がりな主張をしてみました。

桝彰介さん「分かりません。角の王手で合駒利かずの詰みを考えましたが、手数が足りませんでした。」

■成る手も不成の手もない手順を探索されたのでしょうか。敵陣へ入れないので中段からの角での合駒利かずの発想は正しいのですが、手数が...。

占魚亭さん「ゾロ目地点は66かな?」

■ヒント前なら、44と55のゾロ目2地点で同角とする手順を考えた方が居たかも。
▲76歩、△44歩、▲同角、△34歩、▲55角、△同角、▲46歩、△同角、▲26歩、△27角、▲68銀、△48歩、▲58金右、△49歩成 だと手数オーバーの14手になってしまいます。これを参考図にした方が良かったかな?


正解:6

  NAOさん  piyoさん  ほっとさん  RINTAROさん
  るかなんさん  飯山修さん

(当選者は全題の解答発表後に発表)

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コメント

「成生を選べる手なし」=「不成の手なし」かつ「強制成でない成る手なし」で等価の条件になりますね。
「敵陣への着手なし」や「成る手なし」と使い分け、または意図的に分けずに使う方法も考えられ、結構使い勝手良さそうな感触でした。

投稿: るかなん | 2025.07.26 21:14

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