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推理将棋第188回解答(3)

[2025年8月29日最終更新]
推理将棋第188回出題の188-3の解答、第188回出題の当選者(springsさん)を発表します。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。

関連情報: 推理将棋第188回出題  推理将棋第188回解答(1) (2) (3)
  推理将棋おもちゃ箱)  推理将棋(隣の将棋)  どんな将棋だったの? - 推理将棋入門


188-3 上級  NAO 作   35飛まで         10手 

「王手!10手目この35飛で詰みだ」
「参った。3手目4筋の手が悪手だったか」

さて、どんな手順だったのでしょうか。

(条件)

  • 10手目35飛で詰んだ
  • 3手目に4筋の手を指した

出題のことば(担当 Pontamon)

 186-1の結果稿での参考図が35飛までの手順でしたが他の詰み手順があるようです。

作者ヒント

 9手目は6段目(NAO)

締め切り前ヒント

 とどめは空き王手でも横からの手でもなく玉頭への飛打ちです。


推理将棋188-3 解答 担当 Pontamon

▲26歩、△34歩、▲48玉、△55角、▲38玉、△37角不成、
▲27玉、△28角成、▲36玉、△35飛 まで10手


(条件)
・10手目35飛で詰んだ(10手目△35飛)
・3手目に4筋の手を指した(3手目▲48玉)

Suiri1883

186-1の結果稿の参考図の手順や作者の過去作の「154-3 高飛車くん(その11)」では35飛までの空き王手の手順でしたが、4筋の着手は入っていませんでした。先手玉を56地点へ逃がさないようにする手として後手の△47角不成を入れた空き王手の10手詰手順なら、▲76歩、△32飛、▲33角不成、△同飛、▲68玉、△38角、▲77玉、△47角不成、▲66玉、△35飛がありますが、本問での4筋着手条件は3手目に指定されています。3手目に▲46歩を突いておいて△47角や△38角を後手が指すとしても手数オーバーになります。したがって、▲66玉を△35飛の空き王手で詰める手順では無さそうです。となると、最終手の△35飛の利きで直接先手玉を詰ますはずなのですから、先手玉は5段目か3筋に居るはずです。

Suiri1883a参考図の手順では、初手の歩突きと3手目の玉の手の手順前後を消すために「3手目」の条件にして、玉の移動軌跡としては▲48玉、▲58玉、▲68玉を経由する三択になるので「3手目は4筋」の条件にして玉の移動経路を限定していると考えて▲45玉を△35飛で詰めた手順なのですが手数オーバーの12手になってしまったので失敗でした。35地点の飛を支えるための△44角は必要ですし、先手玉の退路を自ら塞ぐ▲46歩も必要なので10手へ手数を減らすことはできません。

参考図:▲56歩、△34歩、▲48玉、△35歩、▲57玉、△36歩、▲46玉、△32飛、▲45玉、△44角、▲46歩、△35飛 まで12手

最終手の△35飛と同じ段の先手玉を詰ますのは無理そうなので、残るは△35飛と同じ筋の3筋に居る先手玉を詰ます手順を考えなくてはいけません。△35飛と同じ3筋に居る先手玉と言っても、先手の手数の関係で先手玉は1~4段目へはいけません。後手は△84歩、△85歩、△86歩、△85飛から△35飛を指したいところですがこの手順だと△35飛を支える駒がないので失敗します。△35飛を支えるための△34歩を指すと手数オーバーです。それでは、後手は参考図の手順のように、△32飛を最終手で△35飛と動かして、△35飛を支えるための△44角を指せば手数は足りそうです。△32飛が先手の3筋の玉に利きが届いて王手をしている状態だと△35飛を指すことができないので、思い付く手順としては、▲36歩、△34歩、▲48玉、△35歩、▲同歩、△32飛、▲37玉、△44角、▲36玉、△35飛があります。つまり、35地点に居る先手の歩を取っての△35飛が最終手となる手順ですが、この手順では先手玉の両脇の6段目地点へ玉が逃げることができるので詰んでいません。最終手が5段目での飛移動や3筋での飛移動でないとすれば、△35飛を実現する最後の手段は飛を打つ手です。最終手が△35飛を打つ手であれば、先ほどの手順での先手の歩突き2回は不要になるので、玉の退路を自ら塞ぐ手の協力もできそうです。先手の玉が△37玉の場合は、26地点、46地点の他に28地点と47地点も玉の退路として増えそうなので、玉位置は36地点でしょう。最終手で△35飛を打つには後手は飛の入手が必要ですが、玉が36地点に行くのに▲36歩を突いていては手数が足りなくなります。しかし、▲36歩の協力手を指せないと△55角から△28角成・不成で飛を取れそうにありません。ならば、後手が取り易い地点へ初手で飛を振っておいて3手目を▲46歩として先手玉が36地点へ向かうことができるようにすれば良さそうなのですが、▲68飛、△34歩、▲46歩、△77角成、▲48玉、△68馬、▲47玉、△57馬、▲36玉、△35飛の手順では▲26玉と逃げられてしまいます。飛を振る位置をいろいろ変えてみても、玉の通り道の47地点を後手の馬でカバーするのでは26地点の退路を塞ぐことができません。万事休すな気がしましたが、ここで冷静に詰み形を考えてみます。初手で飛を振るのは上手く行かないので、後手は28地点の飛を取ったことにして、▲36玉と△35飛の配置で先手玉が詰む盤面を考えます。玉の両脇の26地点と46地点ですが、先ほどは▲46歩を突くことによって46地点の退路を自ら塞ぎましたが、それだと26地点の退路が空いたままでした。そこで今度は玉の退路を塞ぐ協力手として▲26歩を考えてみると、46地点へ玉を逃がさないようにするためには△44歩、△45歩の2手が必要な気がして、それだと手数が足りません。28地点には飛を取った後の角か馬が居るので、初期配置の36地点の歩が無ければ46地点を28地点の後手の駒で抑えることができます。28地点の飛を取るには▲36歩の協力が必要だと思い込んでいましたが、後手自らで37地点の歩を取ってから28地点の飛を取る手順にすれば良さそうです。36地点へ玉が行かなければいけないのに、▲46歩も▲36歩も指さずに玉はどうやって36地点へ行けば良いのでしょうか。もちろん後手の角で37地点の歩を取る手順なので、後手の角が利いているので▲37玉を経由することはできません。玉の退路を塞ぐために▲26歩を突くことにしていますが、玉は遠回りして27地点経由で▲36玉が間に合うのでしょうか?初手からの指し手を考えてみると、▲26歩、△34歩、▲48玉、△55角と進みますが、5手目は27地点経由を目指しての▲38玉なので6手目の37地点の歩を取る手は△37角不成になります。続けて7手目から▲27玉、△28角成、▲36玉となり、27経由の遠回りでも▲36玉が間に合っていました。なお、8手目の飛取りの手は玉が通った27地点も後手が抑えるために角成とします。駒の配置が完了して、10手目の△35飛を打って無事に先手玉を詰ますことができました。

それではみなさんの短評をどうぞ。

(短評)

NAOさん(作者)「最終手を指定している分わかりやすいかと。」

■渡辺秀行さんの傑作10手詰1条件「101-1 75飛まで」のオマージュとのこと。最終手が判明していても原作同様に難問だと思います。

piyoさん「これだけの条件で限定できるのが驚き。
先手の飛車を取らせる筋を考えるにあたり、36歩を突かないと手数がかかって間に合わない気がしたのと、37が先手玉の通り道の邪魔になりそうに感じてしまい、37歩を取らせる筋は思い浮かびにくかったです。」

■後手の△55角に28の飛車を差し出すための協力手▲36歩は定番なので、その固定概念が解図の邪魔をします。

飯山修さん「最終手35飛の10手過去問を検索してみるとおもちゃ箱154-3と詰四会作品1番がヒット。
154-3は186-1の解答に出てくる参考図だが4筋の手を指す余裕がないのでこちらに決定。
2筋に迂回して玉が上がる手順はなかなか思いつかない。」

■急がば回れとは言うものの、玉が2筋まで行って戻る手順はすぐには見えません。つまり初手が全然思い浮かばないという作品でした。

けいたんさん「締め切り前ヒント待ち。初手が玉の退路封鎖になることはよくあるが、初手26歩とは!」

■初手▲26歩は玉の退路封鎖と玉が36地点へ行くための経路を開けるための一石二鳥の手でした。

Miyaさん「先手の玉は、一旦2筋まで行くんですね。素晴らしい手順です。」

■「101-1 75飛まで」とは違い、飛を振らなくて良い分、玉の手を増やすことができています。

原岡望さん「意表の初手。28馬の利きで仕留める。難問」

■詰み形としては「101-1 75飛まで」の6筋と7筋の駒配置が2筋と3筋になっている同形なのですが、繰り返し出て来る形ではないので思い浮かび難いでしょうね。

springsさん「この2条件で限定されるとは驚き。」

■渡辺さんの「75飛まで」の10手と同様に「35飛まで」の1条件は無理だったようですがプラス1条件でまとめられたのは流石です。「23歩成まで」の7手は皆さんご存知ですが、手数と最終手の棋譜だけの作品は多くはありません。

RINTAROさん「初手が一目でなかったのでまだまだです。」

■本問の初手は中々見えないのが普通でしょう。
▲26歩、▲25歩、▲26飛で飛を中段へ出して△同角で取らせる手順を考えたのなら初手▲26歩があるかもしれませんがこれだと玉が△35飛で詰まされる地点へ行けなくなります。

ほっとさん「開き王手の詰上りをどうしても考えてしまう。
作意は玉を出ていくのと飛を取る手のタイミングがぴったり。」

■玉が出て行くための初手が意表を突いています。

るかなんさん「第一感は46歩。37歩を外す進行は見えにくい。」

■初手で▲46歩を指しても3手目が4筋だと▲48玉か?あれっ、手順前後が可能だと気付いて悩むパターン。

占魚亭さん「一石二鳥の初手がナイスアシスト。角成は7筋と見当がついたので、すぐに解けました。」

■この初手が無いと玉の移動先を確保できませんでした。

はなさかしろうさん「一気に流れ下る美しい手順ですね。3手目条件が手順を限定しつつ後手飛活用を封じる好手でした。」

■▲66玉を空き王手で詰める手順を排除する必要があったので最終手の他にプラス1条件が必要でした。

桝彰介さん「後手がどう飛車を取るのか考えましたが、分からなかったです。」

■△55角から28地点の飛を取るのですが、通常とは異なり想定外の△37角不成から△28角成で飛を取る手順でした。


正解:11

  piyoさん  NAOさん  飯山修さん  けいたんさん
  Miyaさん  原岡望さん  springsさん  RINTAROさん
  ほっとさん  るかなんさん  はなさかしろうさん


(総評)

NAOさん「3題の難易度はいずれも中級、同じくらいに感じました。」

■解答送付時に担当をCc:に入れていただいているNAOさんの解答分だけは短評を先に読むことができるので、締め切り前ヒントの匙加減の参考にさせていただいています。
難しくは無かったようなので、今回の締め切り前ヒントは大甘にはしませんでした。

飯山修さん「詰四会作品1番とは詰四会HPの2008年第4回フェアリー作品展の神無七郎さんの作です。
この時の条件は最終手飛車打と先手初手歩3手目以降同一駒というものでこのHPには解答が載っていない為ずっとわからないままだった。数年後担当のたくぼんさんに解答はのせないのですかとメールしたら親切にもPDFファイルで解答の返信がありました。
今回の3番の解答はたくぼんさんのお陰です。」

■詰四会HPは閉鎖(?)されているみたいでアクセスできませんでしたが「第4回フェアリー作品展」の検索でヒットしたページへはアクセスできました。「初手の歩以外は、ひとつの駒ばかり4回動かした」という条件なのですね。「ひとつの駒」を「同じ駒種」と解釈した場合は、左右の金を58地点と68地点へ動かして、△27馬に△49飛で詰める手順が余詰になるところですね。「物理的にひとつの駒を4回動かした」だと解釈に揺らぎはなくなります。

けいたんさん「188-3が難しかったです。私の感覚では普通に攻めれば12手になります。」

■12手だと参考図の手順の他にも後手に2手余る▲68飛、△34歩、▲48玉、△14歩、▲56歩、△15歩、▲57玉、△77角不成、▲46玉、△68角不成、▲45玉、△35飛の詰み形もありますね。(5段目の玉位置は35、85、95地点以外の6地点が可能です)

Miyaさん「こんにちは、Miyaです。全局、角不成ありですね。角不成に好手ありです。なかなかわからなかったので、楽しませていただきました。」

■推理将棋では角不成の手は常套手段として使用されるので、角不成がある特集という意識はありませんでした。
全問とも不成に関する条件は無かったものの、全ての手順に角不成が隠れていましたね。

原岡望さん「2と3はヒント頼み。
今月は7日の解答です。パラも解答済みやれやれです。
前回の誤解は痛恨。確認したはずだったのですが。」

■今月は全問正解でした。
6月号は2問正解だったようですが、7月号は全問正解が期待されますね。
そう言えば、パラ8月号に載っていた6月号の新規解答者にビックリしました。

RINTAROさん「詰将棋全国大会で飯山さんにお会いして、ご自身で編集された推理将棋作品集をいただきました。
その情熱に敬服するとともに、推理将棋をやってきてよかったなと思えた瞬間でした。
飯山さん、その節はありがとうございました。」

■コロナで流れた九州開催予定の年は行く気満々だったのですが、その後はネット中継を見るだけで、今年はネット中継も無し。コロナ以降は出無精になってしまいました。

ほっとさん「中間ヒントよりも前に解けていたのに遅くなってしまった。」

■担当が皆さんの短評を読めるのは締め切り後。解答送付状況をみて締め切り前ヒントを投入するので、近年、甘めになっているようです。

るかなんさん「初日に解いた後出し忘れてました…。」

■解答送付の際にCc:に担当を入れていただけると、締め切り前ヒントの匙加減の参考になるのですが....。

はなさかしろうさん「前回はヒントを使わず全問解けたと思っていたら間違えてました。今回はどうでしょう?」

■無事、全問正解でした。無事と言うのは間違いで、先月が鬼の霍乱だったような感じです。

桝彰介さん「上級は難しくて今回も解けませんでしたが、2問解けました。」

■解けなかった問題にもいつも短評を書いていただき、ありがとうございます。


推理将棋第188回出題全解答者: 14名

  piyoさん  NAOさん  飯山修さん  けいたんさん
  Miyaさん  中村丈志さん  原岡望さん  springsさん
  RINTAROさん  ほっとさん  るかなんさん  占魚亭さん
  はなさかしろうさん  桝彰介さん

当選: springsさん

おめでとうございます。
賞品をお送りしますので、賞品リストから選んだご希望の賞品と送付先をメールでお知らせください

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