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推理将棋第165回解答(3)

[2023年9月28日最終更新]
推理将棋第165回出題の165-3の解答、第165回出題の当選者(けいたんさん)を発表します。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。

関連情報: 推理将棋第165回出題  推理将棋第165回解答(1) (2) (3)
  推理将棋おもちゃ箱)  推理将棋(隣の将棋)  どんな将棋だったの? - 推理将棋入門


165-3 上級  けいたん 作  最終手76歩        13手

「13手目の初王手で詰みか。最終手は76歩だったね」
「5段目に角を打つ手があったな」
「5段目に歩を打つ手があったね」
「4筋で同の手が2回あった」

さて、どんな手順だったのでしょうか。

(条件)

  • 13手目の初王手で詰み
  • 最終手は76歩
  • 5段目に角を打つ手あり
  • 5段目に歩を打つ手あり
  • 4筋で同の手が2回あった

出題のことば(担当 Pontamon)

 11手の36歩までの過去作では後手玉の位置は2通り。76歩だと玉は?

作者ヒント

 歩不成あり(けいたん)

締め切り前ヒント

 5段目への角打ちは先手、歩打ちは後手。最終手の▲76歩は空き王手の手です。

余詰修正

 会話と条件に次の文章を追加
 「4筋で同の手が2回あった」


推理将棋165-3 解答 担当 Pontamon

▲46歩、△34歩、▲45歩、△44角、▲同歩、△52玉、
▲43歩不成、△同玉、▲36歩、△44玉、▲65角、△45歩
76歩 まで13手

(条件)
・13手目の初王手で詰み(13手目▲76歩)
・最終手は76歩(13手目▲76歩)
・5段目に角を打つ手あり(11手目▲65角)
・5段目に歩を打つ手あり(12手目△45歩)
・4筋で同の手が2回あった(5手目▲44同歩、8手目△43同玉)

Suiri1653

最終手が▲76歩だと分かっているので、後手玉は75地点か先手の角筋地点に後手玉が居ての空き王手での詰みのはずです。「134-2 3筋の歩突きまで」では最終手が11手目の▲36歩で35の玉が詰む手順でした。左右の筋を反転させても詰みになる形は多いのですが、11手では殆どの筋の5段目玉が詰むのですが75の玉が詰む手順は無いようです。しかし、2手増えた13手だと75の玉を▲76歩で詰ますことができるのでしょうか?はたまた、大方の予想通り▲76歩は空き王手の手なのでしょうか?

75の玉を▲76歩の歩突きで詰める手順を考えてみると、▲96歩、△74歩、▲97角、△62玉、▲53角成、△73玉、▲97桂、△84玉、▲54馬、△75玉、▲78飛、△84歩、▲76歩の手順が浮かびますが、駒取りは先手が歩を取るだけなので5段目への歩打ちも角打ちもできません。▲76歩の歩突きで75の後手玉を詰める手順は他にもあるでしょうが、△75玉とするには後手着手は最低でも5手が必要なので残された1手では駒取りと駒打ちの2手を指すことができません。かといって、先手が5段目への角打ちと歩打ちをしようとしても歩が切れている先手の筋は無いので5段目への歩打ちは不可能です。

Suiri1653aとなると、予想通り▲76歩は空き王手のはずです。▲76歩の空き王手までの11手で5段目への角打ちがある手順に5段目へ歩を打つ手を増やしてみたのが参考図の手順となります。詰んではいるものの手数オーバーの15手でした。しかし、5段目への角打ちは先手の手で、▲76歩で利きが通った88の角との筋違い2枚角の形は玉の退路封鎖に効果があるようです。5段目への歩打ちは後手自らが退路を塞ぐ手になっているので、この方針も正しそうに見えます。

参考図:▲36歩、△34歩、▲35歩、△66角、▲同歩、△42玉、▲65歩、△33玉、▲34歩、△同玉、▲45角、△44玉、▲46歩、△35歩、▲76歩 まで15手

参考図の手順で手数オーバーになった原因は、▲36歩がそのままで居れば35地点の退路は塞がっていたのですが、後手に歩を打たせるために▲35歩、▲34歩で手数を使ってしまったところにありそうです。また、角を取る手は△66角に対しての▲同歩でしたが、66に歩が居ては▲76歩が空き王手にならないので▲65歩を指しておく必要がありました。これも1手を無駄にしている感じです。後手角の取り方と歩を後手に差し出す手順を効率的に指す手順を考える必要があります。

後手の角の利きは先手の角の利きと重なっているため、△66角、▲同歩でも△55角、▲同歩も先手の歩が角筋に残ったままでは▲76歩が空き王手になりません。空き王手での詰みなら後手玉は44地点まで出て来るはずなので、角を取る地点を44にすれば一石二鳥な気がします。初手から▲46歩、△34歩、▲45歩、△44角、▲同歩の手順で5手目に角を取ることができました。この後、後手玉が△42玉、△33玉、△44玉で歩を取れば、その歩を5段目へ打てばよいはずです。ところが、後手は歩を入手したのは良いけれど、歩が切れている筋が無いので歩を打つことができません。44の玉の退路を埋めるための歩打ちなので△45歩を指したいところです。それには43の歩を先手が取る必要があります。4筋の先手の歩は角を取るときに44地点まで来ているのでもう1手指して43の歩を取れば良いことになります。初王手で詰む条件なので、後手玉の経路で△42玉を指すと突き歩の王手になってしまうので、6手目からは△52玉、▲43歩不成、△同玉になります。先手の5段目への角打ちは▲65角として43地点の退路をカバーすることになりますが、43に玉が居るので今すぐには▲65角を打てません。9手目は▲36歩で35地点をカバーし、続けて△44玉,▲65角、△45歩で5段目への角打ちと歩打ちを済ますと13手目の▲76歩で詰みとなりました。

余詰
るかなんさん指摘の手順は
▲36歩、△34歩、▲35歩、△33角、▲34歩、△42玉、▲33歩不成、△同玉、▲45角、△44玉、▲46歩、△35歩、▲76歩
はなさかしろうさん指摘の手順は
▲66歩、△34歩、▲68飛、△66角、▲同飛、△42玉、▲63飛成、△65歩、▲同龍、△33玉、▲95角、△44玉、▲76歩

それではみなさんの短評をどうぞ。

(短評)

るかなんさん(双方解)「最初は26歩から22歩成を考えてました。その後角打歩打76歩を全部先手でこなすと後手が何をしても15手より縮まらない、ということは。」

■ということは、角打ちと歩打ちを先手と後手で分担するのですが、角打ちに必要な角を持ち駒にするには...。

はなさかしろうさん(双方解)「奇数手▲76歩まで/偶数手△34歩まで、というのはなかなかのチョークポイントですが…ミニベロさんが出題していた記憶があったので検索したところ、タラパパさんまで遡るとのこと。11手が最短なのでしょうか。本問は44玉型で後手45歩がユニークですね」

■△44玉に△45歩の形にするには13手かかってしまうということですね。

NAOさん「一気に退路を狭める65角。」

■2手目の△34歩が玉の退路を狭めていたとは驚きの詰み形でした。

RINTAROさん「初王手条件で手順が限定されている。」

■8手目に△同玉で取られるので関係無さそうな手の7手目の▲43歩不成が不成で限定されていました。

ミニベロさん「44に腰掛ける順や、33で詰ます順を追うと泥沼。「3筋角打ち」でも35角に誘われそう。この形は初めて見ます。」

■43地点経由での△44玉ですが、玉の退路を抑える5段目への角打ち。13手で可能な形でした。

ほっとさん(双方解)「3筋から行く余詰筋が強力。」

■粗検、申し訳ありませんでした。

飯山修さん「76歩がオリジナルなのか再生品なのかの見極め問題。素直にオリジナルと見て44同歩で角入手を考えれば一気。」

■△77角成、▲同桂などで後手角を取った後に歩を入手し、▲77歩と打った再生品の歩での▲76歩を考えられたのですね。

原岡望さん「角の取り方」

■先手にしても後手にしても角を取るのが難しいのに角打ちがあるというジレンマを44で後手角を取ることで解決。

べべ&ぺぺさん「面白そうですが、解がみつかりません。残念です。」

■最終手の▲76歩が空き王手だと決め打ちしても、解くのが難しい13手でした。

諏訪冬葉さん「「角を取る」と「4筋で同の手」が急に結びついて最初の5手が出てきました。」

■余詰修正で解き易くなりました。

桝彰介さん「玉が中段で詰むと思ったのですが、そこまで至る手順が難しくて解けませんでした。」

■▲76歩の空き王手だと後手玉の指定席は△44玉なのですが、見たことが無い詰み形なので難問でした。

占魚亭さん「降参です。」

■手数が1手増えるとこれまでに見たことが無い配置が可能になるので詰み形が思い浮かび難いです。


正解:9名

  るかなんさん  はなさかしろうさん  NAOさん  RINTAROさん
  ミニベロさん  ほっとさん  飯山修さん  原岡望さん
  諏訪冬葉さん


(総評)

るかなんさん「今回の共通項は何だろう。「駒の押し売り」かと思いましたが165-1は少しずれるか。」

■今月は特集テーマなしの一般出題でした。あえて言うなら「大駒がカギになる3題」でしょうか。

RINTAROさん「今月は中間ヒント前に解答を送ることができました。」

■ヒントなしでの解答だったのですね。

ミニベロさん「この夏のテーマは、暑さをしのいで無事生き残る事。涼しい部屋で推理将棋とかね。」

■先日見たニュースによると統計がある過去126年で一番暑い夏だったとのことでした。

ほっとさん「165-2は新しい方向性ですね。」

■駒の機能が変化したり通常の将棋駒の利きとは違う駒の動きの採用は難しいですが、着手制限系のフェアリールールは推理将棋に取り込めますね。

変寝夢さん「2の先手と後手でルールが違う作品は自在詰を思い出します。
もう知っている人もいないでしょうが、ケーケどうしてんのかな?
と呟いてみます。」

■「自在詰」は初めて聞きましたし、WFPルール一覧に「自在詰」は載ってないですね。「ケーケ」は作者名でしょうか。すみません、こちらも存じ上げません。

TETSU注:自在詰とは、変身ルールの内、双方ともどれを使っても良い、という超自由なルールです。

飯山修さん「今月も楽しい作品でした。アイデアは尽きないものですね。」

■人間の創造力の賜物ですね。

原岡望さん「詰パラが〆切日に解けず、気分転換に取り組んだこちらが先に解けました。」

■詰パラ締め切り日に全問正解でした。

べべ&ぺぺさん「今月は1問のみの解答です。」

■解けなかった2問もコメントをいただき、ありがとうございます。

桝彰介さん「前回は解ける初級問題が無く、3問とも締め切り前ヒントが出ても解けませんでした。今月は、初級問題のおかげで解答を送れました。」

■出題中の第166回にも7手問題がありますし、来月も7手作を出題予定です。

テイエムガンバさん「前回の推理将棋で1問しか答えられなかったのは、他の問題が難しかったというのが理由です。」

■問題との相性があるかもしれませんが、前回は初級ながら10手作と上級2題だったので難しかったかも。


推理将棋第165回出題全解答者: 16名

  けいたんさん  るかなんさん  はなさかしろうさん  NAOさん
  RINTAROさん  中村丈志さん  ミニベロさん  ほっとさん
  変寝夢さん  飯山修さん  原岡望さん  べべ&ぺぺさん
  諏訪冬葉さん  桝彰介さん  テイエムガンバさん  占魚亭さん

当選: けいたんさん

おめでとうございます。
賞品をお送りしますので、賞品リストから選んだご希望の賞品と送付先をメールでお知らせください

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推理将棋第165回解答(2)

[2023年9月25日最終更新]
推理将棋第165回出題の165-2の解答です。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。

関連情報: 推理将棋第165回出題  推理将棋第165回解答(1) (2) (3)
  推理将棋おもちゃ箱)  推理将棋(隣の将棋)  どんな将棋だったの? - 推理将棋入門


165-2 中級  るかなん 作  妖精のエチュード      10手

強欲ルールで指す先手の強欲くんと禁欲ルールで指す後手の禁欲くんとの対局です。※
「10手で詰ますとはやるじゃないか、禁欲くん。」
「うーん、強欲くんは先手を取ったのにらしくない将棋だったような…。」
「歩頭への着手があったな。」
「補助記号(成、上、寄など)の付く4手は連続して着手されていないね。」

さて、どんな手順だったのでしょうか。

(条件)

  • 10手で詰み
  • 先手は駒を取る手と取らない手のどちらでも指せる局面では、常に「駒を取る手」を指した(フェアリールールの「強欲」に従った)※
  • 後手は駒を取る手と取らない手のどちらでも指せる局面では、常に「駒を取らない手」を指した(フェアリールールの「禁欲」に従った)※
  • 歩頭への着手があった
  • 補助記号(成、上、寄など)の付く着手は連続しない4手

※「強欲」「禁欲」のフェアリールールは「WFP作品展登場ルール一覧」をご参照ください。


出題のことば(担当 Pontamon)

 過去「ひとつの筋のみ」等の着手制限がありました。今回は「強欲」と「禁欲」の着手指定です。

作者ヒント

 王手は2回、駒取りも2回(るかなん)

締め切り前ヒント

 先手が駒を取れたのは5手目だけで、駒を取る手しか合法手が無かった6手目に後手も駒を取ります。


推理将棋165-2 解答 担当 Pontamon

▲68玉、△52金右、▲76歩、△42玉、▲33角成、△同角
▲78玉、△44角打、▲68銀、△88角成 まで10手

(条件)
・10手で詰み
・先手は駒を取る手と取らない手のどちらでも指せる局面では、常に「駒を取る手」を指した(フェアリールールの「強欲」に従った)(5手目▲33角成以外は取れる駒が無いので駒を取らない手を指した)
・後手は駒を取る手と取らない手のどちらでも指せる局面では、常に「駒を取らない手」を指した(フェアリールールの「禁欲」に従った)(6手目△33同角は駒を取る手だが合法手は33の馬を取る手しかないので駒取りが可能)
・歩頭への着手があった(8手目△44角打)
・補助記号(成、上、寄など)の付く着手は連続しない4手(2手目△52金右、5手目▲33角成、8手目△44角打、10手目△88角成)

Suiri1652

後手は出来るだけ駒を取らずに先手玉を詰めなければいけないのですが、盤上の駒だけの移動で詰めることが出来るのでしょうか?過去作の「38-1 天邪鬼な夫」の手順だと、後手の禁欲ルールと先手の強欲ルールを満たしているのですが、補助記号が付く着手が1手も無いので本問の余詰ではありません。

Suiri1652a単騎詰もありますが、通常は攻め駒は複数枚になり、角を取って打つ際に「打」が付く手が可能ですし、最終手で角成の「成」が付く手も指せそうです。△77角不成、▲79玉、△88角打という詰み順も思い出されます。ただし、ひとつ問題になるのは、禁欲ルールの後手が角を取るには合法手が1手の局面まのように王手が掛かっていれば王手を掛けている駒を取ることはできそうです。となると先手が3手目に33の歩を角で取り、4手目に△同角で角を取る手順が思い浮かびます。しかし、▲76歩、△42玉、▲33角不成だと禁欲ルールの後手玉は△52玉とかわす手が優先されるので33の先手角を取ることができません。そこで、参考図の手順では2手目に△52金右を指して4手目に△42玉と指して玉の逃げ場が塞がれていれば、5手目の▲33角不成を△同角や△同桂、△同玉で取ることができます。参考図の手順だと、棋譜の駒種の後に補助記号が続く手は、2手目の△52金右、5手目の▲33角不成、8手目の△66角打、10手目の△88角成の4手であり連続にはなっていないので条件をクリアしています。

参考図:▲76歩、△52金右、▲68玉、△42玉、▲33角不成、△同角、▲78玉、△66角打、▲68銀、△88角成 まで10手

この参考図は詰み上がり図と同じになっていることにお気付きかと思います。では参考図の手順は余詰手順なのでしょうか?参考手順をじっくり見て行くことにします。

禁欲ルールの後手に33の角を取らせるために序の5手を工夫したのですが、実は初手の▲76歩が条件を満たしていない手でした。先手は強欲ルールで指すことになっているので、初手で角道を開ける▲76歩を指すと3手目は33の歩を取る必要がありました。なので初手は▲68玉として、3手目に▲76歩を突けば、5手目に33の歩を取るという手順にすることが出来ます。その33の歩を取る手ですが参考手順の▲33角不成だと、後手玉は△42玉で駒を取らずにかわすことができるので、△同角で駒を取るには5手目は▲33角成にする必要がありました。後手の2手目と4手目も手順前後が可能に見えますが、4手目に△52金右を指すと5手目の▲33角成の手との2手が補助記号付きの手が連続するので条件を満たせません。そこで、初手から▲68玉、△52金右、▲76歩、△42玉、▲33角成、△同角の手順が正解手順になります。続いて7手目は▲78玉ですが8手目は歩頭の手の条件を満たしつつ補助記号付きの手を指す△66角打となっていますが、この手を指すと強欲ルールの先手は9手目は▲同歩で角を取らなければいけません。打った角を取られてはいけないので後手の角打ちは同じ歩頭でも後手の歩頭の△44角打としなければいけません。9手目の玉の退路を塞ぐ▲68銀に△88角成で詰みとなりました。

それではみなさんの短評をどうぞ。

(短評)

るかなんさん(作者)「会話では省略しましたが、条件は推理将棋用に再定義したので想定外の勘違いは起きにくいはず。
「駒を取る手/取らない手」を「王手/非王手」とか「成る手/成らない手」とかに置き換えた命名されていない条件付けも可能なので、面白い条件を思いついたら教えてください。」

■「先手の王手は駒を取る手」「後手の王手は駒を取らない手」とか「王手は駒を成る手」ですかね?「強欲」「禁欲」の代わりになる条件を探すのは難しそう...。

はなさかしろうさん「「同」は補助記号でないと解釈するのが妥当と思いますが、明記した方が分かりやすい気がしました。」

■「同」の扱いで悩まれた方が居たら申し訳ありません。「補助記号」が「駒打ち」同様に市民権を得るにはもう少し時間が必要ですね。

NAOさん「52金右~42玉が禁欲でも取る一手のための準備。」

■その準備を成立させるための▲33角"成"でした。

RINTAROさん「物理的に後手が駒を取らずに先手玉を詰ますことは不可能。強制的に取れる形を探すと33角成に辿り着く。」

■普通は駒を取って、角などの攻め駒と取った駒の連携で詰めることが多いですが、駒取りをしないで初期配置の香を支えにして端玉を突き歩で詰める手順もあります。

ミニベロさん「77に成る順ばかり読んでいて、88を見落としていました。後手に駒を持たせるパターンは、これくらいしかないか。」

■連続しない補助記号の手ということで、担当は△77角不成、▲79玉、△88角打の詰み上がりを最初に想像しましたが、△77角不成は▲同玉とか▲同桂や▲同銀と指さないといけないので却下。

ほっとさん「禁欲くんが駒を取れるようにする。」

■そこが一番のポイントでした

飯山修さん「強欲と禁欲を先手後手で使い分けるとはすごいアイデアですね。禁欲側が駒を取らざるを得ないという最終ヒントがなければ到底解けませんでした。」

■大甘ヒントだったかも。

原岡望さん「33角 成 と68銀を誘発した禁欲くんの作戦勝ち」

■強欲くんは33の歩しか取ることができませんでした。

べべ&ぺぺさん「ルールがよく、わかりません。」

■着手を制限するルール(条件)には、「不成なし」「ひとつの筋のみ」「直前と同じ筋の着手」などいろいろありますが、見慣れない着手制限のルールが同時に2つ出てきたので分かりにくかったのかもしれませんね。

諏訪冬葉さん「最後の条件がなければ金が単騎で出撃して終わりなのに・・・」

「9-2 無謀な突撃」の手順ですね。

桝彰介さん「補助記号のつく手順が思いつかず解けませんでした」

■一番簡単なのは「成」か「不成」が付く手ですね。

テイエムガンバさん「先手が自陣の歩を動かした後馬で歩を取ることで後手の大駒を活躍させるという方針を考えたものの、明らかに手数不足。
それなら後手の馬の単騎詰か、と思ったが10手では先手の7筋の歩を取らざるを得ない。
どうしたものかと思いましたが、後手が駒を取る手しか指せない局面を作るという考え方を忘れていました。」

■▲33角成の後、▲23馬や▲43馬を指すと後手の角が動けるようになりますが、先手は馬で駒取りを続けなければいけなくなりますね。

占魚亭さん「どうしたら後手に駒を渡せるかが考え所。」

■締め切り前ヒントは出し過ぎだったかな。一番の考え所をバラした感じ。


正解:11名

  るかなんさん  はなさかしろうさん  NAOさん  RINTAROさん
  ミニベロさん  ほっとさん  飯山修さん  原岡望さん
  諏訪冬葉さん  テイエムガンバさん  占魚亭さん

(当選者は全題の解答発表後に発表)

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推理将棋第165回解答(1)

[2023年9月23日最終更新]
推理将棋第165回出題の165-1の解答です。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。

関連情報: 推理将棋第165回出題  推理将棋第165回解答(1) (2) (3)
  推理将棋おもちゃ箱)  推理将棋(隣の将棋)  どんな将棋だったの? - 推理将棋入門


推理将棋第165回解説  担当 Pontamon


165-1 初級  Pontamon 作  大駒の手は1回        7手

「7手で詰んだ将棋だけど、大駒の手は1回だったよ」

さて、どんな手順だったのでしょうか。

(条件)

  • 7手で詰み
  • 大駒の手は1回

出題のことば(担当 Pontamon)

 駒自体は大きいですが、玉は大駒ではありません。

作者ヒント

 大駒は先手の角ではありません。

締め切り前ヒント

 唯一の大駒着手は6手目の後手の飛です。


推理将棋165-1 解答

▲26歩、△42玉、▲25歩、△32玉、▲24歩、△42飛
▲23歩成 まで7手

(条件)
・7手で詰み
・大駒の手は1回(6手目△42飛)

Suiri1651

Suiri1651a7手詰の詰み上がりでは最終手▲53銀の銀打ちで詰ませる手順が多いですが、▲33角不成から▲42角不成で銀を取る手順や、▲22角成から▲31馬で銀を取る手順、あるいは敵陣直前の44地点で90度方向を変えて▲62角不成で銀を取る手順などがあり、これらは敵陣やその近くで角の進行方向を変える手が入るので大駒着手は複数回になってしまいます。

それならということで先手陣から42の銀を直接角で取ってしまう手順にしたのが参考図の手順になります。気分的には一回の角移動で42の銀を直接取ったつもりになるのですが、実際には▲97角の手が入るので大駒着手は2回になってしまい失敗でした。

参考図:▲96歩、△54歩、▲97角、△42銀、▲同角不成、△52玉、▲53銀 まで7手

角の手が1回だけの7手詰手順は無さそうです。となると大駒着手が1回という条件に合う大駒は飛車になるはずですが、攻め方である先手の着手に飛の手が入る手順を思い出そうとしても思い出せません。先手の飛を横に振ることは簡単ですが、後手を詰めに行くには飛を縦に動かす必要があり、それには2筋の歩が邪魔なので歩を突いて行くことになり、飛で後手陣を攻める手を指すには手数が足りません。しかし、2筋の歩を突いて行って7手目に▲23歩成で後手玉を詰ます手順があったのを思い出しました。後手玉は32地点まで移動して、玉の退路になる42地点を後手の駒で埋める手が△42飛でした。初手から▲26歩、△42玉、▲25歩、△32玉、▲24歩、△42飛と進めば次の7手目の▲23歩成で詰みとなり、大駒着手は△42飛の1回だけになりました。

それではみなさんの短評をどうぞ。

(短評)

けいたんさん「これは小駒の手しかないと思いこんでました。」

■大駒を指した気分にならない手順に感じますね。

るかなんさん「つい最近「はじめての人はまずここから」を読んでいたのでサービス問題でした。」

■タイミングが良かったようですね。忘れた頃に出題される7手の代表手順でした。

はなさかしろうさん「この手順に付く条件はバリエーション豊かですね。」

■この手順の7手の場合、棋譜のひとつを取り上げて「〇〇の手があった」の1条件で成立しますね。駒種を隠して地点情報だけで成立する1条件もありますし、先手の着手筋の数とか、先手が着手する駒の数でも限定されます。今回は大駒の着手回数でした。

NAOさん「基本手順のお復習い。角1回の順はなかった。」

■解はすぐ分かっても、念のため確認が必要です。

RINTAROさん「大駒1回はこの手順だけでしたか。」

■大駒の着手がない手順は無いのです。

中村丈志さん「そういえばと、5分後くらい思い出しました。」

■7手だと「そろそろ出題される例の手順か?」も推理のひとつ。

ミニベロさん「推理将棋作家は、おそらく皆「全7手1条件」を持っていると思う。」

■斬新な切り口の1条件作品がありそうですね。

ほっとさん「7手ならまずこれを疑え、という手順。」

■7手に限らず、どこかの筋の歩を突き進める手順は余詰検証で欠かせない手順なんです。

変寝夢さん「この使い古された手順、今までな~ん回出てきたと思ってんの!。
マジ、いい加減にしてくんない!。
・・・・で・も・、次は誰がどんな条件で、挑んでくるのかなぁぁ・・・。
き、期待してるわけじゃないんだからね、プイッ(ツンデレしてみました)」

■1~2年に1回くらいのペースかと思ったのですが、おもちゃ箱の過去作では「107-1 7322」「158-2 年賀状没問題2」の2回だけ?(検索漏れがあったらすみません)これをベースにした8手以上の作品が多いようです。

飯山修さん「多分登場回数最多の詰上がり」

■7手作は2回だけだったようですが、詰上がりの主要部の駒配置は最多かもしれませんね。

原岡望さん「サービス問題」

■今回の7手は簡単に解けるサービス問題でした。一筋縄ではいかない7手があるのか乞うご期待。

べべ&ぺぺさん「すぐに解けました。いい条件ですね。」

■「飛車の手があった」の1条件でも限定されます。

諏訪冬葉さん「逆に大駒を動かす回数が多い7手は22角を取るパターンでしょうか」

■大駒の角と飛の手がある7手はありませんが、角と馬の2種の大駒着手で計3回は▲22角成で角を取るパターンですね。

桝彰介さん「私が初めて知った推理将棋7手の手順。盤上この一手の6手目を初めて知った時の衝撃は忘れることはありません。」

■担当も、推理将棋に出会って過去作を見たり、投稿作の余詰指摘での手順に驚かされ続けました。

テイエムガンバさん「もはや定番の7手詰み手順ですが、言われてみれば確かに、と思ってしまう1条件。」

■解説の参考図の手順はちょっと厳しかったか...。

占魚亭さん「「基本のキ」の手順ですね。」

■歩で始まって、歩成で終わる基本形。


正解:16名

  けいたんさん  るかなんさん  はなさかしろうさん  NAOさん
  RINTAROさん  中村丈志さん  ミニベロさん  ほっとさん
  変寝夢さん  飯山修さん  原岡望さん  べべ&ぺぺさん
  諏訪冬葉さん  桝彰介さん  テイエムガンバさん  占魚亭さん

(当選者は全題の解答発表後に発表)

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推理将棋第166回出題(10月10日まで)

[2023年10月3日最終更新] 締め切り前ヒント

将棋についての話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル、推理将棋の第166回出題です。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。

解答、感想はメールで2023年10月10日までにTETSUまで (omochabako@nifty.com) メールの題名は「推理将棋第166回解答」でお願いします。 解答者全員の中から抽選で1名に賞品リストからどれでも一つご希望のものをプレゼント! 1題でも解けたらぜひご解答ください。

推理将棋第166回出題  担当 Pontamon

青木裕一さんが推理将棋に新登場です。けいたんさんの在庫作と担当作を追加して「〇〇だと詰まなかった」特集にしました。
初級は担当からの7手詰です。
中級はけいたんさんからの9手詰です。
上級は青木裕一さんからの11手詰、と言っても飛車落ちの手合割なので初手は上手ですので棋譜に注意してください。


■本出題


■中間ヒント (9月26日 作者)

166-1初級:実際に着手された左の手は後手の着手(Pontamon)
166-2中級:不成2回(けいたん)
166-3上級:詰ます側の手番の飛が単純に増えるだけで詰まなくなるようにするにはどうすればいいか?私はそれを成立させるための理由付けを2つ見つけました。本作の理由付けはその片方です。(青木裕一)

■締め切り前ヒント (10月3日 Pontamon)

166-1初級:最終手は棋譜に右が付く手です。途中で右が付く3通りの詰手順は後手の手ですが最終手での右の手は駒種が異なります。
166-2中級:1段目の角は打った角です。その角が最終手で同の手で動くと同角引成になるので最終手は3段目以上の段にある角です。
166-3上級:7種類の駒では駒の表裏は別の駒と考え、棋譜に現れる駒種を数えてください。先手の駒が82地点へ移動する手があります。平手だと先手の持ち駒に飛があったはず。


166-1 初級  Pontamon 作  左の手2回だと詰まなかった  7手

「7手で詰んだ将棋で左の手があったよ」※
「どんな将棋だったの?」
「最終手で左の手の王手をすると詰まないから別の手を指したよ」

さて、どんな手順だったのでしょうか。

(条件)

  • 7手で詰み
  • 左の手があった ※
  • 最終手を左の手で王手すると詰まないので別の手で詰めた

※左の手:棋譜に左の文字が付く着手


166-2 中級  けいたん 作  引成では詰まない       9手

「9手で詰みか」
「最終手は同角上成だったね」
「最終手で同角引成では詰まないからな」
「4手目は銀の着手だったね」

さて、どんな手順だったのでしょうか。

(条件)

  • 9手で詰み
  • 最終手は同角上成
  • 最終手で同角引成では詰まない
  • 4手目は銀の着手

166-3 上級  青木裕一 作  平手なら詰まなかった?   11手

「これが11手で詰まされて負けたときの棋譜だよ」
「11手目に詰んでないし後手から指してる…って上手?ああ、平手じゃなくて飛車落ちか。将棋は…不成あり、7種類の駒の着手ありのバラエティーに富んだ将棋だね」※

さて、どんな手順だったのでしょうか。

(条件)

  • 飛車落ちで11手で詰み。
  • 平手の配置で本譜と同じ手順で進んだ場合、11手目に詰まない。※
  • 7種類の駒の着手あり。
  • 不成あり。

※平手のときの手順は駒落ちに合わせて後手(上手側)から指していることを除き、反則はない。


このコーナーで出題する問題を募集します。入門用の易しい問題を歓迎。作者名、問題、解答、狙いなどを記入して「推理将棋投稿」の題名でTETSUにメール(omochabako@nifty.com)してください。

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推理将棋第164回解答(3)

[2023年8月29日最終更新]
推理将棋第164回出題の164-3の解答、第164回出題の当選者(RINTAROさん)を発表します。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。

関連情報: 推理将棋第164回出題  推理将棋第164回解答(1) (2) (3)
  推理将棋おもちゃ箱)  推理将棋(隣の将棋)  どんな将棋だったの? - 推理将棋入門


164-3 上級  Pontamon 作  動けない歩の隣の駒     13手

「13手目の初王手で詰んだってね」
「うん、駒を成る手は、1筋の駒が強制成りする手の2回だけだったよ」※
「他にはどんな手があったの?」
「1段目への駒打ちに駒打ちで応じる手があったのと、歩の隣にある駒は歩以外は動かさなかったよ」

さて、どんな手順だったのでしょうか。

(条件)

  • 13手目の初王手で詰み
  • 駒を成る手は、1筋の駒が強制成りする手の2回 ※
  • 1段目へ駒を打つ手に駒打ちで応じる手があった
  • 歩の隣にある駒は歩以外は動かさなかった

※強制成り:ルール上、成らないと反則になる場合の駒成とします


出題のことば(担当 Pontamon)

 早合点注意、1筋での強制成りではありません。

作者ヒント

 1段目への駒打ちは後手(Pontamon)

締め切り前ヒント

 強制成り回数が余詰修正で明らかに。香と桂です。4手目に取った歩を1段目へ打ちます。

余詰修正等

 会話中と条件の「1筋の駒が強制成りする手」の後に「の2回」を追加した「1筋の駒が強制成りする手の2回」に修正
 会話中と条件の「歩の隣の歩以外の駒を動かす手は無かった」を「歩の隣にある駒は歩以外は動かさなかった」に修正
 会話の「駒打ち」の後と条件文の「駒を打つ手」の後に「に駒打ちで応じる手」を追加


推理将棋164-3 解答 担当 Pontamon

▲16歩、△14歩、▲15歩、△同歩、▲同香、△42玉、
11香成、△32玉、▲21成香、△11歩、▲14桂、△42銀、
22桂成 まで13手

(条件)
・13手目の初王手で詰み(13手目▲22桂成)
・駒を成る手は、1筋の駒が強制成りする手の2回(7手目▲11香成、13手目▲22桂成)
・1段目へ駒を打つ手に駒打ちで応じる手があった(10手目△11歩、11手目▲14桂)
・歩の隣にある駒は歩以外は動かさなかった(初手▲16歩と2手目△14歩はOK)

Suiri1643

Suiri1643a先手の1筋の駒の強制成り(駒を成らないと反則になる)は、▲11歩成、▲11香成、▲21桂成、▲22桂成の4つ。強制成り以外でも駒成ができるのなら11手で簡単。本作では、駒成条件の他に1段目への駒打ちの条件も悩みの種。もし1段目の駒打ちが先手の手なら、打つための駒を取る必要がある。1段目へ打った駒を支えにしての詰み形がありそうだが、歩以外の歩の隣の駒を動かせないので1段目への駒打ちがある、▲76歩、△94歩、▲66角、△93桂、▲同角不成、△42玉、▲14桂、△51金左、▲22桂成、△32銀、▲41角、△12香、▲32成桂の手順は歩の隣の66の角が動いているので失敗になる。

歩の隣の駒は歩しか動かせないのなら、先手の1筋の歩を突き進めて行き、▲11歩成を目指してみたのが参考図(余詰修正前の条件)の手順です。後手が1段目へ駒打ちできるように先手は途中で角を差し出したので、△51角の1段目への駒打ちに△12飛の駒を打つ手で応ずること(余詰修正後の条件)も実現でき、後手玉を詰ましているのですが手数オーバーの15手なので失敗です。▲22角で角を差し出す手を省けば、後手の△51角が無くなり、13手での詰みとなりますが、1段目への駒打ち条件をクリアできません。

参考図:▲16歩、△14歩、▲15歩、△13角、▲14歩、△12飛、▲13歩不成、△42玉、▲12歩不成、△32玉、▲22角、△同玉、▲11歩成、△51角、▲12飛 まで15手

余詰修正によって強制成りの回数は2回と判明しているので、▲11歩成、▲11香成、▲21桂成、▲22桂成の4つのうちのどれかひとつの手だけを含む手順は考えなくてもよくなりました。2回の強制成りと言っても、▲11歩成を2回とか▲11香成を2回、▲11歩成と▲11香成を1回ずつというのも手数的に間に合いません。可能性があるのは、11地点での強制成りと2筋での強制成り(桂が成る手)の組み合わせになります。

参考図の手順で▲22角を先手が指さないとしても▲11歩成は11手目になるので、残り1手しか指せない先手は2回目の強制成りの手を指すことはできません。となると、1筋の強制成りは▲11香成で2筋の桂の強制成りの手との組み合わせになるはずです。初手から▲16歩、△14歩、▲15歩、△同歩、▲同香と進み、先手は次の手番の7手目に▲11香成が可能になります。2筋での桂成を目指して29の自陣の桂を跳ねて行くと13手目にようやく▲13桂不成ができ、2筋での桂の強制成りの▲21桂成は15手目になるので手数が足りません。となると先手は後手の桂を入手して1筋へ打ち、その後2筋での桂の強制成りを目指すことになります。7手目に▲11香成をするので9手目に▲21成香で桂を取り、11手目に1筋へ桂を打ち、13手目に桂の強制成りをするという手順になりますが、21地点は先手の成香が居る状態なので、1筋への桂打ちは▲14桂になり13手目は▲22桂成になるので、21の成香と22の桂成の形で後手玉を詰ますことになります。つまり、後手玉は32地点に居なければいけません。6手目から△42玉、▲11香成、△32玉、▲21成香と進むと次の11手目の先手は▲14桂の桂打ちの手になるので、後手は10手目に1段目への駒打ちをする必要があります。持ち駒は歩しか無く、歩が切れている筋は1筋なので10手目は△11歩が確定します。続けて▲14桂、△42銀、▲22桂成で詰みとなりました。

余詰修正により、強制成りは2回の条件になったので、歩以外の歩の隣の駒を動かせないという条件は不要になっていますが、この条件が元々あったのは13手目の▲22成香を除外するためでした。(▲66角からの▲97角不成の順も除外する必要があった)

余詰例
▲96歩、△42玉、▲76歩、△34歩、▲22角不成、△32玉、▲51角、△33桂、▲同角右不成、△94歩、▲14桂、△22銀、▲同桂成(NAOさん指摘)
▲76歩、△34歩、▲22角不成、△33桂、▲21角、△42銀、▲33角不成、△52金左、▲14桂、△41玉、▲22桂成、△51金寄、▲32成桂(担当)

それではみなさんの短評をどうぞ。

(短評)

NAOさん(双方解)「動けない歩の隣の駒は21の成香だった。」

■この条件のため、▲76歩、△94歩、▲66角、△97香/桂、▲同角不成などの紛れ筋も同時に無くなりました。

飯山修さん「4手目迄の手順をバラした直前ヒントのおかげで何とか解けました」

■一番速い強制成りを考えると端筋の歩の突き合いから香を走る手順が出てくるはずなのですが...。角打ちがある倍にどうやって角を取るのかを考えるのと同じ要領ですね。

るかなんさん「直前ヒントの「4手目に取る」を見てようやく頭が回り始めました。」

■皆さんの短評によると、序の4手が中々見えなかったようです。

ミニベロさん「11と12に成駒を並べる順はだめでした。一路ずらしたら旨くいきました。これも珍しい順ですね。」

■作図の切っ掛けはけいたんさん作の投稿で、2回の強制成りを狙いにしました。2回の強制成りは12手で可能ですが、先手と後手で1回ずつ。攻め方が2回の強制成りを指すには最短で何手必要なのかというところからの作図でした。

ほっとさん「「1筋の駒が強制成り」は「成る前に1筋にいた」と解釈。ヒント無しでは到底解けない。」

■余詰修正で強制成りが2回という作図の狙いが明かされたので解き易くなったはずなのに解答が集まらなかったのは164-2の難問のせいだと思いました。

RINTAROさん「何故か序の4手が見えず苦戦。ヒントに惑わされたようです。」

■後手が1段目に打った歩を強制成りの手で取りに行くと勘違いされたのかな。

はなさかしろうさん「シンプルですっきりした手順。タイトルの条件が面白そうで、解説を楽しみにしています。」

■強制成りがテーマなので最初は「次の手番で強制成りができるような着手をした」という条件で△18歩が予定でした。強制成り2回が狙いだったので最終手での▲22成香は考えいなくて余詰に気付きませんでした。この余詰修正を兼ねての条件変更でした。同時に紛れ筋も減りましたが...。

原岡望さん「なぜか最初の4手が見えず大苦戦。あきらめかけたとたんに閃きました。やれやれ」

■1段目での歩成、香成、桂成が頭から離れなくて、強制成りのための準備手順に気が回らなかったようですね。

諏訪冬葉さん「3は時間切れです。」

■解答の前に「不成だと反則」かつ「成ると合法手」の最小手数は香7手・桂歩8手との記載がありました。一番早い7手目の11香成から入れば残り6手(先手の残りは3手)だったのですが...。


正解:8名

  NAOさん  飯山修さん  るかなんさん  ミニベロさん
  ほっとさん  RINTAROさん  はなさかしろうさん  原岡望さん


(総評)

NAOさん「「行き所のない不成」を絡めた特集を楽しみました。
私見です。たまには反則手を手順に含める特例(164-1)も構いませんが、3年に1作ぐらいが許容範囲。また、会話や条件に合法、非合法、強制成り・・・とわざわざ難しい言葉を入れなくとも、164-2「成らないと反則のときだけ成った」の表現が簡明ですっきりしています。」

■「強制成り」は「駒成」と同様に将棋用語ではありません(将棋用語のネット検索でヒットしない)が、見ても聞いても意味のわかる言葉なので、まあ大丈夫でしょう。ミニベロ作の「148-3 強制成り」で最初に出て来た言葉だったと思います。
作図済みの作品で使っている「強制成り」は書き直したほうがいいかな....。市民権を得ている「駒成」を「駒を成る手」に修正することはありませんが。

飯山修さん「今年のパラ全国大会に行ってきました。座った席の隣がNAOさん。会場には加藤徹さん、魚熊さん、中村雅哉さん、スタッフにほっとさんがおられました。駅近くの二次会では隣の席に中村雅哉さんがこられたので数年前に作った詰上り図面DB集を見てもらったところ『こういうものがあるなら作品はすぐ作れるので作って投稿してください』といわれてしまいました」

■担当は全国大会の2日前の土曜日にギックリ腰になって整形外科へ。ネット中継を見ていましたが、休憩時間や記念撮影の時は映像がオフになったので皆さんの様子を見れなくて残念でした。
飯山さんからの作品投稿をお待ちしております。

るかなんさん「「強制成のみ」の条件で、歩の強制成だけがある手順を作意にするのは難しそうですかね。」

■過去作だと○術師さんの10手「42-2 一番奥への歩成」「45-2 一番奥への歩成2」があります。緑衾さんの10手「139-2 1つの筋に5回」の条件では強制成りを隠しています。タラパパさんの11手「42-3 一段目に歩の手が2回」なども。

ミニベロさん「上級2作には手こずりました。夏バテか解図力の低下か。」

■見覚えのある詰み上がり図だとあっさり解いてしまう解図強豪者の中のお一人なので解図力の低下ではないと思います。

ほっとさん「2と3が難しく、締切直前に何とか作意らしき手順に到達。」

■2と3は手数にしても難度にしてもどちらも上級。年賀推理以外で上級2題は珍しいのですが「強制成り」特集でしたので同時出題になりました。

RINTAROさん「1だけ解いて、あとは放置。締め切り日に慌てて解きました。」

■解答の集まりが悪く、担当はヒヤヒヤしました。

原岡望さん「今回は全部手がかりがつかめず往生しました。心臓に悪いです。8/10 22:31」

■刻々迫る締め切り時間は心臓に悪いですね。


推理将棋第164回出題全解答者: 10名

  テイエムガンバさん  NAOさん  飯山修さん  るかなんさん
  ミニベロさん  ほっとさん  RINTAROさん  はなさかしろうさん
  原岡望さん  諏訪冬葉さん

当選: RINTAROさん

おめでとうございます。
賞品をお送りしますので、賞品リストから選んだご希望の賞品と送付先をメールでお知らせください

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推理将棋第164回解答(2)

[2023年8月25日最終更新]
推理将棋第164回出題の164-2の解答です。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。

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164-2 上級  けいたん 作  桂着手5回         12手

「12手で詰みか」
「成らないと反則のときだけ成ったね」
「5手目は7段目の着手だったな」
「相手の玉頭に角を打つ手があったね」
「8手目と9手目は同じ筋の着手だったな」
「桂着手は5回だったね」

さて、どんな手順だったのでしょうか。

(条件)

  • 12手で詰み
  • 成らないと反則のときだけ成る
  • 5手目は7段目の着手
  • 相手の玉頭に角を打つ手あり
  • 8手目と9手目は同じ筋の着手
  • 桂着手5回

出題のことば(担当 Pontamon)

 成らないと反則になる手の駒種は歩、香、桂の3種。どちらがどの駒種で成ることができるか整理しましょう。

作者ヒント

 ピンメイト(けいたん)

締め切り前ヒント

 ピンされているのは38の銀なので13手目に同銀とは指せません。

余詰修正

 会話と条件で「玉頭に」の前に「相手の」を挿入して「相手の玉頭に」に修正


推理将棋164-2 解答 担当 Pontamon

▲76歩、△32飛、▲33角不成、△同、▲77桂、△58角
▲38銀、△45桂、▲48玉、△37桂不成、▲39玉、△49まで12手

(条件)
・12手で詰み
・成らないと反則のときだけ成る(3手目▲33角不成、10手目△37桂不成、12手目△49桂成)
・5手目は7段目の着手(5手目▲77桂)
・相手の玉頭に角を打つ手あり(6手目△58角)
・8手目と9手目は同じ筋の着手(8手目△45桂、9手目▲48玉)
・桂着手5回(4手目△33同桂、5手目▲77桂、8手目△45桂、10手目△37桂不成、12手目△49桂成)

Suiri1642

Suiri1642a桂の手が5回あって、桂の強制成りがあるとすると後手の桂が4段跳ねして9段目で成るのには4手で行けるので桂の手のもう1回は先手に指してもらう必要がありそうです。都合が良さそうなのは▲77桂です。初手▲76歩、3手目に角を動かせば5手目の7段目着手として▲77桂がぴったりです。

後手は桂の4段跳ねで9段目に成桂を作りますが、攻め駒が必要になるでしょう。後手の6手のうちの4手が桂跳ねの手になるので残りは2手しかないので思い浮かぶ駒は飛になります。この方針で先手玉を詰めたのが参考図の手順になります。桂の強制成りで29地点で成桂を作り、それを支えにして玉腹への△39飛不成での詰みです。

参考図:▲76歩、△32飛、▲33角不成、△同桂、▲77桂、△25桂、▲58飛、△37桂不成、▲48金、△29桂成、▲49玉、△39飛不成 まで12手

しかし、参考図の手順は玉頭への角の手が無いので失敗手順でした。▲76歩、△34歩、▲66角、△33桂、▲77桂、△45桂、▲48金、△57桂不成、▲58玉、△69桂成、▲57角、△59金 の手順だと玉頭への角の手はありますが、角を打つ手ではないですし、自玉なのでこの手順も失敗になります。

相手玉の玉頭へ角を打つ手が必要となると、59の先手玉に対しての△58角が有力です。桂の強制成りは参考図では29地点でしたが、58の角の利きがある49地点での桂成の形になりそうです。さて、問題なのは先手玉の位置です。玉が59や48の場合、△49桂成での王手のときに▲58玉と角を取って逃げることが可能です。桂の手4回と角打ちの手を指すので残り1手があるはずなので△58角と打ったあとに△67角不成と事前に逃げておけば良さそうなのですが、58へ打つための角を取る手があったはずです。3手目の▲44角に△同歩で角を取らなくても、参考図の手順のように桂跳ねの手で角を入手すれば効率が良いのですが、その角を取る手は4手目なので2手目に桂跳ね以外の手を指しているので58の角を事前に逃げておく手を指すことはできません。

となると玉は39地点に居ることになります。39の玉が△49桂成で詰むのであれば、玉の退路になり得る38地点は金か飛で埋まっていて、もし38地点が飛の場合は飛が居た28地点は銀で埋まっているはずです。38地点が金の場合は玉の居場所を空ける銀の手は48になることになりますが、48に銀が居ると玉移動ができません。▲38金を先にすれば▲49玉、▲48銀、▲39玉の手順がありそうですが、△58角が利いているので49地点経由での玉移動はできないので、▲38飛、▲28銀で決まるはず。ここで先手着手を列挙してみると、▲76歩、▲33角不成、▲77桂、▲38飛、▲28銀で5手必要なので、▲48玉、▲39玉の2手の玉移動ができません。困った時に考える両王手はあるでしょうか?参考図と同様に2手目が△32飛なら39の玉に両王手を掛けることができるかもしれません。それには37の歩が邪魔なので、△49桂成の前の桂跳ねを△37桂不成とすれば良さそうです。先手は、▲18飛、▲28銀を指しておけば、△49桂成での王手と37の桂が動いたことによる32の飛での王手の両王手になるのですが、先ほどの飛と銀の2手を指すと▲39玉が間に合わないことの解消にはなっていません。

この両王手の配置を見ていると、飛と銀の2枚が1路ずつ左へ寄っていれば、32の飛で38の銀がピンされるので、△49桂成を▲同銀と取ることができない形が見えてきます。これなら飛は動かさずに▲38銀の1手で済むので玉は39地点まで移動することが可能になります。初手から、▲76歩、△32飛、▲33角不成、△同桂、▲77桂の出だしは参考図と同じで、続けて△58角、▲38銀と指します。8手目と9手目が同じ筋という条件があるので7手目は▲38銀を指します。8手目から△45桂、▲48玉、△37桂不成で37の歩を払い、▲39玉、△49桂成で詰みとなりました。

テイエムガンバさん指摘の余詰手順
▲76歩、△34歩、▲22角不成、△33桂、▲77桂、△45桂、▲68金、△57桂不成、▲58玉、△49桂成、▲57角、△59金(7手目▲48金なら10手目△69桂成)
解説では▲66角からの▲57角の角移動なので角打ちではなくてセーフでしたが、後手の角を取って▲57角と打つ手順がありました。

それではみなさんの短評をどうぞ。

(短評)

テイエムガンバさん(双方解)「今回はこの1問のみの参戦です。余詰はすぐ気づいたのですが、角と桂と飛の連係のさせ方にはなかなか気づかず。」

■余詰の指摘ありがとうございました。余詰があると他の問題を解く気が無くなったというのでなければよいのですが...。

NAOさん(双方解)「最終ヒント待ちの難問。飛を32に置いたまま詰む形が見えなかった。桂5回着手が少なすぎず多すぎず絶妙。
・条件2番目の「成らないと反則のときだけ成る」は「成った」とする方が紛れがないと思います。条件文だけだと成る手がなくとも成立(会話文と不一致)」

■8手目と9手目が別の筋なので余詰ではないですが、桂着手5回で強制成りのない手順としては、▲76歩、△92香、▲33角不成、△同桂、▲77桂、△58角、▲48玉、△45桂、▲38玉、△57桂成、▲65桂、△47成桂 がありますね。強制成りがあってもなくても良いと解釈すると余分な手順も読む必要がありました。会話と条件文の不一致、申し訳ありませんでした。

飯山修さん「38銀でピンメイトというヒントで急に視界が開けた。これは難問。8,9手が同じ筋というのが桂のルート限定を匂わせてはいるが。」

■作者ヒントがピンメイトだったので、締め切り前ヒントでは何処のどの駒なのかを明かしました。▲38銀と▲48玉の手順前後や△25桂と△45桂の非限定を1条件で解決する「8手目と9手目が同筋」の条件でした。

るかなんさん「57桂58角59玉の形を軸に考えて69桂成は角に紐が付かないなと頭を捻り、ヒントが出ても角でピンして吊るし桂と思い込み。」

■△15角や△37角で▲48銀をピンする形はよく出て来ますね。逆側からだと、▲76歩、△34歩、▲66歩、△33桂、▲77桂、△45桂、▲65歩、△57桂成、▲58飛、△77角不成、▲68銀、△67桂 で68の銀は7段目の後手の3枚の駒に利いているのに身動きがとれません。締め切り前ヒントでピンされているのは38の銀だと分かり、余計に混乱したかも。

ミニベロさん「ヒントの38銀をピンで、すべての推理が崩壊。これは見たこともない詰め上がりです。」

■9手でさえまだ見たことが無い詰み上がりが出て来ることがあるので、12手ともなるといろんな形が出て来そうです。

ほっとさん「桂の4段跳ねが鮮やか。」

■5回目の桂の手をどうしようか悩むところ。△34歩、△33桂で始めると後手に残されるのは1手だけなので、桂跳ねの途中で先手の桂を拾って最終手で打つか、最終手の桂成の支えとして10手目に打つかを考えると桂着手が6回以上になってしまう。すると、玉頭への角打ちは先手?

RINTAROさん「38銀が大ヒントで詰上りが見えました。」

■締め切り前ヒントではこのくらい明かさないと解けない難問だと思いました。ピンされる駒と位置が分かっても別の配置を考えられた方も居るかと思います。

はなさかしろうさん「面白いピンの構図でした。」

■ピンメイトという作者ヒントがあっても思い浮かび難い構図になっていました。

原岡望さん「縦から攻めるとは」

■△34歩を突かずに▲33角不成を△同桂で取ることによって2手目の余裕を作り出す。それで2手目の△32飛が指せて、飛の利きを生かす△37桂不成からの△49桂成でした。

諏訪冬葉さん「桂馬の5手は4段跳ね+吊るし桂かと思ったら無駄手が入るとは
それ以前に「38銀をピン」のヒントがなければ絶対正解にたどり着けなかったと思います」

■桂の着手が条件にあるとまずは考えるのは吊るし桂の形。桂の着手5回が桂の4段跳ね+吊るし桂なら初期配置の先手の桂を駒成なしで取りに行くことになるので後手は困ってしまう。


正解:10名

  テイエムガンバさん  NAOさん  飯山修さん  るかなんさん
  ミニベロさん  ほっとさん  RINTAROさん  はなさかしろうさん
  原岡望さん  諏訪冬葉さん

(当選者は全題の解答発表後に発表)

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推理将棋第164回解答(1)

[2023年8月23日最終更新]
推理将棋第164回出題の164-1の解答です。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。

関連情報: 推理将棋第164回出題  推理将棋第164回解答(1) (2) (3)
  推理将棋おもちゃ箱)  推理将棋(隣の将棋)  どんな将棋だったの? - 推理将棋入門


推理将棋第164回解説  担当 Pontamon

第163回は今年初の余詰や出題文の修正が無い月だったのに今月は2題の余詰を出して、平均すれば毎月ペースに戻ってしまいました。粗検、申し訳ありませんでした。
今回は10名の方々から解答をいただきました。いつも解答、ありがとうございます。


164-1 初級  るかなん 作  阿弥陀様の思召       10手

「随分感想戦が長かったようだけど、どうしたの?」
「10手目の不成が反則で負けになっちゃったけど、成なら合法手だったからその先を並べてたんだ。」
「感想戦でなく指し継いでいたのか。そっちは後で聞くとして、他には何かあった?」
「全ての筋に着手があって、駒台に5種類の駒を乗せたよ。先手は連続で指した駒も、不成も無かった。」
「先手の連続着手無しは53歩成の次の手で52と、みたいな手順も無いってことだね。」

さて、どんな手順だったのでしょうか。

(条件)

  • 10手目に成が合法手の着手を不成として反則
  • 全ての筋に着手があった
  • 駒台に5種類の駒を乗せた
  • 先手に同じ駒の連続着手なし
  • 先手に不成なし

出題のことば(担当 Pontamon)

 反則はいつでも何でもできるので限定が大変ですが、他の条件と相まってうまくまとめられています。

作者ヒント

 歩は3番目(るかなん)

締め切り前ヒント

 角、香、歩、桂、金の順で駒取りをします。最後の金を不成で取ったのが反則。


推理将棋164-1 解答

76歩、△34歩、▲22角、△33桂、▲92角、△45桂、
11馬、△57桂不成、▲81角、△69桂不成 まで10手(反則負け)

(条件)
・10手目に成が合法手の着手を不成として反則(10手目△69桂不成)
・全ての筋に着手があった(1筋:7手目、2筋:3手目、3筋:2手目/4手目、4筋:6手目、5筋:8手目、6筋:10手目、7筋:初手、8筋:9手目、9筋:5手目)
・駒台に5種類の駒を乗せた(3手目:角、7手目香、8手目:歩、9手目:桂、10手目:金)
・先手に同じ駒の連続着手なし
・先手に不成なし(3手目▲22角成、9手目▲81角成)

Suiri1641_20230823201301

Suiri1641a成れば合法手なのに不成だったので反則になったということは、12手での後手着手だと9段目への歩不成、香不成、桂不成か8段目への桂不成の4通りしかありません。9段目への歩不成の場合、その筋の後手の歩を取る手と後手がその筋の8段目へ歩を打つ手とその後に9段目で歩不成を指す手の合計3手が必要になるので、10手では手数が足りません。10手で全筋着手ということは2回着手ができる筋はひとつだけになるからです。

香の場合だと、端で香を取ったあと、未着手の筋へ香を打って、その後で9段目で香不成を10手目に指せば条件をクリアできそうです。この方針で指してみたのが参考図の手順になります。歩、香、桂、銀、金の5種の駒を取っているので駒取り条件はクリアしましたが、8筋の着手がありません。香不成を指した6筋は2回の着手なので予定通りでしたが、3筋の着手が△34歩と▲31馬の2手ありました。また、▲53角成と△99角成が2手連続での成の手なのでこれも条件をクリアしていません。

参考図:▲76歩、△34歩、▲44角、△12香、▲53角成、△99角成、▲31馬、△68香、▲21馬、△69香不成 まで10手で反則

香不成の反則を目指すと後手は端筋の香を取りに行くことになり、どうしても角不成か角成の手を指すことになり、駒集めをする必要がある先手はやはり角成をした方が都合が良い(不成だと敵陣内での移動で不成か成が付く手を指すことになるので最初の手で駒成した方が得)ので、成の手が連続し易くなります。では、後手は桂不成を目指すとどうなるでしょうか?先手の桂を取りに行くのではなく、自陣の桂を4段跳ねして行く手順です。21の桂が69桂不成を目指せば、3筋から6筋までの筋の着手を順次指すことができます。10手の全筋着手で重複着手ができるのはひとつの筋なので、それは△34歩と△33桂になりそうです。後手の着手はその後の△45桂、△57桂不成、△69桂不成の反則までの5手で決まりでしょう。8手目に57の歩を取り、10手目に金を取ることになります。

先手の着手は、後手が指さない筋を1手ずつ指して、歩と金以外の3種の駒を取るのが先手のミッションになります。それらの筋は、1筋、2筋、7筋、8筋、9筋です。初手は7筋の▲76歩で、2筋は▲22角成で後手の角を取れそうです。また、▲11馬で香を取ることもできます。先手の残り2手は8筋と9筋の着手をしてこれまでに取れそうに駒種以外の駒を取る必要があります。香は▲11馬で取るので、8筋の桂を取ることになります。すなわち、▲92角を打って、▲81角成で桂を取ります。初手から、▲76歩、△34歩、▲22角成、△33桂と進みますが、5手目は▲92角です。先手は物理的に同じ駒を連続で指すことはできないので、22で成ったばかりの馬を5手目に動かす▲11馬は指せません。6手目から△45桂、▲11馬、△57桂不成、▲81角成、△69桂不成までの後手反則負けとなりました。

それではみなさんの短評をどうぞ。

(短評)

るかなんさん(作者)「タイトルは着手があみだくじ、ということで。先手も成なしにした方が余計な注釈も入らずスマートでしたね。」

■21の桂の経路が隣の線へ移動していく様子があみだくじのようなのですね。

NAOさん「全筋着手、5種の駒取り、同じ駒の連続着手なし、とここまでは達成が難しそうなテーマで意欲的な作品。できれば、初登場では反則手なしの作品を解図したかった。"合法"な次作を期待してます。」

■8月の出題は"合法"な作品になっていますが、反則をテーマにした作品の投稿もいただいております。

飯山修さん「この手順で合ってるなら初級の感じ。推理将棋は基本ばか詰なので作品がどんどんフェアリー化していっても問題ないでしょう。」

■7手詰手順の全ては安南ルールでは指せない手順のようですが、安南ルールだと初期配置から5手で詰めることができますね。
このような駒の性能が変わるフェアリールールは推理将棋には向いていないように思います。成禁や不成禁は「駒成なし」や「不成なし」の条件で既に使われていますので、取禁、禁欲、強欲、悪魔詰、天使詰などの手の選択肢を制限するルールは推理将棋でも大丈夫でしょう。

ミニベロさん「9手で9筋使用は、いろいろ探したけど結局なかったように思う。そのためか、10手で9筋使用問題は手つかず状態でした。他にもパターンはあるけど、詰みを求めないとは巧い着眼でした。」

■全筋着手は10手が最短のようです。全段着手は11手かかるのかな。
詰みを求めない新作の投稿に刺激を受けて、担当も、11手目で詰ますのを失敗したという作品を作り、現在、余詰検討中です。

ほっとさん「もう少しスマートな条件設定になっていればというところだが、新しい作家は今後が楽しみ。」

■作者のコメントにありましたが、「駒成なし」にしていれば少しはスッキリしたのでしょうね。

RINTAROさん「何故か後手桂を跳ねる手が見えて、ヒント前に瞬殺できました。」

■5種の駒を取らなくて良いのなら、▲18飛、△34歩、▲76歩、△88角不成、▲28飛、△99角成、▲48飛、△68香、▲58玉、△69香不成 で全筋条件はクリアできます。桂が見えたら、駒集めは先手の任務になるので考え易かったですね。

はなさかしろうさん「ゴールが詰みでない問題、PG的な雰囲気もあって面白いですね。条件はどうしても多くなる…ということから逆に、「詰み」という条件の強さも窺えます。」

■多めの条件のひとつの「(物理的に)同じ駒の連続着手なし」に引っ掛かったようで、▲92角から▲81角成を連続で指してしまったようです。

原岡望さん「角の分業」

■分業することで、同じ駒の連続着手をしないて駒収集ができました。

諏訪冬葉さん「全筋着手の条件から不成の駒は桂馬と判断しました」

■桂の4段跳ねで4つの筋の着手ができ、最後を不成にすれば反則負け条件をクリアできます。


正解:8名

  NAOさん  飯山修さん  るかなんさん  ミニベロさん
  ほっとさん  RINTAROさん  原岡望さん  諏訪冬葉さん

(当選者は全題の解答発表後に発表)

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推理将棋第165回出題(9月10日まで)

[2023年9月28日最終更新] 推理将棋165-3解答、第165回出題当選者

165-3余詰修正

るかなんさんとはなさかしろうさんから165-3の余詰指摘がありました。粗検、大変申し訳ありませんでした。
会話と条件に1文を追加して余詰修正とさせていただきます。

会話と条件に次の文章を追加
「4筋で同の手が2回あった」

なお、元の条件を満たしていれば正解とさせていただきます。

(8月15日 Pontamon)


将棋についての話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル、推理将棋の第165回出題です。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。

解答、感想はメールで2023年9月10日までにTETSUまで (omochabako@nifty.com) メールの題名は「推理将棋第165回解答」でお願いします。 解答者全員の中から抽選で1名に賞品リストからどれでも一つご希望のものをプレゼント! 1題でも解けたらぜひご解答ください。

推理将棋第165回出題  担当 Pontamon

暦の上では秋ですが、残暑厳しい日がまだまだ続きそうです。
お身体に気をつけて、推理将棋をお楽しみください。
8月の出題は、先月と同じく、るかなんさん、けいたんさん、担当からの3題となっています。


■本出題


■中間ヒント (8月27日 作者)

165-1初級:大駒は先手の角ではありません(Pontamon)
165-2中級:王手は2回、駒取りも2回(るかなん)
165-3上級:歩不成あり(けいたん)

■締め切り前ヒント (9月3日 Pontamon)

165-1初級:唯一の大駒着手は6手目の後手の飛です。
165-2中級:先手が駒を取れたのは5手目だけで、駒を取る手しか合法手が無かった6手目に後手も駒を取ります。
165-3上級:5段目への角打ちは先手、歩打ちは後手。最終手の▲76歩は空き王手の手です。


165-1 初級  Pontamon 作  大駒の手は1回        7手

「7手で詰んだ将棋だけど、大駒の手は1回だったよ」

さて、どんな手順だったのでしょうか。

(条件)

  • 7手で詰み
  • 大駒の手は1回

165-2 中級  るかなん 作  妖精のエチュード      10手

強欲ルールで指す先手の強欲くんと禁欲ルールで指す後手の禁欲くんとの対局です。※
「10手で詰ますとはやるじゃないか、禁欲くん。」
「うーん、強欲くんは先手を取ったのにらしくない将棋だったような…。」
「歩頭への着手があったな。」
「補助記号(成、上、寄など)の付く4手は連続して着手されていないね。」

さて、どんな手順だったのでしょうか。

(条件)

  • 10手で詰み
  • 先手は駒を取る手と取らない手のどちらでも指せる局面では、常に「駒を取る手」を指した(フェアリールールの「強欲」に従った)※
  • 後手は駒を取る手と取らない手のどちらでも指せる局面では、常に「駒を取らない手」を指した(フェアリールールの「禁欲」に従った)※
  • 歩頭への着手があった
  • 補助記号(成、上、寄など)の付く着手は連続しない4手

※「強欲」「禁欲」のフェアリールールは「WFP作品展登場ルール一覧」をご参照ください。


165-3 上級  けいたん 作  最終手76歩        13手

「13手目の初王手で詰みか。最終手は76歩だったね」
「5段目に角を打つ手があったな」
「5段目に歩を打つ手があったね」
「4筋で同の手が2回あった」

さて、どんな手順だったのでしょうか。

(条件)

  • 13手目の初王手で詰み
  • 最終手は76歩
  • 5段目に角を打つ手あり
  • 5段目に歩を打つ手あり
  • 4筋で同の手が2回あった

このコーナーで出題する問題を募集します。入門用の易しい問題を歓迎。作者名、問題、解答、狙いなどを記入して「推理将棋投稿」の題名でTETSUにメール(omochabako@nifty.com)してください。

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推理将棋第163回解答(3)

[2023年7月29日最終更新]
推理将棋第163回出題の163-3の解答、第163回出題の当選者(諏訪冬葉さん)を発表します。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。

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163-3 上級  けいたん 作  同飛成2回         12手

「12手で詰みか」
「46角の着手があったね」
「同飛成の着手が2回あったな」

さて、どんな手順だったのでしょうか。

(条件)

  • 12手で詰み
  • 46角の着手あり
  • 同飛成の着手2回

出題のことば(担当 Pontamon)

 本問にも46地点の角の手が出てきます。46角は棋譜表記なのでご注意を。

作者ヒント

 同の手は3回(けいたん)

締め切り前ヒント

 △46角としておいて、先手と後手の2手連続の同飛成で詰み。


推理将棋163-3 解答 担当 Pontamon

▲56歩、△34歩、▲55歩、△同角、▲58飛、△46角
▲53飛不成、△52飛、▲58玉、△57歩、▲同飛成、△同飛成 まで12手

(条件)
・12手で詰み
・46角の着手あり(6手目△46角)
・同飛成の着手2回(11手目▲57同飛成、12手目△57同飛成)

Suiri1633

Suiri1633a46角の手があるとのことですが、先手なら▲76歩、▲55角、▲46角の3手、後手なら同様に55経由の他に△14歩、△13角、△46角の3手で可能ですが、どちらも詰手順に貢献していない感じです。となると、57の歩を△57角不成で取ってから△46角不成とする手順でしょうか。この位置に角を配置するなら△57飛成までの詰み形が思い出されます。本問では△57同飛成にしないといけないですし、最終手以外でも同飛成の手を指す必要があります。

条件では46角が指定されているので△46角不成だと条件をクリアできていない可能性もあるので、先手が▲46角を指す手順を取り入れて指してみたのが参考図の手順です。先手角が55経由で▲46角を実現するために後手角は13地点から△57角不成で歩を取って先手の飛が後手陣へ行けるようにしています。最終手の△57同飛成を▲同角とされないように、57の歩を取った後は△46角不成とします。先手と後手の2手連続の同飛成で詰めることができたのですが、手数が14手になってしまったので失敗でした。

参考図:▲58飛、△14歩、▲76歩、△13角、▲55角、△57角不成、▲46角、△同角不成、▲53飛不成、△52飛、▲58玉、△57角打、▲同飛成、△同飛成 まで14手

46角の手があって、その手と協力して57地点で飛を成って58の玉を詰める形は良さそうなのですが手数オーバーの14手だったので2手縮める必要があります。

5筋の歩を取り払うために互いに歩を突いて行く▲56歩、△54歩、▲55歩、△同歩、▲58飛、△34歩、▲55飛、△52飛、▲53飛不成、△55角、▲58玉、△46角の手順では12手目に△46角を配置するのが精一杯です。先手の飛が▲57同飛成を実現するには後手に先手の5筋の歩を取って貰う必要がありますが、△13角からの手順も5筋の歩を突き合う手順も失敗しました。でも良い手順がありました。先手が初手と3手目で5筋の歩を連続で突いて▲55歩とすれば、後手の△34歩のあとの4手目△55同角で先手の歩を取ってもらうことができます。その後、後手角は△46角として57地点で成る飛を支えれば良いわけです。初手から▲56歩、△34歩、▲55歩、△同角、▲58飛、△46角です。7手目からは▲53飛不成の王手に△52飛として、次に▲58玉と上がります。10手目は11手目が同の手になるように持ち駒の歩を△57歩と打ち、11手目の▲同飛成を△同飛成で取れば詰みとなりました。

それではみなさんの短評をどうぞ。

(短評)

ミニベロさん「これはまともに考えると難問になる。筋を絞ることが肝要。私はあることがヒントになっていました。
特集が組めるほど作品があるとはうらやましい!」

■「あることがヒント」って何だろうと思いましたが、総評記載のことですね。

NAOさん「12手で同飛成2回は結構むずかしい。決め手の焦点57地点の連続同飛成で解決。」

■先手と後手で1回ずつ分担するは手数から分かりますがその後が難しい。

諏訪冬葉さん「同飛成は双方1回づつ・最終手は同飛成 と読んで46角との連携を考えたら何とか出てきました。」

■46角が後手着手で最終手を支える役割だと気付くと同飛成地点が見えてきます。

るかなんさん「締切前ヒントを見てようやく。自陣成がすっぽりと抜け落ちていました。」

■最初の解答コメントでは「さてブレイクスルーはどこにあるのやら。」とのことでした。同飛成は先手と後手の1回ずつだと推理しても相手陣で飛成していると手数が足りない14手か46角が無い12手になりますね。

飯山修さん「最終ヒントを見る迄飛成は8段目と思い込んでました。確かに57なら金銀不動で詰むので効率がいい。一番形が近い前例は33-3でしょうか。」

■8段目の同飛成で詰ます場合、先手の金銀の利きをどう処理するのかがカギになりますね。

変寝夢さん「58金右&56歩&46角の形で39飛成、同飛成までなのかな?。ソフトはいつまで経っても(数十時間)初手16歩ばかり読んでました泣」

■本問だと、いつ出て来るかわからない46角や同飛成に当たるまで双方の合法手をひたすら手を読んで行く必要がありますね。

桝彰介さん「ずっと5筋以外で飛車を成る順ばかり考え、相中飛車に気づいた時はすごく効率が良いと感じました。」

■最終手が同飛成だと推理すると思い浮かぶのははてるま手筋の応用。3筋なのか7筋なのかであれこれやってみた口かな?

ほっとさん「この条件だけで限定できているのは凄い。」

■12手を2条件で限定なら秀作と言えますね。

RINTAROさん「2連続同飛成が大ヒント。自動的に手順が決まる感じがいいです。」

■同の着手になるように他の駒を差し出していては手数が足りなくなるので2手連続の同飛成が唯一の解決策でした。

原岡望さん「46同飛成と即断し苦戦。手がかかりすぎると思い直して57を発見し解決」

■△46角を▲同飛成だと最終手を支える駒がなくなりますね。

占魚亭さん「降参。締め切り前ヒントを見ても全く浮かばない……。」

■同飛成する57地点を明かした方が簡単になりますが、今回の直前ヒントでは地点は隠したままにしました。

はなさかしろうさん「同飛成2回の12手で詰みだけなら7筋でもできますが、46角との組み合わせで立ち止まりました。5筋で同飛成同飛成ですね。」

■46角の条件が曲者でした。


正解:10名

  ミニベロさん  NAOさん  諏訪冬葉さん  るかなんさん
  飯山修さん  桝彰介さん  ほっとさん  RINTAROさん
  原岡望さん  はなさかしろうさん


(総評)

ミニベロさん「前回(162-1)の原型のタラパパ作33-1を見に行って、ついでにけいたんさんの名作33-2を再見(解を見ずに挑戦してね)。そのとき更に、DD++作 33ー3も再見してたので、上級はすぐに見えました。
全作もう一度おさらいをすれば、何かいいことがあるかも。」

■33-3の条件は「玉頭の飛の手」で「同飛成」の文言は出てきていません。推理将棋では同じ詰み上がりでも過去作とは違う条件で出題されますが、詰み形に覚えがあると解図の助けになりますね。

NAOさん「ほどよいヒントと謎解きが融合した3題。作者独特の作風を楽しめました。」

■条件は解図の際の試練ではなくヒントなのですね。

諏訪冬葉さん「今回は中級が最初に解けました」

■最終手がわかっていても難しめの中級だったはず。

るかなんさん「詰形のデータベースが全く頭に入って無いのもあって食わず嫌いしていましたが、今回は知識0でも思いの外進みました。
来月以降どうなるかはわかりませんが、手が付けられたらこちらにもお邪魔させてもらいますね。」

■おもちゃ箱の推理将棋もよろしくお願いします。

飯山修さん「今月は余詰も補足説明もなく無事済みそうですね」

■今年は半分が過ぎてようやく無傷の月を迎えることができました。

変寝夢さん「PC解図して思うのは、条件が連続した5手以内の中に1つでも入っていれば割合解けるかな、というイメージですが、逆だともう地獄ですねw。
十数時間掛けても初手から16歩、14歩のところから進んでいないと人間の方が心折れちゃいます、読みを条件に合わせて切り捨てるのではなく、全ての解から条件に合っているか検索する方が良いのでしょうが、今のPCやソフトの力では無理ですねぇ。
家庭内用量子コンピューターの出現にでも期待してます。」

■量子コンピュータの国産初号機が3月に設置されたらしいですね。担当の部屋には自作PCの試作零号機が7月に設置されました。

桝彰介さん「上級が難しくて今回も締め切り前ヒント待ちでした。藤井聡太7冠の作品が表紙に採用され、7冠ご本人のコメントが載った紙版の詰パラが在庫切れになる現象を起こしてました。流石藤井7冠。私が最後に詰パラ買ったのは推理将棋が掲載され始めたころでしたので、久しぶりに詰パラ読んでみたいと思いました。」

■担当が推理将棋を始めてしばらくしてから詰パラのバックナンバー全て(推理将棋掲載開始後)を購入したのですが、欠品の月が2~3ありました。このような理由で在庫無しになるのですね。

ほっとさん「今回は解いて気持ちいい3作でした。」

■7月出題はどうなることやら。初級が無いので手こずるかもしれません。梅雨明け後の猛暑の中、解くのがイヤになるかも。

RINTAROさん「けいたんさんの作品は、分かりやすくて好きです。」

■2題出題はもちろんのこと、近いうちにけいたんさんの個展があるかも。

原岡望さん「前日に解けてやれやれ。またもパラの敵をおもちゃ箱で、となりました。今夜はゆっくり眠れそうです」

■忘れないうちに7月号の解答を送信しておこうっと。自作があって有利だと思われるかもしれませんが、3月投稿作なので手順は忘れていて解き直しました。

占魚亭さん「今回は2問解答。上級ムズカシイ。」

■12手ともなると手順が非常に多くなり、担当としては余詰が紛れ込むのも心配のひとつです。

べべ&ぺぺさん「もう少し、時間をかけて取り組みたかったです。忙しくて残念でした。」

■睡眠時間を削ってまで推理将棋に取り組んでとは言いませんので、できる範囲で解図を楽しんでいただければと思います。


推理将棋第163回出題全解答者: 14名

  ミニベロさん  NAOさん  諏訪冬葉さん  るかなんさん
  中村丈志さん  飯山修さん  変寝夢さん  桝彰介さん
  ほっとさん  RINTAROさん  原岡望さん  占魚亭さん
  べべ&ぺぺさん  はなさかしろうさん

当選: 諏訪冬葉さん

おめでとうございます。
賞品をお送りしますので、賞品リストから選んだご希望の賞品と送付先をメールでお知らせください

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推理将棋第163回解答(2)

[2023年7月25日最終更新]
推理将棋第163回出題の163-2の解答です。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。

関連情報: 推理将棋第163回出題  推理将棋第163回解答(1) (2) (3)
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163-2 中級  けいたん 作  46角成まで        11手

「46角成まで11手で詰みか。2手目は42玉だったね」
「そう、玉は斜めにしか動いていない」

さて、どんな手順だったのでしょうか。

(条件)

  • 46角成まで11手で詰み
  • 2手目は42玉
  • 玉は斜めにしか動かない

出題のことば(担当 Pontamon)

 最終手が判明しているので、後手玉は馬が利いている地点に居るはず。

作者ヒント

 飛を打つ手あり(けいたん)

締め切り前ヒント

 最終手は、82の角が▲46角成して35の玉を詰めます。


推理将棋163-2 解答 担当 Pontamon

▲76歩、△42玉、▲55角、△54歩、▲73角不成、△53玉
▲82角不成、△44玉、▲24飛、△35玉、▲46角成 まで11手

(条件)
・46角成まで11手で詰み(11手目▲46角成)
・2手目は42玉(2手目△42玉)
・玉は斜めにしか動かない(2手目△42玉 6手目△53玉、8手目△44玉、10手目△35玉)

Suiri1632

Suiri1632a最終手が46角成であることが分かっているので、詰み形を考えれば良さそうです。最終手で▲46角成をした角は何処から来たのでしょうか。▲22角不成で角を取ったあと▲13角不成としておけば▲46角成を指せます。この時、玉は都の55に居れば64へ下がることはできませんが、65地点や76の歩を取って逃げることができますが、22で取った角を▲43角と打てれば65地点も76地点もこの43の角でカバーできます。つまり後手玉は△44歩を突いて△43玉、△54玉を通って都入りすれば良いことになります。2手目は玉の手なので△44歩は4手目になります。この方針で詰めたのが参考図の手順です。11手で詰んでいるのですが、2手目の△52玉や10手目の△55玉は玉を真っ直ぐ前へ進める手なので「玉は斜めにしか動かない」の条件をクリアしていませんでした。

参考図:▲76歩、△52玉、▲33角不成、△44歩、▲22角不成、△43玉、▲13角不成、△54玉、▲43角、△55玉、▲46角成

▲46角成で詰むので後手玉は5段目の可能性が高いのですが2手目が△42玉で玉は斜めにしか動かないのであればどのような経路とどの地点への玉移動ができるのでしょうか?5段目まで玉が行くのに4手かかりか、どこかの筋の歩を突く手と合わせて後手の着手5手が全て消費されます。42玉の位置からなので歩突きは3筋か5筋になりそうです。6手目は△33玉か△53玉、8手目は△24玉、△44玉、△64玉のどれかになり、10手目は△15玉、△35玉、△55玉、△75玉のいずれかになるはずです。最終手▲46角成が空き王手でなければ後手の玉は△35玉か△55玉のどちらかのはずです。玉位置が35なら、13の角の利きに居ることになるので、▲13角不成から▲46角成の手順の場合は後手玉は△55玉です。また、玉位置が△35玉であれば、最終手の▲46角成とする角は73や82地点からの移動になるはずです。

後手が歩を突かずに▲76歩、△42玉、▲33角不成を△同玉で取ってしまうことも可能ですが、そうすると先手の攻めが続きません。つまり、先手は22の角を取るために▲33角不成から▲22角不成とすることも△34歩の協力のもと直接▲22角不成で角を取ることもできないということになります。となると、攻め駒補強のために82の飛車を取りに行く手順が必要になり、▲82角不成で飛を取った角が最終手で▲46角成とすることになるので、後手玉は△35玉になります。初手から▲76歩、△42玉、▲55角の順で指し、先手はこの後、▲73角不成、▲82角不成で飛を取って9手目の飛を打つ手を挟んで11手目に▲46角成の手順になるはずです。一方、後手玉は4手目の△34歩か△54歩の後、33-24-35の順か33-44-35の順か53-44-35の順で玉を35へ移動させることになります。先の2経路は経路違いですが△34歩を突いた場合になり、46の先手の馬と35の後手玉と34の後手の歩の配置で玉の逃げ場を確認してみると、25地点と44地点があります。9手目に▲26飛と打てば25地点を抑えることはできますが44へ逃げられてしまいます。44地点を抑えるために4段目へ飛を打つと25地点が逃げ場として残ります。どうも△34歩・△35玉に▲46角成の配置では無さそうです。

つまり4手目からは、△54歩、▲73角不成、△53玉、▲82角不成、△44玉と進み、9手目に飛車を打つ場所が問題になります。△54歩・△35玉に▲46角成の駒配置だと玉の逃げ場は25地点、34地点、44地点の3箇所なので先ほどの△34歩の場合より1地点増えています。飛を打ってこれら3地点を抑えるには後手の歩頭への▲24飛で解決します。▲46角成の利きが24地点へ間接的に利いているので35の玉は24地点の飛を取ることはできません。9手目から▲24飛、△35玉、▲46角成で詰みとなりました。

それではみなさんの短評をどうぞ。

(短評)

ミニベロさん「この最終手では、八方桂がないと玉の退路は断てないが、唯一この形があった。勝手な詰め上がりを想定すれば、自動的に正解にたどり着く。詰将棋作家ならではの詰み形。」

■詰将棋だと出て来やすい詰み形なのでしょうか。詰め将棋をしない担当にはわかりませんが。

NAOさん「46馬の利きの24に打ちたくなる。飛が落ちていた。」

■▲46角成のあと▲24金で34の玉を詰めたくなるけど23の歩の処理に困る。▲46角成は最終手となると35の玉の後ろ3地点と25の退路の退路が多過ぎてこれも困る。

諏訪冬葉さん「42玉のせいで13からの角成は難しそうなので73の筋を狙う。」

■2手目が△42玉に限定されているので3手目▲33角不成から▲22角不成、▲13角不成を指していては後手玉が動き難い。

るかなんさん「素直に55経由で行くとついでに飛車も取れる、と気付いて一気に視界が晴れました。」

■視点を変えることは重要なことです。

飯山修さん「25と44の両方に効く飛打が必要となるが34歩から出たので見つからなかった。54歩から出ればいいのか。少ない条件で大成功。」

■後手玉が中段へ出るには△34歩から33地点経由で1筋まで行くことが多いような感触です。

変寝夢さん「実戦初形/非連続王手/手数=11/反手指定条件完全一致=4&6&8&10,移動ベクトル=右&左&下&上@ロイヤル/手指定条件完全一致=2,移動後の位置=42/手指定条件完全一致=2&6&8&10,移動ベクトル=右上*1&左上*1@ロイヤル/手指定条件完全一致=11,成@移動後の位置=46@動かした駒の種類=角/詰条件=手数限定/手指定条件完全一致=1,移動後の位置=76で解図時間は14分41秒 思考局面数は2341956 不詰記憶局面 1169793 不詰ハッシュ衝突回数 1600894 同一局面衝突回数 668でした。初手76歩に絞り、中間ヒントは使わず、締め切り前ヒントから後手の指し手を絞り込めたので思考時間は短めです。最終3手は実戦協力詰ですねw。」

■「神の手、歩頭へただ捨ての9手目▲24飛」の動画タイトルが付きそうですが、△同歩と取れないのではなく取らないのが推理将棋。

桝彰介さん「2四飛が3五玉の逃げ道を封じるのにぴったりで感心しました。」

■▲24飛で44地点まで利かすことができるのは△54歩のあとの53経由での玉移動があってのこと。

ほっとさん「24飛がぴったり。」

■25地点、34地点、44地点の3地点を1手でカバーする▲24飛がぴったりの手。

RINTAROさん「82角が大ヒント。33からではなく53から上部へ。」

■後手玉が中段へ行くには2手目△42玉が指定されているので、△34歩を突いて33経由か△44歩を突いて43経由か△54歩を突いて53経由の3択になります。

原岡望さん「飛車角の見事な連係プレー」

■角飛サンドイッチと言うべきか?

占魚亭さん「54歩が盲点。34歩と指してしまいがち(笑)。」

■隠された妙手△54歩。

べべ&ぺぺさん「まず34歩を考えて。次に54歩に気付いたら、スイスイと手が進みました。」

■玉は斜めだけなので、△42玉、△44歩、△43玉の手順は除外されるので△34歩がダメなら△54歩ですね。

はなさかしろうさん「推理将棋の華ともいうべき詰上り。条件もシンプルで素晴らしい。」

■飛と角の役目が入れ替わっていますが、これも飛角サンドイッチと言えますね。目にすることが少ない形でした。


正解:13名

  ミニベロさん  NAOさん  諏訪冬葉さん  るかなんさん
  飯山修さん  変寝夢さん  桝彰介さん  ほっとさん
  RINTAROさん  原岡望さん  占魚亭さん  べべ&ぺぺさん
  はなさかしろうさん

(当選者は全題の解答発表後に発表)

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