カテゴリー「詰将棋」の記事

河原泰之「GOLD LEAF」について(お詫びと訂正)

[2017年11月1日最終更新]
2017年6月5日に歩一色詰(詰上り玉と歩18枚、成生は任意)の長手数記録を下記の通り登録しました。

河原泰之「GOLD LEAF」 棋譜ファイル

C1195bC1195b1

詰パラ10月号のおもちゃ箱だよりでもこの記録作を紹介したのですが、それに対してほっとさんから

「『GOLD LEAF』って早詰なのかな。確認した限りでは、非限定やと金を余分に捨てることができる箇所はいくつかあるものの、早く詰む順は見当たらないのだが。」

との指摘が。

調べてみると、この指摘は正しく、早詰はありませんでした。

登録時は、詰将棋データベース収録の手順を柿木将棋で余詰を調べて早詰と判断したのですが、早詰箇所を確認してみると、受方の応手が誤っていました(作意に還元する変化別詰手順だった)。私の確認不十分でした。申し訳ありません。

他の箇所で手順前後、迂回手順、非限定、収束余詰(3手前)はありますが、作品の性格上キズ扱いでよいと思いますので、近いうちに河原泰之さんの「GOLD LEAF」を歩一色詰の長手数記録として登録し直したいと思います。

「GOLD LEAF」は玉金以外全て成駒の小駒全駒図式から歩一色詰になるとてもユニークな作品で、作者の発想には感心させられます。未見の方はぜひご鑑賞ください。

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ネットで見る藤井聡太詰将棋

[2017年11月9日最終更新]
連勝記録更新で日本中から注目をあびる藤井聡太四段。初めて会ったのは2012年松本での詰将棋全国大会のとき。対戦詰将棋の競技で、大勢の大人やバリバリの大学生、高校生を差し置いて優勝したのが当時小学生だった藤井聡太君だった。そのずば抜けた解答能力は、詰将棋解答選手権の3連覇として花開き(第12回第13回第14回)、詰将棋の普及に貢献したとして宮田六段とともに平成28年度門脇芳雄賞を受賞した。詰将棋の発表数はまだ10作程度だが、将棋世界で谷川賞を受賞するなど、新人ばなれした創作力を見せる。ネットでも話題になることが多いので、まとめてみた。


将棋世界発表作

詰将棋パラダイス発表作

日本将棋連盟サイト発表作

色紙・扇子の詰将棋

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歩一色図式と豆腐図式

[2017年4月20日最終更新]
詰棋人は手筋や構想、趣向など、なんでも分類したり名前を付けるのが好きである。ある作品が出現したとき、この作品はxxだというように名前を付けることが多いので、定義がはっきりしなかったり、人によって使い方が違って論争になったりする。体系化してみると名前を変えたいものも多いが、それも混乱を呼ぶ可能性があるので、難しいところ。

前置きが長くなったが、おもちゃ箱記録に挑戦!で、これまで「盤面玉と歩18枚(歩一色図式)」としていた項目を、「盤面玉と歩18枚(盤面豆腐全駒図式)」と変更した。新たに「盤面玉と歩18枚、と金なし(歩一色図式)」の項目を立てたためだが、この名称変更について補足しておきたい。

1.一色図式の定義

一色図式自体は古くからあるが、「一色図式」の名前が初めて使われたのは、詰将棋パラダイス1976年10月号の「一色図式」という出題ページで、新田道雄さんの提供。1977年2月号の結果発表にその定義が書かれている。

「命名者は金成憲雄氏、条件は盤面玉以外駒一式すべて配置です。但し、小駒 (金、銀、桂、香、歩)の部はすべて生駒ばかりに限ります。成駒の有るものは一色図式と認めません。大駒(飛角)の場合は成駒(龍馬)で有っても構いません。」

大駒小駒で成駒の扱いが異なるなど不統一な面があったせいか、その後発行された「古今趣向詰将棋名作選」では、次のようになっている。

「一色図式=玉以外の置駒が1種類で通常は全駒。金成憲雄氏の命名。
★準一色図式=成駒の混じる場合。」

同書では「龍一色図式」の用語も使われている(金成氏の定義では飛一色図式)。

2.豆腐図式の定義

「古今趣向詰将棋名作選」によると、1968年に藤村和憲氏が命名したとのことで、同書では駒種類趣向の小駒図式の特殊ケースとして次のように定義している。

「☆豆腐図式=玉と歩だけ。藤村和憲の定義では置駒趣向だった。」

体系化のために定義を変えるのはよいのだが、元々の「盤面玉と歩だけ、持駒は任意」という図は何と呼べばよいか示していない。

3.おもちゃ箱、記録に挑戦!での扱い。

盤面の条件として、一色図式は成生を区別して駒一式配置、持駒は任意。歩、と、香、桂、銀、金、角、馬、飛、龍、10種類の一色図式の長手数記録の項目を立てる(豆腐図式など使用駒条件の項目は別に立てている)。

成生混在の場合は準一色図式とし、特に項目は立てないが、歩・と混在18枚配置(持駒は任意)については、盤面豆腐全駒図式の長手数記録として項目を立てる。この項目はこれまで歩一色図式と呼んでいたが、と金なし歩18枚配置(持駒は任意)の記録を歩一色図式として登録したので、名称を変更した。この名称は、豆腐図式が駒種類趣向のため、対応する置駒趣向を盤面豆腐図式と呼び、その18枚全駒配置を盤面豆腐全駒図式と呼んだものである。

飛角図式との比較で、用語の体系を示す。

  • 駒種類趣向(盤面・持駒合わせた使用駒の趣向)
    • 大駒図式: 使用駒玉と大駒のみ
      • 大駒全駒図式: 使用駒玉と大駒4枚
  • 置駒趣向(盤面の配置駒の趣向、持駒は任意)
    • 盤面大駒図式: 盤面玉と大駒のみ
      • 飛角図式: 盤面玉と大駒4枚
        • 純飛角図式: 盤面玉と生の大駒4枚
        • 龍馬図式: 盤面玉と成った大駒4枚
  • 持駒趣向(持駒の趣向、盤面は任意)
    • 大駒持駒: 持駒大駒のみ
      • 飛角持駒: 持駒大駒4枚

これに対応する歩一色の用語は次のようになる。

  • 駒種類趣向(盤面・持駒合わせた使用駒の趣向)
    • 豆腐図式: 使用駒玉と歩のみ
      • 豆腐全駒図式: 使用駒玉と歩18枚
  • 置駒趣向(盤面の配置駒の趣向、持駒は任意)
    • 盤面豆腐図式: 盤面玉と歩のみ(と金可)
      • 盤面豆腐全駒図式: 盤面玉と歩18枚(と金可)
        • 歩一色図式: 盤面玉と生の歩18枚
        • と一色図式: 盤面玉とと金18枚
  • 持駒趣向(持駒の趣向、盤面は任意)
    • 豆腐持駒: 持駒歩n枚  *と金がないのに「豆腐」は変だが・・・
      • 歩一色持駒: 持駒歩18枚

もう少し体系的な名前にできるとよいのだが、大駒図式と飛角図式、豆腐図式と歩一色図式とベースになっている名前が複数あってレイヤーも異なるので、やむを得ないか。逆に香一色や銀一色など、駒種類趣向の名称がないケースは使用駒香一色図式とか呼ぶのだろうか。

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初めての年賀詰

[2016年1月21日最終更新] おかもとさんからのご教示を追記

今年も年賀詰展示室にはたくさんの年賀詰が掲載されました。2月10日までお気に入り投票を実施しています。全部解く必要はありませんので、ぜひご参加ください。1月24日(日)の詰工房(大井町駅前「きゅりあん」で13時~)で、恒例の年賀詰鑑賞会を行いますので、都合の付く方はどうぞお出でください。

年賀詰は、曲詰で「2016」「16」「十六」「28」「二八」「1」「一」「サル」「申」などの形を作ったり、玉位置、手数、手順などいろいろな要素に趣向を凝らして新年を祝う詰将棋で、年賀状やブログなどに掲載されます。現在ではすっかり新春の風物詩となった年賀詰ですが、いつから始まったのでしょうか。

さかのぼれば、江戸時代の大小詰物あたりに起源がありそうですが、ここでは年賀状に書かれた詰将棋を対象に考えます。大小詰物については下記をご参照ください。

年賀状が盛んになるのは1900年頃かららしいので、もしかしたら将棋月報あたりにも年賀詰の記述があるかもしれません。残念ながらその頃の資料は持っていないので、まずは詰将棋パラダイスで探してみました。

詰パラ(旧パラ)の創刊は1950年。その8月号(1巻5号)に「年賀状懸賞付大道棋結果発表」という記事がありました。詰パラの前身である紳棋会報愛読者300名への年賀状で懸賞付大道棋が書かれていたとのことですが、これは年賀の意図がなさそうなので年賀詰とはいいにくいですね。

そして、次の年1951年の3月号(2巻2号)。賀状曲詰という記事があって、山田修司氏の年賀状詰将棋が紹介されています。「オメデトウ」の5局組曲のあぶり出しで、これが初めての年賀詰になるのでしょうか。全局持駒なし、詰上り都玉、19手(山田氏の19才から)で統一というからすばらしいですね。もっと古い年賀詰がありそうですが、とりあえず、この記事を紹介しておきます。これ以前の年賀詰をご存知の方はご教示いただければ幸いです。

Nenga19511

Nenga19512


2016年1月21日追記

おかもとさんから明治45年(1912年)の年賀詰があるとご教示いただきました。ありがとうございます。年賀状に書いたのかははっきりしませんが、意図が明確なので年賀詰と呼んでよさそうです。

1月20日、おかもとさんより

大正5年に発行された高濱禎著『詰将棋精選』の第14番は「マ」、第15番は「ツ」の初形曲詰で、「明治四十五年の春を迎へて之を作る」という添え書きがあるので、年賀詰といえるのではないかと思います。

また、第45番は「明治四十五年一月作 賀正 舞ねずみ」という添え書きがあり、明治45年は子年なので、これも年賀詰の一種といえそうです。

それから、「将棋月報」の大正15年1月号には、丸山正為の新年詰将棋と題するあぶりだし曲詰「オ」「メ」「デ」「タ」「ウ」が掲載されたそうです(「詰棋めいと」23号p.22-23参照)。

Mainezumi 高濱禎作の「明治四十五年一月作 賀正 舞ねずみ」を紹介しておきます。 題名通りの楽しい年賀詰ですね。

▲6六龍 △4五玉 ▲4六龍 △5四玉
▲4四龍 △6五玉 ▲6四銀成△7五玉
▲7四成銀△6五玉 ▲6四龍 △5六玉
▲6六龍 △4五玉 ▲4六龍 △5四玉
▲5五歩 △6五玉 ▲7六龍 △5五玉
▲4六銀 △5四玉 ▲5六龍 △4三玉
▲3二銀 △3三玉 ▲2三と △4二玉
▲4五龍 △5二玉 ▲4三龍 △6一玉
▲6三龍 △6二歩 ▲7二と
まで35手詰


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詰将棋問題と鑑賞用詰将棋

[2015年8月7日最終更新]
前に鑑賞派の視点として、詰将棋の楽しみ方にはいろいろあり、TETSUは解かない鑑賞派であること、鑑賞派として詰将棋がこうあってほしいということを書いた。詰将棋の大多数は解いてもらうことを前提に作られていて、最初から鑑賞されることを目的とした作品はそう多くない。もちろん、きれいに分けられるわけではないが、ここでは、前者を「詰将棋問題」、後者を「鑑賞用詰将棋」と呼ぼう。

これらは、明確に区別されることもなく、一緒に並べて出題・展示されてきた。システム上、評価が掲載されるのは(解説者と)解答者だけのことが多く、このような環境では当然、鑑賞用詰将棋も詰将棋問題として評価されることになる。いい評価を得ようと思えば、鑑賞用詰将棋の作者も詰将棋問題としても評価されることを意識して創作せざるを得ないわけである。

両立できれば問題ないと思われるかもしれないが、詰将棋問題で重視されるのは、ある程度の難解さ、(物理的、心理的)妙手であり、鑑賞用詰将棋で重視されるのは表現とテーマ、おもしろい、美しいといった点で、これらは相反することが多い。結果として、鑑賞用詰将棋の質の低下を招くことになっているのではないだろうか。

詰将棋は最初は詰将棋問題として始まったわけで、江戸時代でも鑑賞用詰将棋を意識して創作しているのは、久留島喜内、添田宗太夫など少数派にとどまる。その後も詰将棋問題としての出題がメジャーな中で、鑑賞用詰将棋は冷たくあしらわれていった。

例えば秘曲集のあぶり出しは、江戸時代のいろいろな風物を表現している点が素晴らしいが、だんだん、曲詰も妙手がないとダメ、とか詰将棋問題としての評価が影響しだして、鑑賞物としてはおもしろくない作りやすい平凡な字形の作品が幅を利かせるようになっていく。鑑賞用詰将棋として曲詰を見れば、もっときれいな形おもしろい形を表現したり、使用駒の趣向、立体曲詰など、進化の方向はいろいろあるはずである。妙手を入れたり余詰を防ぐため「形がちょっと崩れました」などという作品もよく見るが、形が崩れるならボツにする(または普通作として作り直す)ぐらいの矜持を持ちたいものだ。

趣向詰も鑑賞用にはおもしろくても、繰り返し部分は新たな読みが不要になり詰将棋問題としては簡単すぎることが多い。そのため、難しい序や収束を付けたりすることもよくあるが、趣向にマッチしていないと趣向自体の鑑賞にはマイナスになる可能性が高い。

鑑賞用詰将棋の発展を考えると、詰将棋問題との混在は、作者、読者、解説者いずれにとっても好ましい状態ではない。それなら解答付きの鑑賞用詰将棋専用のコーナーを作れば解決しそうだが、話はそう簡単ではない。解いて解答を提出し短評を添えるというスタイルが長く続いた結果、鑑賞者がコメントする文化がないので、解答を募集しないと短評が集まらない可能性が高く、これは作者にとって大きな不満になるだろう。

おもちゃ箱は鑑賞用詰将棋の比率が高く、コーナー分けを明確にしているので、それを理解して感想を書いてくれる方が多いが、以前解付きコーナーを提案したときは、やはり「解かないと感想が書けない」という意見があった。展示室の1か月の出題が終了してから解答を掲載して感想(短評)を募集とかすれば、解く人、鑑賞する人どちらも楽しめて良いのかも。今度一度試行してみようかな。

詰パラではデパートが鑑賞用詰将棋の出題率が高い。これは、デパートが解答順位戦の対象外であること、そして、担当の會場さんが鑑賞用詰将棋に理解が深い(鑑賞物としての詰将棋作品論参照)ことが影響しているのだろう。今後もその方向が続けば、デパートが鑑賞用詰将棋作家のよりどころになっていくのかもしれない。

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不利先打、不利逃避、不利合駒

[2015年8月7日最終更新] 添川公司さんの作品紹介を追加

詰将棋の手筋の中に、不利xxと呼ばれるものがある。不利先打、不利逃避、不利合駒などである。

これらの手筋、もちろん詰将棋の手順の中に現れるのだから、ルール上当然本当は有利なのだ。つまり、不利といっても、「局所的に見ると不利と勘違いしやすい」という意味なので、若干これらの用語には違和感がある。ほとんどの詰キストは一見不利そうでも実は有利な場合があることを知っているし、実際に有利か不利かは両方の手順を読まなければわからず、そして両方読めば不利と誤認することもないわけだから。

これらの手筋が珍しかったときには、プラス要素として用語の意味があったと思うが、今のような不利xxのインフレ時代で、初心者でもなければ知っているようになると、こういう言い方がプラスになるのかマイナスになるのか微妙なところではある。例えば飛不成や歩不成は同じように用語を作れば不利不成となるだろうが、こちらは古くから作品が多数作られてきたこともあってそういう言い方をする人はいない。そもそも詰将棋は不利感を演出することが多いので、こういう用語を作ると、不利捨駒、不利移動、不利限定打、不利打替えとか、いくらでもできそうだ。

Wikipediaには不利先打不利逃避はあるが、なぜか不利合駒の項目はない。不利先打の項目に、応用として「不利先打の玉方応用」の説明はあるが、これは2回合駒するときの順番についての話なので、不利合駒とはちょっと違う? なお、応用には盤面の駒に拡張した「不利先捨」も掲載されている。

借り猫かもによると不利合駒は「歩合で良さそうなところを、飛(金、銀、香)などを合駒して打歩詰に誘導し、延命を図る」手筋とされており「角や桂の合駒は、歩と利きが重複する部分がないので不利合駒とはいわない。」と書かれている。しかし、詰パラなどでの用例をみると、人によっては歩合でなく角合するのも不利合駒だとか。合駒は1回だけでも角先角歩とか。こうなってくると直接的に「打歩詰誘致の限定合」とかいった方が混乱しないような気がする。ただし、打歩詰に関係ない不利合駒もある。例えば歩合を後でするためにとりあえず香合をするようなケース。これは普通に香先香歩と呼べばいいだろう。

Furisenda 不利先打も、香先香歩とか個別に言った方が通りが良さそう。借り猫かも○先○△を見ると龍先龍金とか金先金銀とか、盤駒の話だったり不利有利と関係ない用例もあるようで、ちょっと拡張しすぎの感もある。だいたい、両方成立したら手順前後なので、どちらかに限定させれば必然的に○先○△か△先○△になるような。

飛先飛香が当たり前になった時代には、裏をかいて香先飛香の方が手筋になるのかもしれないなあと思って一つ作ってみた。詰キストは飛打、香打のどちらを不利に感じるだろうか。

本作は打歩詰は無関係だが、○先○△には打歩詰がらみの歩先飛歩の例も載っている。ただ、初手歩打を同×と取らないので、そういうのも歩先飛歩というのか、用語として使うなら条件を明確にする必要があるだろう。もっとも、ややこしい定義は一般的に普及せず、シンプルな(誤った)定義に駆逐されることが多い。それなら最初から表面的に○先○△または△先○△になっているものはすべてそう呼ぶと決めてしまった方がすっきりするかもしれない。


2015年8月7日

谷川幸永さんから、コメント欄で添川公司さんの香先飛香作品(棋譜ファイル)をご紹介いただきました。

4手目、12手目の飛合は(香合の変化はあとで飛合がでてくるわけではないので)飛先飛香と呼ぶか疑問ですが、8手目と12手目玉方の香先飛香で結果的に香を渡さないのを持駒変換で香を入手して詰方の飛先飛香で打歩詰を回避するというおもしろい作品。見かけ上の有利不利を言い出すとかえって混乱しそうですね。

柿木義一さんの Kifu for Flashを使わせていただいています。手順が鑑賞できない場合はFlash Playerをインストールしてください。

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看寿賞作品の煙詰率

[2015年7月12日最終更新] 煙と他の長編の受賞率を追記

詰将棋の欠片看寿賞受賞回数(総合・短・中・長・特別)という記事を見て、久しぶりに全詰連看寿賞作品別一覧表を眺めてみた。この一覧表、作品を説明する欄が全くないので、もともと受賞作を知っている人でないと見てもさっぱりわからないのが玉に瑕。立体曲詰とかダブル七種合とか再帰連取り趣向とか連続打診中合とか、簡単な分類でもあれば、役に立つ表になるだろう。

少し見ていて気になったのが、長編で煙詰系(小駒煙、都煙などを含む)が目立つこと。数えたら、第1回の「宇宙」から第53回の「枯野行」まで、なんと26作も受賞していた(長編賞、特別賞、奨励賞)。もちろん、優れた作品が受賞するのは全く問題がないのだが、あまたある長編作品の中で受賞作のこの煙詰率はちょっとすごい。看寿以降200年作れなかった煙詰の呪縛が今でも詰棋人の中に残っているんだろうか。

これらの作品の受賞理由を読んでいると、煙詰にしては「新しい追い方、新しい収束、長手数、趣向入り、xx入り」という感じのことばが並んでいる。しかし、煙詰以外の受賞作と比べてみると、手順はかなり見劣りする。それは「煙詰」という制約のもとで創作するわけだから、制約なしで思う存分力を発揮した作品と同じようにはいかないのは当然ともいえる。

この26作のうち、特別賞2作、奨励賞3作を除いた21作はすべて長編賞を受賞しているのだが、煙詰としてはすごい、曲詰としてはすごい、というような作品群は、むしろ特別賞にふさわしいのかもしれない。この26作が仮に煙でなかったら、それでも受賞する作品は何作あるか、と考えたとき、長編賞はやはり条件との複合ではなく手順のすばらしさ、未来を切り開く新しさで選ぶべきではないかと思うのである(あくまで私見)。

ちなみに、煙ということを除いても長編賞をあげたいと私が思う煙は、近藤真一さんの貧乏煙(看寿賞作品の改作、趣向がすさまじい)と橋本孝治さんの全編趣向煙(玉移動49マス、盤面をもっとも活用)ぐらい。両方とも看寿賞にはなっていないけど。

[2015年7月12日追記]
煙詰率という表題にしながら、割合を書いてなかったので追記する。

  • 長編(51手以上)の受賞作:76作
  • 煙詰系の受賞作:26作(34%)
  • その他の受賞作:50作(66%)

詰将棋一番星煙詰全作品によれば、煙詰(都、小駒、貧乏など含む)の数は338作なので、看寿賞の受賞率は7.6%。煙詰系以外の長編作品の数は約6000作(データベースから推定)とすると受賞率は0.8%。

煙詰の受賞作はすべて200手以下なので、200手以下と200手以上で分けてみると、

  • 200手以下: 煙詰系26作、その他21作
  • 200手以上: 煙詰系0作、その他29作

200手以下では過半数が煙詰系だった。一方、詰将棋一番星超長編全作品によれば、200手以上の作品は236作なので、200手以上の作品の看寿賞受賞率は12.3%と、煙の受賞率をもしのぐ。200手以下の煙以外の作品数は、これも大雑把に約6000作とすると、0.35%で、200手以下の煙以外の作品で看寿賞を目指すのはとても厳しいことがわかる。

この数字を見ると、200手以上の超長編部門を設け、また煙詰、曲詰などは特別賞、という運用が適切なのではないかという気がしてくる。


煙詰系の看寿賞受賞作

番号作者題名分類受賞
2 田中鵬看 宇宙 双玉煙 長編賞 S37
5 黒川一郎 嫦娥 小駒煙 長編賞 S38
8 山田修司 織女 歩なし煙 奨励賞 S39
9 山田修司 牽牛 貧乏煙 奨励賞 S39
20 駒場和男 かぐや姫 都煙 長編賞 S42
24 駒場和男 父帰る 還元玉都煙 奨励賞 S45
25 若島正 地獄変 煙詰 長編賞 S46
39 駒場和男 三十六人斬り  無防備煙 長編賞 S53
42 柳田明 稲村ヶ崎 煙詰 長編賞 S54
51 伊藤正 月蝕 小駒煙 長編賞 S56
59 添川公司 妖精 煙詰 長編賞 S58
60 伊藤正 天女 煙詰 長編賞 S58
62 添川公司 帰去来 双玉無防備煙  長編賞 S59
75 赤羽守 妻籠宿 煙詰 長編賞 S63
78 橋本孝治   無防備煙 長編賞 H01
81 馬詰恒司 修羅王 無防備煙 長編賞 H02
85 添川公司 大航海 七種合煙 長編賞 H04
92 浦野真彦 春時雨 煙詰 特別賞 H06
95 堀内真 未知との遭遇 煙詰 長編賞 H07
101 新ヶ江幸弘  伏龍 煙詰 長編賞 H09
117 近藤真一   煙詰 長編賞 H12
121 近藤真一   貧乏煙 長編賞 H13
133 添川公司 早春譜 煙詰 長編賞 H15
146 安武翔太   煙詰 長編賞 H20
159 岡村孝雄 涓滴 石垣煙 特別賞 H24
170 添川公司 枯野行 煙詰 長編賞 H25

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気に入った詰将棋だけ解答しよう

[2016年3月26日最終更新] 毎日がパラダイスの記事を追記

おもちゃ箱のページを見ると、副題として「詰将棋で遊ぼう!」と書いてある。将棋を上達したいために詰将棋をしている人は、詰将棋を学習や訓練と考えていることが多い。そうではなく、純粋に詰将棋を遊びとして楽しもう、という意味がこの副題には込められている。

将棋世界、詰将棋パラダイスなどの詰将棋出題は基本的には出された問題を全部解けというスタイルで、解答者も全問解けなかったら解答を出さないという人もいる。詰将棋解答選手権も同じスタイルで、合計点で順位が付くところなど、学校の試験とそっくりだ。

おもちゃ箱の展示室も毎月何題か出題しているが、解きたい作品だけ解けばよい、将棋ソフトを使って鑑賞するのもよし、というスタンス。だから全題正解者などという欄はないし、呈賞も解答者全員から抽選だ。

本でも映画でも音楽でも、自分が気に入ったものだけを楽しむのが普通で、いろいろなジャンルの作品を並べて全部見て評価しろなどということはまずない。

おもちゃ箱では、遊びの要素で「やさしい趣向詰のくるくる」「芸術的な詰将棋の美術館」「大道詰将棋のドキドキストリート」など区分されているので、好きなジャンルだけ楽しむのもいい。私自身が将棋を指さないので「将棋上達用の詰将棋」のコーナーはない。

詰パラでも解答競争で頑張っている人は当然全題解答しようとするだろうが、そういうこと抜きに遊びとして解答してもいいんじゃないだろうか。当然、気に入った作品だけ解答すればよく、「無解何人」とかカウントされても気にしない。そもそも「解いてくれた人何人」の方が重要で、「解かなった(解けなかった)人何人」はどうでもよい数字だ。

評価も、平均何点よりも、合計何点の方が重要だ。少数の人が気に入った作品より、多くの人が気に入った作品の方が、あとから鑑賞する人にとってより参考になる可能性が大きいからだ。

詰パラで出題されている問題は難しいのが多いので、どのコーナーでも全問解こうとするとハードルが高い。解答を書くのも大変だし、つまらない作品の短評を考えるのも気が重い。でも、中には解きたくなる初形の作品やお気に入りの作家の作品があるのでは。そういう作品だけ解答して、気に入った作品を作ってくれた作家を応援してはいかがだろうか。こういう解答者がどんどん増えてくれば、どういう作品が人気があるのかもわかって、詰パラがもっと楽しくなるかも。

ちなみに私は解かないので、もっぱら解説を読んでまたは将棋ソフトで並べる鑑賞派。詰パラは将棋ソフトによる解答を認めてないので解答をだしたことはない。解答競争には不参加として、評価、短評だけでも送ることができるようになるとうれしいのだが。


[2016年3月26日追記]

吉村達也氏の「毎日がパラダイス」は、詰将棋パラダイス誌で1997年4月号から1999年4月にわたって連載されたエッセイである。オリジナリティ、コンピュータ、変別論争の真相などいろいろな話題が次々展開されるおもしろいエッセイだったが、読み返してみたら関連する話題があったので、紹介したい。

  • 1998年6月(第15回)の中で、詰パラ読者の大半を占める「鑑賞専門」の人が作品の感想などで参加できるように、鑑賞者サロンみたいなものを開けないか、という提案。

    毎日がパラダイス第15回より (PDF)
  • 1998年11月(第20回)の中で、「作者ブランドが詰将棋を楽しむときの大きなガイドラインになる」という、吉村さん自身の詰将棋の楽しみ方の話題。

    毎日がパラダイス第20回より(PDF)

20年近く前のエッセイだが、詰棋界や詰パラの慣習に疑問を投げかける話題も多く、今でもおもしろく読めた。その頃の詰パラをお持ちの方は読み返してみると新たな発見があるかもしれない。

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詰将棋学校のABC評価

[2015年8月7日最終更新] 短評はファンレター

以前、解答、鑑賞と作品評価で、評点バブルが起きるのは「評価基準が全く示されてないのも原因の一つかもしれない。」と書いた。詰パラの詰将棋学校はA(3点)B(2点)C(1点)三段階の評価だが、Aの方が良い作品ということすら示されていないので、体操のファンが初めて詰パラを見たら、難しかった作品を難度Cとか評価しかねない。

まあ、それは冗談だが、この評価は半期賞を選ぶ際に参考にしているので、評価がAに偏るのはいい傾向ではない。大部分がAだと、そこでは差がつかないので、BやCを付ける少数の人の意見で順位が決まってしまうからだ。

なるべく有効な評価を得るためには、ABC3つしかない評価をばらけさせる必要がある。そして、受賞の参考にすることを考えると、Cの方を多くした方が上位の作品に差が付きやすくなる(ヤング・デ・詰将棋にように入選の基準に使う場合は別の考慮が必要かも)。

もともと担当者が多くの投稿作から選題しているので、そんなにつまらない作品はないはず。それも考慮すると、次のような基準でABC評価するのが良いのではないだろうか。

C 普通に楽しめた。 (目安50%)
B おもしろい。お気に入り。 (目安30%)
A 首位。受賞候補級。 (目安20%)

現状では基準が示されてないにも関わらず、担当者も解答者も暗黙のうちにCは否定的評価と思っていてつけにくく、実質2段階評価になっている。この基準なら、3段階評価を有効につかえるのではないかと思う。評価にこだわりのない人は全部Cにすればいいわけだ。

もともと基準があるわけではないので、そうだ、と思った方はお試しあれ。

詰将棋学校に一度も解答したことがないTETSUの戯言でした。


2015年8月7日

  • 短評はファンレター (TETSU)
    「Cを付けると短評が書きにくい」というのをどこかで聞いた。全題短評を付けようとすれば、特にお気に入りでもない作品には短評が書きにくいのはよくわかるが、(出題側としてはできるだけ短評を書いてほしいけれども)別に義務付けられているわけでもないし、感動した作品にしか短評を書かない解答強豪もいる。解答者は特別に依頼されて審査員になったわけではなく好きで解答しているのだから、各作品を解答するしないも自由だし、短評を書く書かないも自由だ。短評を「よかった。またこの作者の作品を見たい」という作者に対するファンレターと考えれば、Cを付けた作品には短評を書かないのが自然な気もする。どれだけの人が見てくれたのかと同様に、どれだけの人が短評を書いてくれたのかは、その作品に対する支持のバロメータになるだろう。

2015年7月4日

  • SABC4段階評価について (TETSU)
    昔、人事評価でも似たようなことがあった。ABC評価でやっていたら、評価する上司も部下にいい顔をしたいので、Aを付けすぎる。結果として、本当に良い成果をあげた人に報いることができない。それなら基準を厳格にすればよいかというと、これまでAを付けていた人にBを付けると不満がでてくる。そこでSABCの4段階評価にした、というような。
    詰将棋では、解答者が自分の評価基準を変えたからといって作家が文句をいうこともないので、制度を変える必要があるか疑問ではある。もし、制度を変えるならば、Sを飛びぬけた作品だけ(10%程度)につけると明確にして、S-5点、A-3点、B-2点、C-1点ぐらいにするといいかも(昔の詰パラはA-4点、B-2点、C-1点だった)。しかし、解答者の意識を変えないと、Aが更に増加して、結局実質2段階評価になってしまいそうな気もする。

2015年7月3日

  • 「雨滴」に隅の老人BさんのABC評価論が書かれていることを隅の老人Aさんにご教示いただきました。TETSUがいうまでもなく、とっくに実践されているようです。

     隅の老人Bさん「・・・ 学校での評価基準は、最近では、A=半期賞候補、B=まあ、気に入った。C=普通。「最近では」と書いたのには、理由があります。以前は、A=半期賞候補、Bは普通の出来映え、C=気に入らない、作り直したら、でしたが、短大の石黒教授に「先生が選んで出題した作品です。作り直し、ダメはないでしょ」と言われた。これ以来、少し評価基準を変えました。
    感心するのは寿司屋のメニュー、特上、上、並。あるいは、松、竹、梅の3段階。上、中、下と書かない処が憎い。客商売です、お客に気を使っている、客も下とは注文しにくい、並なら言える。で、その内容は、寿司屋の親爺が適当に決めている。 ・・・
     B爺の5段階の基準は、
     5=傑作、看寿賞候補、詰棋史に残る?
     4=秀作、半期賞候補。順位戦なら昇級。
     3=好作、出題時の首位、順位戦は残留。
     2=良作、まあまあ評価に堪える。順位戦は降格。
     1=平凡作、月並み。
     まあ、こんな処ですね。以前の評価はもっと厳しい意地悪な評価でしたが、最近は歳のせいか、B爺さんもだいぶ人間が円くなりました。 ・・・」
  • 飼い鼠@ikiron
     「http://app.m-cocolog.jp/t/typecast/20527/22735/82786933 ABC評価が賞選考の上であまり参考にならない最大の理由はまさにその通りだと思う。 多数決による客観的評価に見えて、上位において差をつけるのはごく少数の意見。解答者の総意とはとても言えない。」
     「どうせやるならこの基準を誌上で公式のものとして周知してやったら、事態は改善されるのではないかとも思う。いきなりやると評点のギャップに戸惑うかも知れないけれど。」
     「もしCに抵抗があれば5段階評価にしてはどうか。1、2には抵抗があるだろうが、3、4、5なら抵抗はないだろう。実質ほぼこの三段階で50%、30%、20%くらいにしたら提言の内容に同じ効果を生むはず。」
     「評価点の話、SABCがいいのではという声が多数派ですね。その方がいいかもしれません。」

    TETSU: 制度を変えるならその方がいいかも。ただ、制度を変えさせるのは結構大変なので、解答者が自分の基準を変える方が早いと思う。
  • 目指せ看寿賞@tumeparashinjin
     「評価基準としてSABCいいですね。 S・・・3 A・・・2.5 B・・・2 C・・・1  だと どれくらいになるんだろう。 2.5を超えるのは結構、困難かも。」
     「たぶん、Aが中心になって、 Sがものすごくいい作品。 Bが少し劣る作品。 Cは、あまりいい作品ではない。 という評価に。」
     「この方が明快でいい。」

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作品価値と歴史的価値

[2015年6月11日最終更新]
No.1詰将棋100選の記事へのikz26さんのコメントの中に、歴史的価値についての言及があった。

また、多様な価値の中で、現在の目では特に評価の難しいものとして、歴史的価値を挙げることができます。どのような構想であれ、あるいは趣向であれ、形式であれ、なんであれ先行作の果たす役割というのは大きいです。例えば煙詰は現在に至るまで進歩を続けてきたと思いますし、並べてみればきっと現在の煙詰の方が優れているでしょう。しかし看寿の作った一号局、あるいは黒川氏の「落花」をはじめ、そういった先行の煙詰にはその時代の評価があったはずで、現在の目で見てどちらが優れているかを判断するのはやはり正当な評価ではないと思われます。

歴史的価値といっても、歴史をまとめる立場からは初めて登場したのは重要な出来事で価値が高いのが当然だが、ikz26さんがいわれているのは、登場した当時の「その時代の評価」を、No.1を選定する上で考慮すべし、ということだろう。

これについては、古今名作選のようなアンソロジーでは、詰将棋史の解説の意味もあるので、特に重要になるだろうし、歴史は関係なく現在の目でみた名作選というのならば、歴史的価値はあまり重要ではない。つまり、選定意図次第ということになるだろう。

歴史的価値は置いておいても、はじめての作品の意義は非常に大きい。それは、まだ存在しない世界でそれを実現した作者の創造性、オリジナリティ、そして、初めてそれを見た解答者、鑑賞者の感動につながるわけで、それがその時代の評価になってくる。ほとんど同じような作品が後に発表されても、今度は二番煎じということで、評価されないわけである。

もっとも、看寿の煙詰も、全駒は初めてなので二番煎じという人はいないが、無双や妙案の(準)煙あってのものなので、オリジナリティについてはこれらもきちんと評価したいものだ。

ブルータス手筋、森田手筋のような、発表当時は大きな感動を呼んだ作品でも、バリエーションが多く作られるようになった現在では、単なるブルータス手筋、森田手筋だけでは入選も難しいだろう。煙詰も、今では特徴のない煙詰では評価されないが、昔は煙というだけで多額の賞金で募集されたこともあった。

つまり、作品価値というものは絶対的なものではなく、それぞれの時の詰将棋の状況によって変わっていくものである(もちろん評価する人によっても異なる)。そういう意味では、No.1も、いつ誰々がどういう考えで選んだNo.1かということを踏まえて楽しめばよいのだろう。塚田賞や看寿賞の過去の作品でも、今の目で見ればこれが賞?という作品も多いだろうが、その時代や背景を無視して選定に文句をいうのは筋違いというものである。

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