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2012年7月21日 (土)

大会アルバム(3)看寿賞表彰

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[2012年7月21日最終更新]
第28回詰将棋全国大会 大会アルバム(3)看寿賞表彰


Zt28c01 看寿賞委員会柳田委員長より選考経過の説明。

「詰パラ7月号に詳しく出ていますが、詰パラ半期賞、将棋世界優秀賞、一般推薦などピックアップして委員7人で1次投票、その中の上位作について選考討議を進めたわけです。2次投票の結果短編賞が谷口さん、長編賞が3作。3作は多いという意見もありましたが、中編に近い長編が2作、長めの長編が1作ということで3作になりました。」

Zt28c02 平成23年度看寿賞はこの4作。
短編賞 谷口源一さん 15手
      将棋世界2011年8月号
長編賞 若島正さん 63手
      詰パラ2011年7月号大学院
      真島隆志さん 59手
      詰パラ2011年10月号大学院
      井上徹也さん「特異点」 211手
      詰パラ2011年11月号大学院

Zt28c03 柳田委員長による受賞作品の解説。まず、谷口さんの15手詰。
「初手13香成。何が何だか意味がわからないんですが、15に角がいずれ成りこみたいので、実は15香が邪魔駒だったという。審査員も誰もみたことがない、非常に希少価値の高い一手です。13香成、同歩、12桂成、同香の変化は24飛、11玉、21飛成。変化にも妙手があります。3手収束ですが、13香成の衝撃で看寿賞になりました。」

Zt28c04 続いて長編賞、若島さんの63手。
「不利交換を4回、同じ玉位置で4種類をやってしまうという、前代未聞の構想です。24歩合でなく24銀引、63同歩ではなく63同金、72歩合でなく72香合、57歩合でなく57飛合、安い駒をちょうだいと行くんですが、高い駒しかくれないという攻防が続くわけです。もう少し短くて中編賞だったらすっきりしたんですが、流石の若島さんもこれ以上短くまとめることは不可能だったんではないかと思います。」

Zt28c05 長編賞、真島さんの59手。
「何もない局面でポンと香車を離して打つ。この手の作品は68、67、・・・すべての場所ですべての駒を読まなければいけないので、作る方としては変化をすべて同じ意味合いにした方がわかりやすい。真島さんのすごいところは、そうしないで7年かけてすべての変化を読み切っていったと。73香成から82銀も妙手。収束も少ない駒数で見事にまとめきっています。」

Zt28c06

長編賞、井上さんの「特異点」 211手。
「連取り作品で1サイクル44手。ここまで長い作品はこれまであったかな。なんでこれが元の局面に戻ってくれるんだろうというような不思議な動かし方ですね。バッテリーの入れ替え回数も新記録だと思います。どうしてこのサイクルが成立するとわかりました?」
井上さん「最初は19玉がない16手サイクルだったんですが、19玉でどうなるかなと思って、あとはひたすら根性で元にもどるように。」

Zt28c07 柳田看寿賞委員長より、受賞の4氏に賞状と副賞の授与。

「平成23年度短編部門において最優秀作品に選ばれました。ここに詰将棋看寿賞を贈り永くその栄誉を讃えます。」

Zt28c08 仕事のため出席できなかった北浜七段(谷口作発表時の将棋世界詰将棋サロン担当)の谷口さんへのお祝いメッセージを浦野七段が代読。

「このたびは看寿賞受賞おめでとうございます。当時の担当者として傑作を選題、解説できたことをうれしく思っております。将棋世界からの看寿賞は2003年以来2回目。偉業の達成に心よりお祝い申し上げます。」

Zt28c09 谷口さん「看寿賞といえば夢のまた夢。とてもいただけるようなものではないと思っていたところ、今回急に受賞ということになりました。将棋世界で喜寿のいい記念になったということを書きましたが、私が最初に近代将棋に入選したのが昭和26年。それからの還暦にもあたっておりまして、幸運としかいいようがありませんが心から喜んでおります。本当にありがとうございました。」

Zt28c10 若島さん「詰将棋界、チェスプロブレム界の中で一番好きな人がいました。スウェーデンに住んでいるリンドメンという人なんですけど、今年87才で亡くなるまですごい作品を作っていました。私は来月還暦ですが、私も87才ぐらいまで詰将棋を作って行きたい。今回で9回目の看寿賞なので、その中でもう1回看寿賞を取れたらちょうど10回になるなあ、そんな欲の深いことは考えていませんが。ありがとうございました。」

Zt28c11 真島さん「詰将棋作家として看寿賞は一度でいいから取ってみたいと思っていたので、大変うれしく思っております。本作はテーマとしては最遠打で中編的なテーマで、最初は61歩があって中編だったんですが、長編になってしまって看寿賞は無理かと思っていました。自分としてよりよい方で発表できてうれしく思っています。あいがとうございました。」

Zt28c12 井上さん「私が詰将棋を始めたきっかけになったのは風みどりの玉手箱というホームページで長編の傑作が多数紹介されていまして、それに非常に刺激を受けまして詰将棋にのめりこんでいきました。風みどりさんに解説していただいた作品で看寿賞を受賞することができて、恩返しができたような気持になっています。ありがとうございました。」

Zt28c13 受賞者全員で記念写真。全国大会に看寿賞受賞者が全員参加したのは久しぶり? 開催地から2人受賞も珍しい。

大会アルバム(4)各種表彰、門脇さん追悼 に続く)

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