大会アルバム(3)看寿賞表彰
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[2013年7月18日最終更新]
第29回詰将棋全国大会 大会アルバム(3)看寿賞表彰
「7月の詰パラに詳しく出ていますが、中でも一つ、詰パラモバイルから1作委員の推薦でリストアップされまして、そういったところも楽しみに見てもらえればと思います。短編は残念ながら該当なし。中編の芹田さんは今日こられていますが廣瀬さんは海外出張中で帰国は10月ぐらいとのこと。では、中編賞、長編賞、特別賞の順に表彰状をさしあげたいと思います。」
柳田看寿賞委員長より、受賞者の芹田さん、井上さん、岡村さんに賞状と副賞の授与(廣瀬さんは海外出張中)。
「平成24年度中編部門において最優秀作品に選ばれました。ここに詰将棋看寿賞を贈り永くその栄誉を讃えます。」
左より、特別賞の岡村さん、中編賞の芹田さん、長編賞の井上さん。
芹田さん「本作、発表時に蟻銀という誤植があったおかげで皆さんに解いていただいて、半期賞でラッキーだなと思っていたら看寿賞まで。奥深さとか難解性とか、複雑怪奇的な部分が自分の作にはないので、看寿賞は難しいかなと思っていたんですが。本作は自分らしさ全開の作品で、難しさはないけど楽しんでいただけたんじゃないかなと。自分の目指す方向に看寿賞があるのか迷っている方は、開き直って自分のいいところを追及していくと看寿賞をもらえるかも。ありがとうございました。」
井上さん「選考委員の皆さん、受賞作を鑑賞していただいた皆さんに感謝申し上げます。解答選手権で上位に入った藤井君という男の子に昨日会ってきました。出す問題を片っ端から解かれて圧倒的なスピードにびっくりしました。まさかこの年で世代交代されるとは。創作ではまだまだ渡り合えるように今後もがんばっていきたいと思います。ありがとうございました。」
藤井君は前回の全国大会でも対戦詰将棋で優勝している。
岡村さん「2004年の札幌大会のときに特別賞をいただいていますが前回とは違い意味で感慨深いなと思います。特別賞というのに特に光栄に思っています。手数区分を超越したところで作品の価値を認めていただいたということ、また毎年ではなく、特に選びたいものがあるときに選ばれるという点で、特別賞をいただけることは誇りに思っています。今後も手数とか数で比べるとかいうのと違った観点から新しいもの、素晴らしいものを作っていければな、と思います。本日はどうもありがとうございました。」
柳田委員長による受賞作品の解説。まず、中編賞、芹田さんの19手詰。出題時28成銀が蟻銀と誤植された。
「持駒は山のようにありますが、そう大きな配置ではありません。オール同馬を実現した作品です。作意手順だけ見るとシンプルですが、いきなり成銀を取ると飛合で詰まないとか、際どい変化紛れを乗り越えて非常に深い世界を構築しています。」
「この金がいなければ、46歩、同桂、44馬、36玉、27龍、同玉、26馬で詰み。この収束にもっていきたいがためにいろいろ工夫するわけです。37金をどけるには38とが邪魔。この2枚を持駒の桂香を使って翻弄するわけです。作者のページで金子さんとやりとりして推敲されていく過程がでていますが、元の図から比べるずいぶんよくなっています。あたかも上田さんの作品のような緻密な組み立ての作品です。」
長編賞、井上さんの「涛龍」849手詰。
「持駒変換による多重連取りで、王様の軌道がぐるぐる回りながら持駒変換するのがオリジナルなアイデアです。その分制約が強く1枚のすきもない形で、もう1枚と金を置ければ手数が延ばせるんですが。空王手で消していって斜めの筋がなくなると隅から角を打てるようになります。(と金なら手数が延びるのに)87歩がなぜと金じゃないのか、作者の井上さん、教えてください。」
井上「86と、97とが消えたあと66歩でいきなり収束に入る手があって、87と金だと詰まないんですよ」
「今年の選考でも断トツで圧倒的な支持を集めました。」
特別賞、岡村さんの「涓滴」107手詰。
「あと3枚置けるじゃないかと思ったんですが、目指すは4×9の完全密集形の煙詰で、その前にあるのが「月蝕」です。しかも追い方は完全なオリジナルな手順を目指したということで序盤が非常に難しいです。この辺の手順は煙詰でこんなことをやろうと思った人はいないだろうという。全体にオリジナリティあふれた新しい消し方に徹しています。何より特別賞にふさわしい作品だと思います。」
全日本詰将棋連盟の平成24年度看寿賞受賞作のページで、各作品の手順を鑑賞できる(要Java)。
作者のブログや受賞作への反響などの情報は、平成24年度看寿賞(詰将棋メモ)から。
(大会アルバム(4)各種表彰、岡田さん追悼 に続く)
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